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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
2章 孫
9/109

8話 レイジ

まあ、そんなこんなで、レシアは僕を《ノア》と呼び、いつしか周りもそう呼ぶようになったわけだ






そんなレシアが()()()()()()()()()()






僕の《妻》となる






そう言ってきた



子供の()(ごと)



いつまでそう言ってくれるのかと聞いたことがある




《ずっとだよ♪》




そう、彼女は言った



直接的な血の繋がりは無い



でも、少なくとも僕は孫だと思っている



それに僕には、僕のレプリカであるムーンの様な繁殖能力は無い



レシアは女性として最大限に幸せを掴むことは無い



だからこそ、少しずつ…… 少しずつ……



()()()()を進めていった






()()()()()()()



その者と幸せに成って欲しい



その思いを乗せたプランだ









長い年月は掛かった



それもあってか、この世界にも町は出来ていった



大きな物もあれば、小さな集落といった物もある



この世界に生まれた物が、愛を持ち、子を産み、そしてまた育つ





長きにわたって創り上げた僕の世界がソコには在った



各方面からの話題も僕の耳には入る



僕の宮殿は()()()()()()()()()()に位置する



地球の様に丸くは無い



そんな()()()()()()()()



だからこそ話、噂話……



そんな物も妙に聞き入り易い



良い話だけでは無い



このカタストロフィでもヒトが、ヒトとして生きている



住民にも個々に()がある



お互いの理想の上に成り立つのが集落、村であり、町……



街であり、国……



そして世界なのだろう






世界は……



このカタストロフィは順調に世界を生育していった








とある日、僕の耳に入った話題



とても素直で優秀



力も持ち、文武に長けた少年の話を耳にした



小さな集落



この宮殿からかなり離れた地に落ち着いた村だった



大河カタストロフィの最下流に位置する村



そして、そう多くない人口の村



そこでその少年は生活しているらしい






その話を聞いた後、僕は()()()()()()()()()に、その村を訪れた






温かい村だった



天候がじゃ無い



()()()()()……



僕はその村を直ぐに気に入った



初めて訪れた()()()()()



そんな僕にすら、分け(へだ)てなく接してくれた






僕に(のど)(かわ)いているだろうと水をくれ、腹が減っているだろうと食べ物をくれた



こちらからは()()()()()()()()



ただ、その集落の住民は()()()()何かしらを振る舞ってくれた



それも笑顔で……



見返りを求めず……



お互いがお互いを支えている



この集落の住民は、それこそが一本通った信念だと気付く









僕に食事を振る舞ってくれた住民の中に、少年は居た




「お腹空いてない? コレ食べてよ♪」




そんな言葉を()()()()()()に僕へ掛けた




ヒトらしい、ヒトとしての感情



僕にソレが生まれてから、実に……



本当に……



温かみを感じる村だと実感した









それからも幾度かその村に(かよ)った



名を聞かれる時はあったが、その時には決まって《思い出せない》と伝えた



それでも深くは追求せず、彼は…… 彼等は、いつも温かく迎えてくれた






少年とも何度か話をした






同じ位の歳の子は多少、村に居はしたが、特に話し掛けてくれる子だった




【間もなく帰る】




そう言った時には最後に僕に、こう言った




「早く名前思い出せると良いね♪」




僕はいつもその言葉で宮殿へと戻る



だが、()()()()()()()



そして、言葉を掛けた




【君に友達は居るか?】




そう聞いた



彼は「勿論♪」と返す




【もう1人増えても構わないか?】




その問いには




「大歓迎だよ♪」




と、笑顔で返す



だから……






()()()……






その村にした



ココなら皆が温かく出迎えてくれるだろう



大丈夫……



ココなら……



レシア……



お前はもっと幸せになれる








その集落の名はオレンジ・ホームといった



温かい村さ



名前がソレを如実(にょじつ)に現している



そして、名を名乗らぬ僕に少年は名を明かした





その少年は《レイジ》と云う名だった





また僕はその村を訪れた



村には足を踏み入れては居無い



いつもと違い、()()()()



飛翔し、空から見下ろしていた



村がとても良い場所であることは明白だ



僕がそれを実感したのだから間違いは無い



ただ、いつも村に居る時には《もてなし》てくれていたので疑問だった



レシアにとって、最高の場であるかどうかは、少し時期尚早(しょうそう)といえる



だからこそ、僕の居ない時を見計らった









彼はその村で鍛錬をしていた



剣を振っていた



何度も何度も……



ある日は飽きを知らないのか、日が暮れるまで振っていた



ただ、妙な事に気付いた





違和感





振っている剣が、見慣れたソレよりも()()()に気付く



少し、眼を細め……



気が付かれないように空から近付く






驚きだ……






称賛に値する……






彼は少年という体に()()()()()()()()()を振っていた






いや、剣だ



それ自体は違いがない



その()()()()……



ソコには大木とはいかないまでも、くくり付け易い太い枝の様な物を10数本、剣に巻き付けた状態で尚、軽々と振り下ろしては持ち上げ、構える事を反復する



何より振り下ろしたソレは()()()()()()



地面に触れる()()()()()()()()



ピタリと、寸分(すんぶん)違わぬ位置に……






大した者だ……






率直にそう思った






そして在るときには熱心に勉学に励む



自分から解らないことを聞き、納得するまで問い掛ける



文武両道



確かに聞いていた通りだ



全ては確信となる



この村になら……



この()になら……







レシアを頼むぞ…… レイジ

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