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6章 プロローグ
メディア国領某所
「そんな・・・助けてくれるって・・・」
男が尻もちをつきながら後退る。その目は恐怖に怯え、全身は震えていた
「あら?そうだったかしら・・・でも仕方ないでしょ?観念なさい」
女は興味無さそうに答えると周囲を見渡す・・・目に映るのは目を覆いたくなるような凄惨な光景・・・にも関わらず女は口の端を上げて薄ら笑う
「残さずね・・・綺麗さっぱり・・・」
「い・・・いやだァァァ!」
男が女に背を向け、必死に走り出す・・・とにかく遠くへ・・・少しでも・・・
「馬鹿ね・・・村人ごときが逃げれる訳ないでしょうに・・・そろそろ始まるわ・・・長かった・・・本当に・・・長かった・・・」
男の最後の断末魔を聞き、村に生存者がいなくなった事を確認すると女は空を見上げた
月明かりが雲で隠れ、村は暗闇に包まれる
雲が流れ、次に月明かりが村を照らした時、女以外誰も居なくなっていた
「さあ、行くぞ!・・・フレーロウへ!」




