4章 エピローグ
ファラス国首都ローザンロウの一室
フェードは手を後ろで結び目の前にぶら下がる人物を鋭い目線で見ていた。フェードの後ろで腹心のザイトが跪き、今しがた受けた報告をフェードに伝えていた
「窮地を脱したか・・・それは何より」
「しかし、驚きました。元々計画に入っていた内容をまさかメディアから要請されるとは・・・」
「そうだな・・・王子を殺した相手に救援要請・・・なかなか出来ることじゃない。ガーレーン太守のソルトと言ったか・・・晩餐会でアシスと仲良くしていたようだが、あの頃は目を閉じていたからな・・・リスクを承知で見るべきだったか・・・」
コツコツと石畳の床を鳴らしながら部屋の中を歩き、フェードは続けてザイトの報告に耳を傾ける
「シャリアの残党はほぼ無力化に成功・・・ですが本当にキャロン様とキュロン様が太守で?」
「構わない。統治を学ぶには良い機会だ。元シャリアの領地を攻め入る勢力などないからな。ゆっくりと学ぶには最適だ。奴隷も豊富だし、直に寒波も終わる」
「はっ!・・・後、シャリアより逃げたユキナ元第二国王は無事デニス入り致しました。我が軍がデニスを攻めるには良い材料となっております」
「絶世の美女らしいが結局顔は拝めなかったな。デニスでの扱いが気になるが・・・あまり刺激し過ぎてつっかえ返されないようにしておけ」
「よろしいので?」
「俺を色魔扱いするな。それにロウ家なら俺の血縁だ。遠いかろうが流石にな・・・ハゲの処遇は?」
「・・・ハーゲンです・・・ハーゲン元第一国王は奴隷制度復活の礎となりました。奴隷第一号となり、キャロン様とキュロン様の持ち物となっております」
「くはっ!それは良い・・・面白い遊びでも思い付くだろう・・・なあ、カイト」
天井から出た鎖に両手を繋がれた男・・・カイトは何とか目を開けフェードを見る。顔は腫れ上がり、身体中には鞭で叩かれた跡が痛々しく残る
「お前と違って二人は従順だ。それに比べてお前は・・・生きているから良いものの、危うく十年の歳月が無駄になる所だった」
「もう・・・しわけ・・・あり・・・」
「・・・俺は何も可愛い息子を痛めつける趣味がある訳では無い。だが、俺の計画を邪魔する奴は誰であろうと許さん。ワレンのようになりたくなければ、今後勝手な事をしない事だ・・・おお、そう言えば聞いてなかったな。ワレンはどうだったか聞いているか?」
「戦闘では上手く機能したみたいです。感情もなくただひたすら殺戮を繰り返す・・・問題は敵味方の区別がつかない事ですかね?要改善かと・・・キャロン様とキュロン様が力ずくで止めたらしいので」
「ほう・・・まあそんなものだろ。概ね成功だな」
ザイトの報告に満足したのか、フェードは満面の笑みで報告を聞き頷いた
シャリアはファラスの手により滅亡し、大陸は5ヶ国となる。その結果、ファラスの領土はデニスと並ぶ程広大となるも大寒波の影響により正常に機能しているとは言い難い。そんな中、予定通りに事を進めるフェードに改めて敬意を表しザイトは確信する。大陸統一するのはファラスだと────
本日18時に番外編1話アップします
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