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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
4章 地球からの来訪者
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93話 再会の3人

終焉の門、ゲート・オブ・カタストロフィを抜け出て現れた咲子


僕に笑顔を向けたまま、その後キョロキョロと辺りを見回す




【ん? どうしたね?】




突如起こした行動の意味が解らず問い掛けた




「あ、うん…… これからどうしたら良いのかなぁってね? あの河…… 三途の川を渡れば良いのかなぁ?」




あ、そういう事か……




【まぁ、いずれは大河カタストロフィを渡らなきゃならないけどね…… 先ずは座れよ♪】




そう彼女に伝え、影に隠れて見えないだろう笑顔を向ける




「うん♪」




彼女もまた笑顔を返し、その場にペタンと座った




「あれ?」




突如呟いた彼女の疑問




【ん?】




僕の聞き返しには反応無く、咲子は己の(てのひら)をくるくると裏表ひっくり返しては眺めていた




【だからどうした?】



「あ…… うん、()()()()()なぁってね? 体も若い頃に戻ったみたいだし……」



【確かにあの頃のままだな…… お前は能力眼所持者だったから、その時の記憶が読み込み(リロード)されたんだろう♪ 全盛期だったお前達の戦争時のな】



「ふーーーん……」



【ま、なんにせよ少しココでゆっくりしていけ♪ 色々と話も聞きたいし、お前達の地球での時間で32日後に泉もこの世界へ来るし!】



「あら? 泉も死んじゃうの?」



【…… 僕はファジーに言ったハズなんだが…… 泉はお前の大切な者だろ? 死ぬとか軽く言うのはどうかと思うぞ?】



「え? でもそういう事でしょ?」



【いや、まぁ…… そうなんだが……】




あっけらかんと口にする咲子



デリカシーが無いと言えばそう取れもする



彼女にとって真実は真実であり、それ以上でも以下でも無い






だからかな?






話し方といい、笑顔といい、そして雰囲気といい……






彼女にラフレシアの魂が入って居たと頷ける、箇所箇所に見受けられる仕草や言葉遣い



泉もまたラフレシアの魂の半分を所持していたが、言葉遣いは咲子より少々強めだったし、出会った最初の印象が最悪だった



いや、咲子だって出会った最初はネガティブな印象を受ける部分はあったが、総合的に見ればラフレシアに近いのはやはり咲子だ



もしも2人に魂が分かれ継がれたとして、元は1つの心



レシアに近いのは咲子だとしても、泉だってレシアだ



ということは泉の持っていた力強い意思も言葉遣いもレシアの一部



レシアの内に秘めた心なのかも知れない



そして彼女達2人に共通した絶対的な真意





《優しい世界を創る事》





魂が2つに分かれても、それだけは2人が所持してくれていた心の清らかさ



色々なレシアの心と接する機会が有ったのは、とても幸せな事だと思えた








僕は咲子へ魂の今後のあらましを伝えた



このままの状態では1日後には霧と消える



それを未然に防ぐ為、彼女の姿を映す魂そのものを柔らかな光、そして力でコーティングした



咲子が消えないように……



この世界でまた、泉と会える様に……



同じ時に生まれ変わりをすれば、また彼女達は現世で会えるかも知れない



そうすればまた、2人で幸せな日々を送れるかも知れない



それは願いでもあり、祈りでもあり、確信でもあった



咲子にソコまでの心を伝えるわけじゃ無い



別に感謝されたいわけでも無い



これは僕の大切な孫娘に送る最後の……



愛情といえる行為だった








毎日毎日の会話を楽しむ



彼女がどんな生き様を歩んできたのか



それらを笑顔絶やさず話していると、いつしか咲子がこの世界を訪れてから随分と時が経っていた






それは彼女達が精一杯生きた地球



その世界で数え、32日目を迎えた






【おっと…… 咲子】



「ん?」




そう言い首を傾げる彼女


僕は影に包まれた指を終焉の門へ向けて話し掛ける




【そろそろ泉がやってくるぞ】



「あ! もうそんな感じ!?」



【ああ♪ 3人で話をするのは初めてだな】



「そうだね♪ って…… そろそろって後どの位?」



【約30秒後だ】



「うっそ!? (はや)ゃゃぁぁ!!」



【どうした! 何か有ったのか!?】



「いや、隠れて驚かさなきゃ!!」



【は?】



「私がココに居る事は知らないでしょ!? だったら驚かさなきゃ面白くないじゃん!!」



【は…… はぁ…… そういうもんかね?】



「当たり前でしょ!! どこか隠れる所は!?」



【んーーー…… 扉の裏とかは?】



「それだ!! ナイスよ、ジャッジメンター♪」




そう叫んだ咲子は僕に笑顔を向けて駆け出す


そして扉の裏側に移動したところで息を殺した





やれやれ……


まだまだやる事が幼いな……





などと思いながらも不意に目を向けた足元には足跡が扉の裏側まで付いている





証拠丸出しじゃねぇか……





まぁいっか……





その足跡へ僕は手を向け、ポポポポンと小さな爆発を起こして消し去った





こんなモンだろう





事が整った僕は扉から離れ、少し歩いて立ち止まる



そして扉の正面へと向き直り、砂漠に腰を下ろした




それから間もなくだ






咲子との会話中にも開閉した終焉の門から感じるオーラ



その者は最早(もはや)力は曾孫に継がせ、人になっている



咲子と同じ、ヒト



それでも間違いの無い気配だった








扉を抜け出た女性は、この世界の空を見上げていた


雲1つない晴天


そこに眩しさを感じたのか手をかざす


そして程良く影と指の隙間から覗く光にニコリと笑った






だがその直後、その表情は硬直する






両手に目を向け、クルクルと手首を捻っては裏表を見ていた


そういえば先程の咲子も同じ行動を取っていた






彼女は顔を触る





持ち上げたり頬を引っ張ったり……


変顔を見せたいのだろうか?


いや、解っている


確認しているんだ






その後も足に目を向けたり、体に目を向け、触ったりを繰り返す



そして、ようやくその行動がピタリと止んだ後……




ゆっくりと、この砂漠に目を向けた




真っ直ぐ正面を貫く、強い眼差(まなざ)




一瞬驚いた面持ちを僕へ向けたが、その後に彼女はニコリと笑った






僕に向けて、笑った






そして、言った






当たり前の様に、言ったんだ






あの日の……






この女性と交わした約束を……






「67年…… お待たせ♪」



【ああ…… お帰り♪】



「うん、ただいま…… ノア♪」




あの日のままの《泉》が訪れた



率直に、嬉しかった



今の姿は影人



それでも直ぐに僕が誰かを解ってくれた






地球の時間で67年



実に長かったと思う



でも、これ程までに満たされている



僕の心は満たされている



それだけが今の僕の、感情の全てだった


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