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1章 6 説得~蠢く陰謀の影2

中央デニス国西部、鬱蒼とした森の中、1つの集落がある。100人程が暮らす集落の中、二人の男が奥にある家へと招かれる


「催促ですかい?」


入ってきた2人に家の中の主は問う。2人の男の内、1人が被っていたフードを外し答える


「焦らすつもりは無い。期限を設けてない分、依頼主は確かな成果を期待している。近くに用があったから寄っただけだ」


男は首を振りながら、釈明するように言った。年の頃なら30前後。短く切られた髪に整った眉毛、切れ長の目はどこか高貴な雰囲気を醸し出していた


「近くに用・・・ね」


家の主────シグマは苦笑しながら呟くと目の前にある薪に火をくべながら2人に座るように促す。頭部に髪はなく、禿げ上がった頭にはいくつもの傷が見られる。誰も彼の容姿を見て暗殺者の首領とは思えないだろう。良くて山賊の頭か


「いや、結構・・・進捗が分かれば聞きたいのだが・・・」


「現在進行中だ・・・それ以上でも以下でもねえ・・・これで満足かい?」


「向かった人数は?」


「6人だ」


「・・・少ないな」


「その中に俺の娘がいる・・・これで満足かい?」


先程と同じ言葉を並べ、ニヤリと笑うシグマ。言われた男は満足したのか、頷き踵を返す


「期限はない・・・が、それの意味する所を理解してもらえれば助かる」


「・・・分かっている」


男はその言葉を受け、そのままもう1人の男と共に外に出た。外はもうすぐ日が落ちる夕暮れ時。寒さを気にしてか男はフードを被り直し集落を出る


「近くに用だと?この近くに何があるって言うんだ・・・焦れてきやがったか」


シグマは吐き捨てるように言うといつの間にか後ろにいた男に顔を向ける


「どうだ?」


「定期連絡なく2名ほどメディアより確認に向かってます。何かあったと考えるべきかと・・・」


「クソっ・・・ジジイ1人殺すのに何やってんだ!?」


シグマは燃え盛る火の中に薪を勢いよく突っ込みながら言い放つ。報告した者はビクリと体を震わせて畏まる。八つ当たりの対象とならないように縮こませながら


「おい!タナトスとアビルの隊を向かわせろ!シーリスも戻り次第向かわせる・・・この依頼は失敗出来ねえ・・・前金も貰ってる」


「ハッ!」


すぐさま伝令に向かう男を尻目に、シグマは誰もいない所で呟く


「弾は5発・・・その内の1発をかけた依頼だ・・・失敗は・・・出来ねえ!」


ギリッと鳴る程に歯ぎしりし、2人の出て行った扉を睨みつけながら呟いた。


その出て行った2人は森の中の辺りを見渡せる小高い丘に来ていた


「何があったと思う?」


フードを被ったままの男は、先程シグマと話していた男────ザイトに問いかけた。


「憶測で物を言うのは好きではありませんが・・・恐らくは先発隊の失敗かと」


「だろうな。奴らの情報網は素晴らしい・・・進捗を伝えてこないのはそういう意味だろう」


ザイトの返答に意を得たフードを被った男は口元を緩める


「よろしいのですか?」


「構わん。失敗も成功も想定内だ。事を起こすのが、今回の目的だ」


「・・・凡人の私には測りかねますね」


「概ね計画は順調だ。次の段階に移る・・・俺はメディアに向かい最後の仕上げだ」


「生き急がないように・・・」


「人生は短い・・・急がねばどうする?」


フードの男はザイトの言葉を遮り、丘の上から眼前に広がる広大な壁を見下ろす。大陸中央に位置する大国デニス・・・四方を壁で囲い他国からの侵入を拒否するかのように佇む


「なあ、大陸に6カ国は多いと思わないか?」


ザイトは片膝をつき顔を伏せたままその言葉を聞いていた。主君の壮大な計画に酔いしれるように・・・


────


デニス国南東に位置する場所に荘厳な門を構える建物が存在する。中に入ると中庭で多くの者が修行に勤しんでいた


「「「「ハッ!ハッ!ハッ!」」」」


力強く息を吐き、声に合わせて拳を突き出す。一糸乱れぬその動きは見るものに感動すら与える


「凄いわね」


素直な感想を述べた妙齢の美女は歩を止め後ろを歩く小柄な男の子に顔を向ける。前を歩く男は胸を張り、自慢げに呟く


「日々の訓練の賜物です」


「ええ・・・とても・・・良い見世物だわ」


女の物言いに、男は眉をひそめ歩を止めた


「なんなら試してみますか?」


女の言を挑発と受けた男は挑発で返す。だが、女にとってそれは聞きたかった言葉


「そうね・・・アーク!私の正面の列の前から3番目の男と手合わせしなさい・・・加減は忘れないようにね?」


「はい!お母様」


女に言われたアークは中庭に降り、一直線に言われた男の位置まで向かっていく。すぐに指導していたであろう男が全員の動きを止めるよう言い放つ。挑発した男は冷や汗をかき慌てたように女に止めるよう促す・・・が、時すでに遅くアークは男の前に立ち見上げていた


「手合わせお願いします」


アークは満面の笑顔で目の前の男に言うが、男は困惑し指導していた男の方を見ていた。指導していた男は女とアークを案内していた男に向け目線を送ると、案内していた男はため息をつきながら頷いた。それを受け指導していた男はアークの前にいる男にコクリと頷き許可を出す


立合いの許可は得た・・・男はチラリとアークの母親の方を見る。不敵に笑うその女は男を刺激した


「怪我したら母親を恨みな!」


周りはすぐさま2人から距離を取り円形に囲む。構える男に対してアークは笑顔のまま立っているだけだった。


「どうした?臆したか?」


「おくした?何それ?」


素直に返すアークに周りが嘲笑し、構えた男は呆れる。見た目10を少し越えた辺りか・・・自分より倍以上幼い対戦相手に気が抜けてしまう


「すきありー、あ、うん!」


刹那目の前のアークが消えたことに動揺し、気配を探るが見当たらない・・・ふと寒気を感じ下を見ると、自分の腹に手を添えるアークの姿があった。


「はい!あ、うん!」


言った後、アークは呆然と立つ男から目線を切り、周りの垣根をかき分け母親の元に戻っていった。あまりの出来事に周囲の者達が動きを止めていると立ち合った男に変化が起きる


「お・・・おい!」


目から耳から鼻から口から・・・あらゆる穴から血が噴き出した。男に動きはない・・・ただ血だけが流れ出る


「あらあら加減しなさいって言ったのに・・・」


「かげんって何?母様?」


「あら?教えてなかったかしら?」


「アイリン殿!」


案内していた男は女────アイリンに向かい叫ぶ・・・が、アイリンは手の甲を口に当て笑いながら男に言う


「あは・・・ちょっと見覚えあった男だったからつい・・・ね♪確か父の代にはうちに居たはず・・・それがいけしゃあしゃあと他家で汗流してるなんて見苦しくて仕方ないわ」


口調は笑いながら言っているが目は笑ってはいなかった。もう用はないと奥に歩き始めるアイリンにアークはついて行き、男は首を振りながら後をついて行く


男が一番奥にある扉の前に立つと両手をつき力を込める。ズズズと重々しい音を立て扉が開くとそこは何も無い大きな部屋だった。中には座ってる男1人に、その後ろに10数名の男達がズラリと並んで立っている


「随分時間がかかったな」


奥で胡座を組む筋肉質の男が、入ってきたアイリンを見つめながら呟いた。アイリンは大袈裟に肩を竦め、何も無かったと言わんが如く軽く説明した


「小虫がウザかっただけ。ここは小虫が多くて困るわ」


「小虫にすら逃げられた奴がよう言う」


「小虫に群がられてご満悦?器の小さい事」


バチバチと2人の視線が絡み合う。軽い牽制だったのだろう、興味無さげに話を変える


「ウカイ・・・久しぶりね」


「アイリンも元気そうだ・・・後ろのガキは何人目だ?」


「ガキって・・・3人目よ・・・可愛いでしょ?」


アークの背中を押し、自分の前に立たせる。アークはコクリと首を下げ挨拶をするが、ウカイはアークを一瞥すると再びアイリンに視線を戻す


「で、何の用だ?まさかガキの紹介って訳でもあるまい」


「ガキじゃなくて、アークよ。私がそんなに暇に見える?あなたと違って暇じゃないのよ」


「充分暇に見えるが気のせいか?」


「気のせいよ」


お互いジャブの応酬は続くが、痺れを切らしたウカイが先に折れた


「世間話をしに来た訳でもあるまい。要件を言え」


「あらせっかちね・・・まあ良いわ。ちょっとお願いがあるの」


「金の無心か?」


「まさか・・・ある男を倒して欲しいの」


「あ?てめえでやれよ」


「それじゃあ意味がないのよね」


「意味?」


「そう・・・阿家現家主」


「ああ?」


ウカイには意味が分からなかった。現家主は目の前にいるアイリンのはず・・・自分を倒せ?


「私は放棄したの・・・家主より子育てに夢中よ」


言ってアークの頭をポンと叩く


「アムスの爺さんかよ?」


「いいえ・・・現家主は私の2番目の愚息、アシスよ」


ウカイは目を見開きアイリンを見るが、アイリンは何処吹く風。髪の先端を指でクルクル巻きながら目線をかわす


「てめえ・・・何考えてやがる」


「阿家と吽家が袂を分かって何年かしらね?もうそろそろ元に戻っても良いと思うの」


「ハン!仲直りでもしようってか!」


「いいえ・・・阿家と吽家ではなく、阿吽家の復興」


ウカイは胡座を組んだまま床に手を付き前のめりになる


「おい・・・ふざけてるのか?」


今にも噛みつきそうなウカイに対し、アイリンは態度を崩さず話を続ける


「黒龍と黒虎・・・2つが揃うなんて・・・ゾクゾクしない?」


妖艶に腰をくねらせるアイリンに、ウカイは毒気を抜かれたのか座り直しため息をつく


「何を企んでやがる?」


「私の今後の安寧?」


「あ?」


「もう嫌なのよね~阿家だの吽家だの家主だの・・・うんざり。私と私のアークがそんなのに巻き込まれる可能性を無くしたいのよ」


「そのアシスって奴が家主なら、関係ねえじゃねえか」


「そのバカ息子は今『カムイ』と揉めてるわ」


「!」


「薮を突っつくのは構わないけど、私達に被害を被るのは勘弁して欲しいわ」


「『カムイ』か・・・そりゃバカだ」


「でしょ?あなたのお父さんのウラヌスとどっこいどっこいよね?」


「・・・おい」


「まっ、そんな訳でカムイに殺される前にチャチャッと黒龍を奪って阿家と吽家を統一して欲しいわけ。あなたなら簡単でしょ?」


「馬鹿言うな・・・会ったこともねえ相手に簡単もクソもねえ」


「あら意外!あなたならどんな相手でも一捻りだと思うのだけれど・・・」


「目の前に一捻りじゃない奴がいるからな・・・そんなおだてには乗れないな」


再度睨み合う両者。周りの空気すら固まる・・・そんな息苦しさを醸し出していた


「・・・だが、カムイが絡んでるなら別だ・・・黒龍を奪われる可能性が高い・・・乗ってやるよその悪巧み」


「人聞きが悪いわね・・・楽しい老後計画と言ってちょうだい」


「カムイと揉めてるのはいつからだ?」


「つい先日よ」


「えらく耳が早いじゃねえか」


「私にも伝手くらいはあるのよ」


フンと鼻を鳴らし、ウカイの言葉に返すとふと何かに気づいた様にじっとウカイの目を見据える


「あなた・・・ビビってるの?」


「おいおい・・・そりゃあ聞き捨てならねえぞ」


今までのやり取りが児戯であったかのようすら感じる殺気・・・アークは構え他の者達は味方のはずなのに膝を落とし、震える


「そうよね・・・悪かったわ。アシスは今メディアに向かってるはずよ。その後デニスに向かうと聞いているけど、その辺はまだ不明ね」


物怖じせず続けるアイリンを尻目に、アークは少しアイリンを庇うように動く


「ケッ・・・とんだ母親もいたもんだ」


殺気を納めたウカイが言うとアイリンはもう用事は済んだと踵を返し手を振る


「仕方ないでしょ・・・面倒臭いのよ」


アークを連れて部屋から去るアイリンを見つめ、視界から消えた後ウカイは立ち上がり叫んだ


「ちょっとメディアまで行ってくる・・・留守は頼んだ」


「「「ハッ!」」」


誰も止めることはしない。それが全幅の信頼なのか、恐怖によるものなのか────ウカイは黒いマントをたなびかせアイリンとは反対側に歩きだし部屋の奥へと消えていった


「母様・・・僕にできるかな?」


アイリンの隣を歩くアークは自信なさげに呟いた。それを見たアイリンは優しく微笑むとアークの頭に手を置きこう呟き返す


「今は無理ね・・・でも、いずれは・・・」


2人の母子はそのままここ────阿吽総本山を後にする


────


「ナタリーさん、わたし無理かも・・・」


「頑張って・・・あなただけが頼りよ!」


なんか青春的なものを見せられてるが、イノが挫けそうなのは俺とジジイへの説明ってのが青春臭さを一掃する。イノがジジイに『これでは見つけられません』と似顔絵?を見せると、ジジイは『なぜ?』となるし、俺がとりあえず行ってくると言うと『おいこらちょっと待て』となるし・・・


「お願い・・・聞いて・・・今のままでは奇跡的な偶然が重ならないと会えないの・・・こんな人間はいないの・・・」


「似てると思うんじゃが・・・」


「似てない!」


「奇跡的な偶然が・・・」


「訪れない!」


ゼェゼェと息を切らしながら的確に突っ込んでくる。そりゃあもう被せまくりで。矢継ぎ早に行われる応酬にナタリーもタジタジだ


「ただでさえ黒いマントで目立つのに、そんな中で国中うろちょろしていたら・・・」


「それだ!」


「どれだ!?」


「黒いマントを見せびらかせば、釣れるんじゃね?」


「魚か!」


「妙案じゃ」


「どこが!?」


いや、結構良い案と思ったんだが・・・もしかして勢いで拒否してるんじゃないか?と思った時期が俺にもありました


「ハァ・・・カムイはアムス・・・様を狙っています。共通の情報は顔、居場所、そして、阿家・・・カムイは阿吽の情報をある程度持っています。もちろんその黒いマントの事も」


・・・俺より知ってそう。まあ、俺が知らないのはジジイのせいだが・・・


「マントは血縁者が受け継ぐのも知っています・・・黒いマントは阿吽の象徴。見つければ今の状況ならカムイは黒いマントを持つあなたを襲う」


ふむ・・・なぜ?ここは黙って聞いておこう


「カムイは情報を最も重視します・・・どのような状況か把握出来ない今、最も情報を持っているのはアムス様以外ではあなた・・・アシスになるからです」


イノはカムイの事を喋る時、普段より固いような気がする。引け目なのか語りたくないからなのか・・・


「好都合じゃないか?俺はカムイを潰す為に動いてる・・・襲われれば手間も省けるし、村が襲われる可能性も下がる」


「あなたはカムイを舐めすぎです。カムイがあなたを認識し、あなたがカムイを認識してない状況では確実に殺されます。グリム達と争った状況は全く参考にならない」


「殺気くらい感じられるが」


「殺気を感じた瞬間にあの世です・・・暗殺者舐めないで下さい」


今俺はイノの方が怖いんだが・・・言うと怒られそうなので自重


「なので、あなたにはわたしがついて行きます」


「なぜ!?」


「わたしはカムイの場所も皆の顔も知っている・・・効率よく最短で危険を回避しながら行くのはそれが最善」


「え?無理!」


「は?」


ヒィ!顔怖いですよ!落ち着け・・・俺にも理由があるんだ


「イノを・・・100%信じた訳じゃない・・・確証がないのに連れていくなんてそれこそ自殺行為だろ?確かにあの時イノがジジイを殺すのを止めなければ、俺は君らを見逃してたかもしれない。が、それを含めて演技だとしたら?」


「それを言ったら現状もおかしい!わたし達を信用出来ないなら、仲間にすると言ったのはなぜ!?」


「ジジイだから」


「は?」


「ジジイが君達の顔を見た。元暗殺者と認識してる。これで殺される玉じゃないって・・・俺は知っている」


「この状況でわたしがアムス様を殺せると言ったら?」


「それは無理だ」


「だから、あなたはカムイに勝てない」


断言されました。それはもう・・・ええ・・・きっぱりと。なんか堂々巡りな会話に終止符って言葉が浮かんでこない


「あなたはどうすればわたしを信用出来るの?」


「その『どうすれば』が分からないから信用が出来ないんだが」


すると、イノは歩き出し、目と鼻の先までやってきた。身長差は10センチくらいか、少し見上げる感じで俺を見ると目が合う


「わたしの決意は変わらない。わたしは・・・カムイを潰す!」


息がかかるくらいの距離で鼻息を荒らげるイノ。いや、潰すの俺なんだけどなぁーと思いつつ落とし所を考える。目を見れば・・・分かれば良いのだが、そんな眼力は俺にはないし・・・でも、綺麗な目をしてるなー、髪も俺とは違い銀髪のサラサラヘアーだし・・・


トーマスが言ってたな・・・『なんか、こう守ってあげたくなるんだよ・・・女つーのは・・・俺の周り強い女ばかりだけどな』って、その時は風呂の温度が2、3度上がったような気がする・・・熱かったし・・・風呂・・・水浴び・・・ああ、改めて見ても胸は小さいな・・・ガッ!


「お前!今!」


俺の目線に気づいたのかイノの膝が、俺の尿の出口を勢い良く、押し上げやがった。なんか・・・尾てい骨辺りまで突き抜けた痛みが迸る。信用するしないの話をしてるのに、お股にゴンは逆効果では!?


「・・・アシス様」


ナタリーは額に手を当て首を振り、ジジイは食らってもないのに股間を隠してる。ラクスは・・・居たのか


「お前は・・・どうして・・・こう・・・」


顔を真っ赤にしてイノが呟く。あなた→アシス→お前ですよ。格下げ祭りが止まらない


「やれやれ・・・話がまとまりゃせんな・・・どれ年の功の折衷案じゃ」


「折衷案?」


怒りを抑えながら、突然喋りだしたジジイに向き直るイノ。ファサッと鼻の前に髪がなびくが、匂いはしない・・・次は殺られるから


「アシスとイノ・・・さんじゃったかな?2人でカムイに向かってくれ」


あれ?折衷案ってA案B案の間をとってとか、そういう意味じゃ無かったっけ?今のだとイノ案しか採用してないよ?


「それだとアシスの母親探しは・・・」


「急ぐ用事でもない・・・元々アイリンを探しに情報を集めるための中央行き・・・ついでに絡んできたカムイを潰すと言うのが話の流れじゃったが、ついでを本筋にし、片付いてからで良いじゃろ」


「・・・」


「で、じゃ。折衷案と言ったのはのう・・・仮にも元家主であり、代行であったワシを狙ったんじゃ・・・現家主として対処せねば示しがつかん。なので・・・派手に行け・・・大陸中に阿家現家主がカムイに噛み付いてると知らしめるようにな!」


なるほど・・・俺の黒マント見せびらかせ作戦とイノ連れていき作戦の折衷案ね


「そんな事すれば!カムイのいい的に!」


「構わん・・・餌がでかけりゃ釣れる魚もでかくなるわい。雑魚が何匹釣れようが腹の足しにもなりゃせんわい」


ジジイ・・・その言い方だとイノも餌みたいだ・・・いや、その腹積もりか?俺はイノの顔を見ると目が合った。言いたいことが分かったのかイノは首を振る


「わたしはどうなっても良い・・・でも・・・」


言って俺の方を見るが俺はジジイに視線を向ける


「「だってなあ(のう)」」


2人は同時に呟いた


「「面倒臭いんだよ(じゃよ)」」


イノの絶句した顔がひどく面白かった










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