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無気力系戦乙女  作者: オリオン
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花嫁の抵抗

この衣服ではあまりにも動き辛い。

力で正面からでは勝てないだろう。

当然、巨人相手では速さで圧倒するしかないというのに

動き辛いと言うのは非常に不利だろう。

言うなれば、私の最大の武器を封じられているような物だ。


「仕方ない」


私は花嫁衣装の長いスカートを引きちぎる。

これで少しは動きやすくなるだろう。


「なん!」

「ちょっと! エリスちゃん! そんな姿、変態って言われるわよ!?」

「お前がそれを言うのか、ブラとパンツだけのお前が」

「合う服がないのが悪いのよ!」

「確かにな、少し力んだからなのかも知れないが、ちょっとビリッと音がしたな。

 結構強固な素材で作ったはずなのに全くどうなってるんだか」

「ふふ、なんとも細い足だ、美しい」

「気持ち悪い事を言わないで欲しいな」

「やはり、貴様は我が妻としよう!」

「私は断ると言っただろう!? ブレイブストライク!」

「な!」


私が放った斬撃はスリュムの腕を斬り裂き、首まで届く。

全力の一撃だったが、腕に当ったせいか勢いも殺され

首を叩き落とす事は出来なかった。

やはり肉厚な首というのは面倒だな。


「この娘…その華奢な腕の何処に! それに、その攻撃は…戦乙女だと!?

 ただの戦乙女が…ここまで!」

「はぁ!」

「ぐ!」


ち、防がれたか…もう少し私に力があれば巨人の腕など切り落とせるのに。

だが、それは良い、ひとまずはミョルニルまでの道を作らねば。

もう少しこの巨人の足止めをして、急いで邪魔な巨人の注意を惹きつけねば。


「このぉ!」

「遅い!」


私はスリュムの攻撃を回避すると同時に腕を斬り裂き

その腕を踏み台にし、挙式に来ていた巨人の方に飛ぶ。


「まさか!」

「ブレイブストライク!」


空中からのブレイブストライク、私の攻撃は巨人共を裂く。

スリュム程に強力な巨人が居なかったのは幸運だった。

私の攻撃を受けた巨人達に大打撃を与える事が出来た。

スリュムほどに巨大な相手だったらそこまでは無理だっただろう。


「トール様!」

「あ、そうね!」

「不味い! あいつを止めろ!」

「それは、私がさせん!」


トール様を止めようとした巨人のうなじを削ぎ、ダウンさせた。

流石の巨人も脊髄を切り落とされてしまえば生き残れまい。

さほど肉質も硬くなかったのが運の尽きだな。


「まだまだ!」


撃破した巨人を踏み台にし、次の巨人に飛び移る。

次はまず目を剣で突き刺し潰し、その剣を利用して背後に移り

先の巨人と同じ様にうなじを削ぐ、ここが1番切りやすく

次の攻撃に転じやすい…本来なら巨人の命を奪うのは

出来ればあまり行ないたくない行為だが、これも私の為だ。

ここでトール様がミョルにルを奪還できなければ私の身が危うい。


「この女! なんて!」

「私の為に死ね、巨人共!」


単調な攻め、遅い動き、この程度の巨人なら問題無く排除できる。

スリュムは多少早く、背後に回るのは苦労したが

こいつら程度ならなんの問題も無いだろう。


「ふん!」


心臓を1突き、急所を狙わないと撃破は困難だろう。


「くく、やるな、戦乙女!」

「な! うあ!」


く…スリュム……巨人なのに何故ここまで動きが速い…

まさか足を捕まれて壁に投げ付けられるとは。


「く…うぅ…」

「流石に応えた様だな、実力は高かろうと、身体は所詮戦乙女か。

 どれ程実力が高かろうと、女は男には敵わない」

「この場合、性別ではなく種族の差だろうに…」


正面から…は、まず不可能…背後に回るか? いや、無理だ。

叩き付けられたせいで身体が満足に動かない。

傷を癒やして動こうとしても…この相手にそんな時間は無い。

これは…終わったかも知れないな。


「まずは最大の武器を潰させて貰おう」

「あぅ!」


あ、足を! 不味い…確かに最大の武器を潰された。

単純な力では…巨人には敵わない。


「くく、終りだ」

「トール! さっさと!」

「待って! あと少し!」

「少しも無い!」

「貴様を失うのは勿体ないが、お前は危険すぎる、死ね」

「急げ!」

「届かない-!」

「く!」


一環の終り…だが、私の腕は無意識のうちに動いていた。

私はいつの間にか師匠から貰った剣、ファンファーレでその拳を止めていた。


「何!」

「…なん」


力があふれてくる、私の力では巨人を止めるのは不可能だろうが

それでも、今はこの巨人の力に対抗できている。

だが…流石にあまり長くは持たないだろう…このままだと。


「届いた! 行っけ! ミョルニル!」

「な!」


眼前の巨人の頭部に巨大なハンマーが直撃した。

あれがミョルニルか…ミョルニルが当った場所から

ドンドンと砕けていき、巨人は吹き飛ぶ。


「…はぁ、はぁ」

「間に合ったわ!」

「間に合ってない…エリスが耐えただけだ…しかし、ただの戦乙女にこれほどの力が…」

「いやぁ、ニールちゃんとエリスちゃんの決闘を見ていたけど

 本当に凄かったからね、私、見惚れたのよね~」

「まぁ、そんな事は良い、さっさと巨人達を排除しろ! トール!」

「任せなさい! 片っ端から粉々よ♡」

「気持ち悪い」

「なぁ!」


……な、なんとか間に合ったようだな。

ミョルニルを奪い返したトール様は圧倒的な力で

巨人達を排除していった…本当に凄まじい人だな。

だがまぁ…なんとかなって助かった。


「…エリス」

「はい、なんでしょう」

「怪我は治さないのか?」

「…流石に粉々になった骨を治す力は…」

「一応、方法はあるけど…そのままの方が戦わないでも済むだろうな」

「あぁ、確かに…ですが、方法があるなら治したいですね」

「そうか…所でエリス、何故あまり表情を変えていない?

 骨が砕けているんだ、相当痛いだろう?」


確かにかなりいたい…いっその事、足が無くなった方が良いと思うくらいに。

でも、痛みを我慢するのにはなれている、この程度、堪えられる。


「大丈夫ですよ…痛みには慣れてます」

「ふーん、まぁ良いか、ひとまず足を治そう」

「はい」

「トール、原因はお前なんだ、運ぶのもお前がしろ」

「分かってるわよ」


返り血が凄いな…トール様…普段からは想像もつかないが

やはり最強の神だというのは間違いないな。

本当、この方が敵じゃなくて助かった。

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