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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
4章 地球からの来訪者
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80話 双頭龍の剣

そんなつもりは無く、僕は彼女へ微笑んでいた


レシアの面影を感じはしたがソレは有り得ない


彼女の魂を持つのは咲子だ




どういう経緯(いきさつ)でルビーアイを手に入れたかは解らない




それでも、泉を一個人として能力も心の強さも認め始めていた




だがそんな泉は…… また訳の分からない独り言を言い始めたのだった




「うん! もっと強くなって…… 経験積んで…… 咲子の隣に居ても恥ずかしく無い強さを身に付ける!! ……え?」




もはやコイツの独り言には慣れた



いや…… 慣れるのも…… 可哀想なんだがな



言葉の最後に疑問を含ませたモノを口にしたのは気になりはしたが、まぁいい……






僕は彼女に告げた




【いいだろう】




とはいえ、泉とてラピスが完全に馴染むまでには時間が掛かるだろう


ダストと1対1なら……


ふむ……


見てみたくは…… ある






となると、僕の役割は決定したな……






【さっきのような邪魔な横槍は入らないように、他は僕が処分する…… いいな?】



「了解!!」




泉が満面の笑みを向け、僕は彼女へニコリと頷く






そして顔を上げ、空を見た






そこには僕の両の掌に尻尾を付け、ユラリユラリと揺れる2匹の龍



モリサダに双龍を会わせてから随分と経つ



久しぶりに()んだ気がするよ



僕は美しく2色に輝く龍達に改めて目を向けた



彼等の表情に変化は無い



しかし、呼ばれた真意が解らない程、勘の鈍い者達じゃ無い



現状を理解し、最善を導き出す



彼等は何も言わず、小さく頷いた



うん、伝わってるな……



モリサダがお前達に言っていた成果を見せてくれ




【行くぞ…… ホン、ツァン…… 久しぶりだな…… 一気に決める……《アルトロン》に移行する】



御意(ぎょい)に……】

【御意に……】




双龍が深く頷いた



僕は彼等の尾を持つ手を合掌する



直後、その体を擦り合わせ、龍達がグルグルと絡まり合った



蒼と紅の美しいコントラスト



首まで絡まった蛇が激光を放つ



2色では無い



光が収まった時、ソコにあったのは紫色の巨大な剣



空の彼方(かなた)までを繋いだ剣だった






剣か……


僕の使い慣れた姿だな……


解ってるじゃないか、お前達♪






その剣からは稲妻が迸り、その周囲は風が舞い、目に見えるほどの渦を巻く



各所には飛沫(しぶき)が踊る雨の様な物も見える



そしてその雨に見えるソレに稲妻が纏わり付き、また周囲を眩しい光に(いざな)った





素晴らしい……


圧倒されるぜ…… ホン、ツァン






お前達が自己に無理を掛けてまで修めた力がコレか……






母の為に…… レシアの為に……






感じるよ、お前達の愛が……






バリバリと(ほとばし)る稲妻が空を切り裂く


彼等の力に地が鳴き、揺れる






上空の浮遊岩に乗っていた泉が僕を見て固まっていた



お前の為の御膳立(おぜんだ)てだぜ?



目を見開き、ちゃんと行く末を見届けろよ、泉……




【ダスト…… 良かったな…… 愚物が相手してくれるお陰で《アルトロン》に巻き込まれずに済んでな…… ククク……】




そう言って僕はその剣を振り下ろした



泉は射線上から避けるように足へ力を込め、僕の隣に一気に跳ぶ



ズザッ!!



僕の足元の砂が舞った



その瞬間を見計らい、振り下ろす速度を上げる






ホン、ツァン……


大したモンだよ、お前ら……






紫色の空が天空から地上に()ちてきたかに思える程のラピスの巨剣



眩しさ、破壊音、爆風が立つ



あまりにも激しく舞う砂埃



周囲に響く破裂音と破壊音



ボボボボボンと、止めどもなくそれが鳴った











振り下ろしきり、音が落ち着いた時、ゆっくりと見上げた空






青い空に1つの黒点、シルエット






それは、ダスト






それ以外は居無い






一撃か……






ホン、ツァン……






お前達の想い…… 確かに見届けた♪








そして、それぞれのゲートへと双龍を帰還させた








不意に感じた視線


泉は驚愕の表情で僕を見ている


そんな彼女に笑顔を向けた




【さて、邪魔者は消した…… やってみせろ、そして使いこなして見せろ…… 僕を楽しませろよ?】




ニヤリと笑った僕へ、表情を崩した彼女


その顔に映るのは自信


その気持ちを彼女はそのまま僕に告げる




「ええ…… 勝つわ!」




勝つ、か……


実に気持ちの良い答えだ


この世界に来たばかりの彼女からは想像も付かない清々しい表情





この短時間で成長したのだろうか





それとも何か別の……





まぁ、小さい事は気にしないのが1番だな





そう思って彼女に目を向けた時だった





泉の顔に少々の(かげ)りを見た


どうかしたのだろうか?


そんな僕の疑問に、彼女は質問で返した




「でも…… あの魔物達ってノアの子供…… なんでしょ……?」



【は?】 




ん?


ああ、そうか……


魔獄領域も魔物の何たるかも、そして僕の立ち位置も知らなければそうなるわな




【いや、全てが間違いとは言わないが、あくまでもアレは独自に進化した《罪の垢》…… ソレに何十年かに一度は、コウしなきゃ成らない…… 食物連鎖の上位が、下位より多くてはバランスが取れないからな…… やるべきしてやる事が、今、行われただけさ】




そう、いずれは行われる口減らしだ


僕の説明の意図を理解したかに見える彼女




「そうなのね…… うん、じゃ…… 行ってくるね!」



【ああ♪ 手出しはしない…… 自分の力でやってみろ】



「了解!!」






彼女は空に浮かぶダストへ目を向け、正面に跳んだ


そして足元に岩を創る


スムーズな動きに緊張は感じられない






まぁ、問題は無さそうだが……


念の為にいつでも力を放てる準備くらいはしておくか






腹の傷は……


ふむ、完治したようだな


中々に良いラピスの使い(こな)し……


大したもんだ






僕は両手に力を流した


淡く光る紫






この程度で充分だろう






そして1人と1体に目を向ける






折角(せっかく)の機会だ


特等席で観覧させて貰うとしようじゃないか♪






目を(つぶ)り、()()()()()()()()


僕から別れた意識がフワリと空を舞い上がり、2人の間を飛び越した


振り向いたソコには互いに(にら)みを聞かせる女性と魔物






そんな2者の中央で陣取る






緊張感の伝わる表情



こりゃ面白そうだ






楽しませろよ、泉♪


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