無気力な1年間
バルハラに派遣され、おおよそ1年か、大した実績も上げずに
ダラダラと過ごす毎日、こんな植物の様な日々も
最近は悪くないと思えてきた。
やはり面倒事に巻き込まれるのは避けたい物だ。
頑張るというのは疲れる高位でしか無いからな。
「エリス」
「はい、何でしょう、フレイヤ様」
私何かにフレイヤ様が話しかけてくるとは思わなかったな。
しかし、やはりバルハラ1の美しさと言われるだけはある。
珠のような肌に繊細なピンク色の長い髪の毛、瞳は吸い込まれるような蒼だ。
しかし、フレイヤ様は神だ、本来なら私は話しかけることは出来ないだろう。
そのフレイヤ様が話しかけてくると言う事は…もしや、何か失敗でもしたのだろうか。
だが、任された仕事はしっかりとこなしたはず。
失敗もしてないはず…何処か見落としでもあったか?
「あなたどうもやる気を感じられないわね」
「え? いや、そんな事は」
「あなた、何をするにしても表情1つ変えないじゃない」
「それは、私が感情を表現するのが苦手で」
「前にあなたをバルハラ女子学園で見たとき、あなたの目には覇気があったわ
確か後輩と剣の稽古をしていたときかしら、あの時、あなたは生き生きしてた
でも、配属されてからは、その覇気を一切感じられないわ」
ニールに剣の稽古をしていたときに姿を見せていたのか。
彼女とに剣を教えることに集中していたせいか気が付かなかった。
「何かあったの?」
「いえ」
「…もしかして、母親の事?」
「……何故、それを?」
「知ってるわよ、だって私は神よ、バルキリーの統率も任されてる
あなたの事だって調べているわ…母親の事、本当に申し訳ないと思ってるわ」
「…い、いえ」
……母の病はきっと、神々でも治せない難病だったのだろう。
私はそう思っていきたい、他者を疑うな、信じろと母は何度も言っていた。
だから、私は神々を疑わない…きっと予想以上の難病だった、そうなのだろう。
「……ごめんなさい、嫌な事を思い出させてしまって」
「いえ…もう、過ぎたことです」
……今更悔やんでも仕方ない、グダグダと考えていても
母に怒られるだけなのだから。
「…それではフレイヤ様、私はこれで…」
「待ちなさい、今、下界で問題が起きているのよ
魔物が急に発生してね、このままでは死者が出るわ」
「…私に撃退してこいと?」
「えぇ、今、天界にはあなたくらいしかバルキリーがいなくてね」
「他のバルキリーは?」
「調査などで忙しいのよ、しかし、まさかこのタイミングで発生するとはね
よりにもよってバルキリーの殆どが姿を眩ましているタイミングとは」
「狙ったかのようなタイミングですね」
「えぇ、だから頼むわ」
「…分かりました」
…任された以上は確実に仕事をこなさないと行けない。
魔物退治か、やはりあまり実績の無いバルキリーだからだな
重大な任務を任されることはあまり無いだろう。
他のバルキリーは巨人族の偵察とかを行なっているんだがな。
きっと巨人族の偵察などで姿を消しているのだろう。
しかし、足下がお留守などとは、弱点が多いな、神々。
「…この数は」
下界に降りて魔物の群れに直面したとき、その数に少しだけ動揺した。
30以上だな、これほどの群れで魔物が移動するのか。
基本的に10体ほどだと言うのに、何の集団なのか。
「いけ!」
ほぅ、この魔物は喋るのか、どんな指示をしているのか分かりやすくて言い。
さて、最初は斥候と思われる前線の魔物が私の方へ突撃してくるか。
しかしだ、群れでいるのに少数で攻撃とは、舐められた物だな。
「ふん!」
「きゅぅ」
私は飛びかかってきた魔物の攻撃を正面に踏み込み回避し
左側の魔物を切り上げで撃破した後、右側の魔物も
左の魔物を撃破したときの勢いで上から斬り裂く。
正面から飛びかかってきた魔物に対しては蹴り上げ
落下してきたところを真っ二つに切断した。
ただの魔物など、私の敵では無い。
「3匹程度で私を倒せると思ったか? 舐められた物だな」
「く、全員でかかれ!」
今度は動揺のまま全員で突撃してきたか、直線的で対処はいくらでも出来るな。
そもそもだ、横に並んで突撃など無策にも程があるだろう。
私は一気に間合いを詰め、最初に突撃してきた正面の5体をなぎ払いで同時に撃破。
その後、背後から2匹の魔物が飛びかかってきたが
左から飛び出してきた魔物を殴り飛ばし、右の魔物を肘打ちで沈める。
その後、私を囲むように魔物は展開した、正しい判断ではある。
「今だ!」
だが、同時に飛びかかるのは無謀だな、所詮は魔物の頭か。
私はすぐに飛びかかった魔物の下を潜るように回避。
その間に進行方向の上に居る1匹の魔物を真っ二つに切断。
更には魔物達は空中で激突、自滅した。
もう少し考えて行動するべきだったな、まぁ、魔物にそんな事を言っても無意味か。
「こんな物か、所詮数が多いだけの烏合の衆だな」
「ぐぐ! ただの女如きに!」
「私は戦乙女エリス、ただの女子とは違う」
「が!」
最後に指揮官と思われる魔物を切断、これで魔物の問題は解決しただろう。
その後、ちょっとだけ武器の手入れをした後、バルハラへ戻ろうと立ち上がった。
「エリス! 魔物は!?」
「フレイヤ様、はい、もう処理しました」
「1人で30の魔物を!? この短期間で!?」
「ただの烏合の衆でした、何の問題もありません」
「…あなた、やっぱり相当でしょ」
「まさか、私なんて大した事ありませんよ」
面倒事に巻き込まれたくないからな、私は草木のようにゆっくりと生きる。
大きな喜びも深い絶望も無く、ただただゆっくりとのんびりと。
それで良い、もう、私はそれだけで良い。




