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無気力系戦乙女  作者: オリオン
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メアリーの過去

「あなたがなんでそんなに強いのかも。

 あなたがどうして無気力になったのかも。

 あなたがどうしてニールに執着するのかも、全部分かったわ

 ねぇ、最初に話をしたときのこと、覚えてるわよね?

 そんなに前の話でも無いし…」

「……」

「実はね、こんなにも早くあなたが私に色々と教えてくれるとは思わなかったわ」

「…それはニールに知らせて欲しくなかったからだ」

「……そんなに大事なのね」

「あぁ、本当に大事だ」

「そう、理由は何であれ、私はその話を聞けて嬉しいわ

 私が届かない理由も分かったからね

 だって、意思も経験も全然違うんだから」

「…エリス、お前はバルキリーになりたいからなったと言っていたな。

 本当にそれだけなのか? 流石にハッキリとした意識が無いままで

 バルハラ学園の首席にはなれないと思う。

 それは最初、お前が私に言った言葉と同じだろう?

 大した理由も無しにバルキリーは選ばないと」

「…そうね、私も自分の事を話しましょう。

 と言っても、私はあなたと比べると劇的でも無いけどね」

「…そんなにあっさりと話すのか?」

「えぇ、あなたとはもっと仲良くなりたいからね。

 仲良くなるために隠し事なんて邪魔だろうしね。

 それによ、あなたは私に自分の事を話した。

 だったら私も話さないとフェアじゃ無いしね」


あれは私の失言が原因だと思うんだがな…

だがまぁ、教えてくれるというなら聞こう。

どうせやることは無かったんだから。


「私はね、本当にただの一般家庭だったのよ、元は人間よ」

「それは私もだ、そもそもバルキリーは殆どそうなんじゃ無いのか?」

「意外とレアよ、人間からバルキリーになるなんて。

 バルキリーを志す人間が居ないことはないけど

 殆どのバルキリーは神と人の間に生まれた半神。

 私達の場合は神のご加護を授かった後天的な半神だけどね」


そう言えば、戦乙女として正式に卒業したときに神々に力を授かったな。

それが確かホーリーリリースを正式に使える力だったか。


「しかし、ホーリーリリースは師匠から教わったときから」

「ホーリーリリースは内なる力よ、神々が私達にしてくださったのは

 その力の増強、簡単に言えば潜在能力の解放なのかしら。

 その結果、私達は半神になっているわ」

「ふーむ、そうだったか?」

「おかしいわね、あなたって相当好成績だった気が…」

「必要の無い情報はすぐに忘れるタイプでな」

「いや…重要な事だと思うんだけど…まぁ良いわ

 とにかく私達みたいなタイプは本当にレアケースなのよ」


ほぅ、そうか、確かに格付けがかなり極端だった気がするな。

一部を境に実力にかなりの差が生じていたようにも感じる。

そうか、下位の大半が人間達だったのか。


「純粋な人間でここまでの実力があるのは稀少なのよ。

 と言っても、ニールちゃんも純粋な人間みたいだけど」

「自分で言っていたし間違いないだろう」

「まぁ、これ以上は脱線しすぎるわね、私の話をしてるんだから。

 さっきも言ったとおり、私はただの家庭に生まれたのよ。

 別に貧困だった訳でも無いし、かといって裕福でも無かった。

 そんな私が戦乙女になろうとした理由は…自惚れよ」

「自惚れ?」

「えぇ、私はかなりプライドが高かった方でね。

 自分の腕にも自信があったの。

 両親に私の実力を認めさせるためにね。

 だから、私は戦乙女を志した、でも、現実はすぐに私に突き付けられた。

 先輩達と戦ったとき…私は完膚無きまでに倒された。

 初めて自分の実力がどの程度か痛感して…同時に怒りにも変わった。

 だけど、昔のようにプライドの塊だったと言う訳じゃ無い。

 自分よりも上の存在がわんさか居ることを知ったわ。

 だけど、奇妙なのはこの後、私は勝ちたいと思ったのよ」

「勝ちたい?」

「えぇ、正確にはもう負けたくないって思ったのよ。

 心をへし折られて、そんな思いはもうしたくないってね。

 だから、今まで以上に必死に訓練をしたわ」

「お前の実力は努力と言う事か」

「えぇ、あなたと同じでね」

「私は運が良かっただけだろう、人に恵まれただけだ」


師匠に出会えたのは…私の最大の幸運だっただろう。


「運も実力の内って、よく言うでしょう?

 きっとあなたがあなたの師匠と出会えた理由はあなた自身よ。

 母親の為に…必死になっていたから、きっとあなたは師匠に出会えた」

「結果は伴わなかったがな」

「本当にそうかは…まだ分からないと思うけど」

「……そうだな、まだ…分からないか」


少なくとも…まだ生きているからな。

正直、生きた屍、と言う感じだが。


「それじゃあ、まだ色々と楽しむためにも、今から食事に行かない?」

「何故そんな話しに? そもそも、私はもう食事を取って」

「いや、正直それで1日はあり得ないと思うわ」

「1日とは言ってない、あと3回は」

「朝食でそれはキツいでしょうに」

「だがなぁ、正直面倒」

「駄目駄目! このままだと本当に干からびるわよ!?」

「水は毎日」

「精神的な意味でよ! と言うか、まさか水分補給…全部水?」

「そうだ」

「……まさか、今までの2年間ずっと?」

「違う」

「そうよね、流石にそれは」

「3年間だ」

「1年延びてた! よ、良く今まで…精神を保てていたわね」

「師匠の訓練では断食など良くしたからな。

 水分も酷いときは3日取らなかった」

「死ぬでしょ!?」

「大丈夫だ、問題無い、結構簡単だったぞ?

 まぁ、居たる物が水分に見えたりしたが」

「末期よ!? 良く生きてたわねそれ!」

「匂いで判断した、視界が悪かったりもしたしな」

「…私、そんな訓練をしてまで強くなりたいとは思わないわ…」

「母の為に必死だったからな」


今思うと、自分でも異常な程に無茶をしたと感じるな。

強くなるためだからな、多少の苦労などなんて事は無い。


「意思が強かったのね…今と違って」

「そうだな、確固たる目的があれば…」

「でもまぁ、その話は後で良いわ

 と言うか、あなたの経験が色々とヤバすぎて話が進まないし。

 とにかく! 食事よ!」

「…いや、だから私はこれで」

「駄目よ! 行きましょう!」

「いやだ、部屋から出るのが面倒だ、私は1日部屋で過ごすんだ」

「ぐぬぬ! 私が全力で引っ張っても表情1つ変えないとか!」

「とにかくだ、私は動くのがしんどいからこのまま1日中」

「私の力に対抗し続けるのと部屋を出るの! どっちが面倒!?」

「…そうだな、ずっと引っ張られると言う事は無いだろうから

 お前にずっと引っ張られている方がマシかも知れない」

「…だ、だったら! こうしてやるわ! エリス! ゲームよ!」

「ゲーム?」

「えぇ、私の拘束から逃げ出せれば私は今日はちょっかい出さないから!」

「はぁ…まぁ良いが」

「よろしい」


……何処から紐を出したのか分からないが、拘束の手際が良いな。

しかし、なんでこんな事をしないといけないんだろうか。

いや、ゲームだし良いんだが…これでこれ以上ちょっかい出されないなら。


「ふふ、さ、流石にこれだとしんどいでしょう?」

「まぁ、確かに…しかしだ、なんで紐を持っていたんだ?」

「私達は戦乙女よ、流石に対象を拘束する紐くらいは」

「収納が面倒だろう? 何処にしまってた」

「スカートの中に」

「…お前の私服と言うのは、随分と妙な所に収納があるんだな」

「嫌だってほら、スカートの中に仕込んでるとか思わないでしょ?」

「じゃあ、紐を出すときはどうする? 足を上げて出すのか?

 だとすると、かなりはしたないな」

「違うわよ! スカートを引っ張れば出てくるの」

「足下から出るのか?」

「まぁ、その通りよ」

「私も何か仕込んでおいた方が良いか」

「あなたは何も仕込まないでも問題無いと思うわ」


しかし、紐で縛られるというのは痛いし嫌だな。


「っと」

「げ! そんなあっさり!?」

「これ位は出来るだろう、拘束が甘いな拘束はこうするんだ」

「ちょっと待って! 私を拘束しようとしないで! わぁあ!」


ふむ、誰かを拘束するというのは初めてしたな。

しかし師匠直伝の拘束だ、そう簡単には抜けられまい。

まぁ、実戦は初だがな、確か戦乙女になるなら

一応は覚えていた方が良いだろうと教わった。

私も師匠に拘束されたが、全く抜け出す事が出来なかった。


「ぐぬぬぅう! 何よこれ! 全然解けないし!」

「師匠直伝だぞ、これなら確実に対象を拘束出来るらしい。

 体のありとあらゆる部分に力が入らないようにして

 下手に動かせば紐がドンドンと食い込む結び方だ」

「こ、こんなの! 解くときとかどうすんのよ!」

「あくまで拘束を食らっている人間が絶対に脱出出来ないだけだ。

 外部の人間が拘束を解くだけなら、本当に簡単でな。

 ここの紐とここを同時に引っ張れば」


うん、あっさりと拘束されていた紐は解けた。


「そ、そんなあっさりと…」

「これ以外の方法は無いがな、剣を使って紐を切ろうとすると怪我は免れないぞ」

「まぁ、あそこまで強く拘束してたらね…超痛いわ、紐の後も若干残ってるし」

「あぁ、申し訳ないことをした」

「申し訳ないと思うなら、私の言う事を聞きなさいよ!」

「……謝罪だけで良いのでは?」

「駄目よ! さぁ、罰として私に付いてきなさい!」

「しかしなぁ…」

「何よ、あんな事をしておいて」

「そもそもお前が最初に」

「どうせやること無いんでしょ? 良いじゃ無いの。

 今度ニールちゃんと何かする時に会話の内容にもなるわよ?」

「……はぁ、やはり勝負に勝とうが負けようが変わらないじゃないか」

「しつこいとは自分でも思ってるけどね、私としても仲良くしたいのよ」

「…まぁ良いだろう、どうせすることも無いんだからな」

「よろしい、じゃあ行きましょうか」


今日は1日中眠っておくつもりだったが…仕方ないか。

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