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無気力系戦乙女  作者: オリオン
20/57

2人だけで

「しかし、あなたと2人だけで外食っていうのは初めてね」

「偵察してるときによく食べてたじゃないか」

「いや、あれは外食という感じじゃ無いと思うんだけど…」

「外で食べるから外食なのだろう? ならば外食であっているだろう?

 いや待て、そもそも外で食べると言っておきながら

 今回の場合は建物の中で食事を取っているわけだから、これは内食では?」

「外食は家の外で食べるという意味よ…」

「なら偵察の時も外食では?」

「確かにそうだけど…あんな不味い物を食べて外食とは」

「…美味しかったと思うのだが」

「味付け殆ど無かったでしょ!? 色々と狩って焼いて食べてただけだし!」

「肉汁が美味しかったぞ?」

「そうだったわね、あなたって家でも携帯食だったわね…」


少なくとも携帯食よりは美味しかったと思う。

ただ焼いただけでも意外と食べられる物だな。


「まぁ良いわ、とにかく、今日は2人だけでの初の外食って事で楽しみましょう」

「そうだな…しかしメアリー」

「何?」

「私としてはお前と2人で偵察し、一緒に食事をしている時も楽しかったぞ?」

「え…そ、そんな真面目な表情で言われても…な、なんか恥ずかしいわ!」


恥ずかしい要素があったのか?


「とと、とにかくよ!」

「メアリー、顔が赤いぞ?」

「とにかく! 早く食事をしましょう!」

「そうだな、では…私はこのラーメンを頼もう」

「それ? 他にも可愛らしいのがあるのに?」

「少し興味があったんだ、買い物をしている時に

 たまにこのラーメンが目に入っていてな。

 しかし、栄養を考えてみて、バランスも悪いし

 母に食べさせるのは危険だと考えて作ったことが無かったんだ。

 うどんの方は作っていたりしたが

 だが、私も興味はあってな、美味しいのか気になる」

「へぇ、ラーメンも食べたこと無いのね」

「体に良い食事しか作らなかったからな。

 流石に病弱で病を患っている母に栄養バランスの悪い食事は駄目だからな。

 沢山の本を買い、どんな食事が体に良いかも色々と探っていた」

「そう…」

「だからな、少しラーメンと言うのを食べてみたかったんだ」

「じゃあ、沢山食べなさい! 奢ってあげるわよ!」

「いや、大丈夫だ、自分で」

「誘ったのは私なんだから大人しく好意を受け取った方が良いわよ?」

「…そうか、分かった、ではありがたく頂くとしよう、ありがとうな」


メアリーも私と同じくラーメンを頼んだ。

他にも食べたい物は合ったのかも知れないが、私に合わせてくれたのだろう。


「さて、女子2人の食事とはほど遠いけど、美味しく頂きましょうか」

「女子はラーメンをあまり食べないのか?」

「1人の時は食べる事はあるけど、女友達で集まってラーメンはレアだと思うわ」

「そうなのか? やはり私は少し俗離れが過ぎているのか」

「それは否定しないわ、でもまぁ、楽しければ良いのよ何事も。

 あ、後、ラーメンをあまり食べない理由は太るからって言うのもあるわ」

「太るのは不味いな、動きが鈍ってしまう」

「私達は異常なくらいに運動するから問題ないと思うわ」

「そうか、では、ラーメンを食べても運動すれば良いのだな」

「そうなるわね、じゃあ、いただきましょうか」

「あぁ、いただきます」


美味しそうな匂いだ、何だか濃いめの匂いがする。


「うん、たまにはラーメンも悪くないわね」

「美味しいなこれは! 少しだけ味が濃いが麺がするすると入ってくる!」

「本当に美味しそうに食べるわね」

「普段食べている食事は薄味だったからな。

 この濃い味というのも新鮮で美味だ!

 肉の味も素晴らしいな! 肉汁も出てくるしな!

 この…しなちくだったか? このこりっとした食感が良いアクセントになっている!」

「何だかあなたの話を聞いてると、私も美味しいと感じるわね」

「実際に美味じゃ無いか…しかしだ、メアリー」

「何?」

「なにやらお前と会ってからと言う物、色々と新しい体験が多い気がする」

「無理矢理引っ張り出してるからかしら」

「…そうか、ありがとうな」

「え!?」

「今度はニールも一緒に連れてこよう」

「…そうね、やっぱり沢山で食べた方が美味しいわ」


たまには外に出て何かをするというのも、悪くないのかも知れないな。

しかし、私が自分1人で出歩く事は早々無いだろうがな。


「美味しかった、ありがとう」

「そう…で、エリス」

「何だ?」

「…何処に行こうとしてるの?」

「寮に戻るのだろう? 食事は終わったし」

「いや! 食事だけで終わると思ってんの!?」

「…違うのか?」

「違うわよ! 何で2人で出歩いて食事だけで即帰宅!?」

「では、何をするんだ? 剣の修行か?」

「服を買うわよ!」

「それは前買ったじゃ無いか」

「いや、ショッピングよ」

「昼食と夜食の食材を買うのか、確かに携帯食料もそろそろ」

「なんであなたって遊びが無いのよ」

「遊びなど考えたことが」

「じゃあ、今から遊びを考えられるように色々と教えてあげるわ!」


メアリーから色々な遊びという物を教わった。

ショッピングは何か買う物が無いかを探す行為であり、絶対に買う必要は無いらしい。

他には温泉とやらもあったり、歌を歌ったり…色々とあるんだな。


「まぁ、こんな感じよ」

「ふむ、色々とあるんだな…所で今度は何だ? 草原だが」

「何も無い所で何もしないでダラダラする時間も必須なのよ」

「それなら家でも」

「この爽やかな風を浴びながら、そして何より複数人でって言うのが大事よ」

「そうか…しかし、こう言う草原に来ると、ニールと訓練していた時間を思い出す」

「ニールちゃんと?」

「あぁ、たまにこんな草原で剣の稽古をしていたんだ。広く動けるしな」

「…そう言えば、私達って1度も一緒に稽古をしてなかったわね」

「授業でしただろう?」

「そうね、でも、あの時のあなたは手加減をしていたし」

「…まぁ、そうだな…1度も本気で打ち合ったことは無いか。

 本気を出すのも面倒だったからな」

「面倒って…で、ニールちゃんとは本気で?」

「あぁ、何度か打ち合った、何度も打ち合い、全て打ち負かした。

 それでもニールは立ち上がって、また私に挑む。

 その度に私はニールを全力で叩き潰した。

 それでもあいつは笑ってたよ…何だか昔の自分を思い出した」

「昔の自分?」

「あぁ、師匠に剣の稽古を付けてもらっていた、小さな頃だ」


あの頃だって、私は1度だって師匠には勝てなかった。

何度も打ち負かされて、それでも何度も立ち上がって挑んだ。

何だか楽しかった、越えられない壁に挑むのは楽しかったからな。


「あの時、私は何度も挑み、何度も負けて、それでも師匠に挑み続けた。

 恐らくだが、私がニールに剣の稽古を付けるようになった理由は

 その頃の自分とニールが重なったからだろうな」

「そうなの、だからニールちゃんにはあそこまで」

「ニールの成長が楽しみになってな」

「そう」


強くなったニール、どれ程の実力かは分からないが楽しみだ。


「ねぇ、エリス」

「何だ?」

「折角の休日に悪いんだけど…私と1度、本気で戦ってくれる?」

「どうしたんだ?」

「1度でも良いから本気のあなたを見てみたいと思ってね」

「…面倒だ」

「……」

「と、普段の私なら言うところだが、昔を思い出して少し気分も良い。

 1度だけ…相手をしてやろう」

「ちょっと待ってて、すぐに戻ってくるから」

「あぁ」


エリスは小走りでこの場から立ち去った。

そして、少ししてエリスが木刀を持ってくる。


「急ピッチで買ってきたわ、2本しか無かったのが残念ね。

 これだと、本気のあなたと戦えないわ」

「戦乙女の基本型は1刀だ、問題は無い」

「そう、じゃあ」


メアリーが自分が左手に持っている木刀を私に向けて投げてきた。

私はそれを掴むと同時に剣を振り払い、この木刀の重量と刀身を確認した。

なる程、軽いな。


「さぁ、戦いましょう…全力で。

 退屈はさせない様にするから安心して」

「私は退屈の方が好きだが…今は別だ」


…血が騒ぐという感覚…私はその感覚を初めて感じた。

無気力な私の中にも戦いへの衝動も多少はあるんだな。

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