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プロローグ
プロローグ
少女の首を絞めていた手を放す。
どさっと音を立てて落ちた少女の姿は、実に愛おしい。
飛び出した眼球。止めどなく溢れる唾液。白い内腿を伝う排泄物。
そんな姿でも可愛いのではなくて、そんな姿だから愛らしい。
ぎゅうっと抱きしめた。手加減する必要もない。
ただ思うままに、彼女を感じる。
「また明日ね」そう、彼女が言ったから。
明日、なんて言って俺のもとに帰ってきた人、いなかったから。
俺は一人、広すぎるリビングで泣く。
彼女が俺の物になって嬉しいはずなのに。
父さんと母さんの遺産に囲まれて。元気だった頃の爺ちゃんから送られてきた、色とりどりの野菜に囲まれて。友達だったあいつから借りっぱなしの、大量のマンガ本に囲まれて!
俺の所為で……。
でも、もう寂しくは無い。
彼女が、一生俺の彼女でいてくれるから。