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無気力系戦乙女  作者: オリオン
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欲しくも無い名誉

ゴブリンの襲撃での戦闘結果が私にも報告された。

あのゴブリンの群れの迎撃に当たったバルキリー50名の内

負傷者は19名、戦死者は2名だった。

学園生の被害は無く、戦闘に当たった学園生はニールただ1人。

ニールは無傷での生存、それに対しての功績を何故か私は認められた。

あの極限状態で学園生を無傷で防衛したという功績を私は得てしまった。

その様な功績など、私は一切必要ないと言うのに。

それだけでは無く、ゴブリン共の口から出た戦力などから

私達が倒したゴブリンの数もバレてしまった。

私達2人が倒したゴブリンの数は7000以上。

その内、5000以上は私が倒したと言う事も露見した。

他のバルキリー達は私の異常な程の活躍に対し動揺を見せながらも

拍手で称賛、私の事を少し見下していた同期や先輩も黙るようになった。

ニールも学園での評価が上がり、バルキリーになる為の推薦状を得た。

これで、ニールがバルキリーになるのは確実だろう。

これだけ見れば、私達はこの戦いで大きな物を得たように思えるかも知れない。

だが、私はそうでは無い、これで面倒な戦場に駆り出されてしまう。

ただダラダラと生きたいために、力を2年間も隠してきたのに全て水の泡だ。

でも、ニールがバルキリーになることを約束されたのは素直に嬉しい。

そして、私を救ってくれたメアリーだが、彼女は後の合流で

他のバルキリーの追従を許さないほどの撃破数を稼いだ。

軽く1000のゴブリンを1人で撃破、彼女の評価もうなぎ登りだ。

元々巨人の監視を指示されるほどの評価だったが、その評価が更に増すか。


「うーん、しかし、状況は芳しくないわね」


だが、そんな私達の人事の裏で、フレイヤ様は何かに悩んでいた。

…話し掛けようかとも思ったが、正直面倒事は嫌なのでこの場はスルー

しようとしたのだが。


「あ、エリス、ちょっとこっち来て、言いたいことがあるわ」

「え? あ、はい」


その場から離れようとしたところをフレイヤ様に発見され呼ばれてしまった。

流石に来いと言われたのに、何処かに行くわけにも行かず

内心行きたくないと思いながらも、フレイヤ様に言われたとおり近寄った。


「エリス、昇進おめでとう、まぁ、能力をひた隠しにしてたくらいだし

 おめでとうと言うのはちょっと変かも知れないけどね」

「…はい、出来れば面倒事など無く静かに暮らしたかったのですが」

「……そ、そう、そうよね、わざわざ隠すくらいだもの。

 でも、やっぱり私の予想通り、あなたの実力は確かだったわね」

「…私の事など良いのですが、その…何故私を?」

「えぇ、実は困り事でね、魔物達の事なんだけど」


やっぱり問題か…バルキリーは基本荒事ばかりだからな。

この状況下でフレイヤ様に呼ばれたとなると、魔物の事しかあり得ないか。

恐らくゴブリン共が言ってた他の魔物の本隊だろう。

本当に面倒な置き土産を置いてくれるな、あのゴブリン共は。


「あのゴブリン達の本隊がいるみたいなの」

「そうなんですか、それは厄介ですね」

「一切の感情がこもってないわね、もしかして知ってた?」

「……ま、まぁ」


下手に嘘を吐いても意味が無いからな。

しかし、これで恐らく私は戦いに行けと言われることだろう。


「そう…まぁ、良いわ、で、あなたを呼んだ理由だけど

 その魔物の討伐作戦に参加して欲しくてね

 まぁ、あなただけ特別に選出したと言う訳じゃないけど

 ただ今回の討伐作戦、予想被害はバルキリー20以上は戦死

 負傷者は30」

「その数は流石に!」


冗談じゃない…何で僅か50しかいないバルキリーのうち20が戦死なんて。

戦力の半分近くを失うと言う事だぞ!

そんな被害が出るというのか。

それに負傷者が30と言う事は、被害は全軍に至るわけか。

そうなればバルキリー達の回復にどれ程の時間が掛かる?

バルキリ-は傷の治りが早いが、問題は肉体的ダメージでは無く

精神的ダメージにある。

侮っていた魔物に対し、それ程の負傷を被り。

更には20の兵力が戦死、精神的にもかなりの痛手となるのは明白だ。


「流石にこの数は尋常じゃ無いわ、でも、オーディーン様の予想よ

 あの方の計算能力は確か、恐らくこのまま行けば実際にそれ程の被害が出る」

「……魔物相手にですか」

「えぇ、1体1体は雑魚でも、数が揃えば厄介になるわ

 それは、あなたが1番痛感している事でしょう? エリス」


確かに私が1番感じていることかも知れない。

魔物の数が揃えば、ただの魔物でも劣勢になるのは明白だ。

私も数に押され、数の脅威に苦しんだ立場だ。

あれほどの数以上の軍隊が敵には残っているとすれば

それ位の被害が出てもおかしくは無いだろう。

最悪、それ以上の被害が出る可能性もある。


「…そこで、ちょっとあなたの主義には大分反するのだけど」

「…えっと、私は何をやらされるのでしょう?」

「まぁ、その…奇襲をね」

「……あの、傷口が痛むので、帰ってもよろしいでしょうか?」

「傷口、もう完全に塞がってるじゃ無い」


……嫌だ、素直に嫌だ、何故そんな危険な役目を私がしなくてはいけないんだ。

私はこれでも負傷兵、戦う理由もない私が危険地帯に赴けば

ほぼ確実に死んでしまうことだろう。

それに、私はまだニールと食事をするという約束も果たせていない。


「決行は1週間後、あなた達を除くバルキリーは有事に備えて待機するわ」

「あの、まだやるとも言ってないのですが」

「えっとね…その…本当に言いにくいのだけどこれは命令よ

 それも、オーディーン様直々の」

「うぐぅ…」

「私達神々もこの作戦には参加するわ、当然奇襲部隊としてでは無くね。

 私達神々は存在が大きすぎて、奇襲には向かないわ

 と言うか、奇襲向きの神々がまずいないのよ。

 トール様は一撃が強烈すぎるから倒し倒しの接近が困難。

 オーディーン様は総指揮官として前線に赴くのは難しい。

 私はそもそも戦闘向きでは無い、フレイお姉様も1人での潜入は難しい

 そもそも、存在が大きすぎて失うのはリスクが高すぎるわ」

「私達バルキリーはもし死んでも神々には致命的な痛手にはならない

 更には数も後から補充できる…捨て駒みたいな感じですね」

「……言いたくないけどそう言う事よ、そして、そのバルキリーの中で

 成功率の高いメンバーを揃える、前回の実績からまずはあなた

 もう1人はメアリー、あなたの同期で主席、妥当ね。

 次にアルヴィト、あなた達の先輩に当たるわ、現在バルキリー最強

 こんな時、リリアスがいれば」

「リリアス……」


師匠の名だ、私に幼少期剣を教えてくれた大事な師匠。

私は10年以上師匠に剣を教えてもらっていた。

だが、私がバルハラ女子学園に入学してすぐに姿を消した。

ヘルへイムへ行ってくると私に告げた後、姿を消した。


「その反応、リリアスを知ってるの?」

「…い、いえ」

「今更嘘は無意味よ」

「…はい、そうですね…リリアスは私の師匠です、私の剣の師匠」

「へぇ、あの子が剣を教えるとは、道理で強いわけだ、納得いったわ」

「師匠はヘルへイムに行くと告げて、それから」

「えぇ、消息を絶ったわ…あの子なら問題は無いと思ったのだけど

 一体ヘルへイムで何があったのか…分からないけど」

「……師匠」

「まぁ、今彼女の事を悔やんでも仕方がないわね、今いる戦力で対処しないと」

「そう…ですね」

「それとあと1人…かなり異例なのだけど、今回の奇襲作戦には

 ニール、あなたの大事な後輩にも参加して貰うわ」

「ニールを! こんな危険な任務に学園生を巻き込むというのですか!?」

「彼女の戦績から考えた、オーディーン様の判断よ、従うしか無いわ」


そんな…オーディーン様は何を考えているんだ!

ニールはまだ学園生…完全に戦える状態では無いのに…

く、しかしだ、ニールを出されてしまうと、私が逃げだす事が出来なくなる。

…私が逃げれば、ニールを守る手が減る…それは不味い。


「……わ、分かり…ました」

「ごめんなさい」

「…いえ」


奇襲作戦決行は今日から1週間…いくら何でも短すぎる…

それまでに私は奇襲作戦から生き残る方法を考えないと行けないのか。

僅か4人の戦力で大隊を倒す方法を。

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