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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
4章 地球からの来訪者
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78話 独り言

【ゲフッッッ!!!】




突如、妙な痛みに咳き込む僕


その痛みがジワリジワリと和らいだ






コレは……


サファイアの修復か……?






いや、違う……


体に感じるオーラは…… ラピスだ







そんな事を思った瞬間だった



覆い被さった何か



ソレが僕を抱き締めた








コレは…… ラフレシア……








違う…… 泉か?








《意識の海》は……?








違う…… ココは…… 《現実》だ……








何より何故(なぜ)、この女がココに居る?








僕は疑問の表情を浮かべ、彼女に問い掛けた




【ぐ…… 愚物が…… 何故逃げなかった……?】




彼女はうっすらと涙を浮かべて居た


そしてゆっくりと口を開て、




「救いたかったから……」




そう言い、少しだけ笑った




【フッ…… やれやれだ…… ありがとう、と、言うべきなんだろうな……】



「私こそよ…… フフ……」



【ソレよりも…… ソコに頭部の無い奴が居るな…… 誰だ? 倒したのは?】




不意に顔を傾けた僕の目が捉えたモノ


見覚えがある頭部の無い魔物の骸


僕の腹を穿(うが)った奴の体型に似ている





一瞬の間の後、彼女は口を開いて言った




「私…… らしいわ……」



【らしい?】



「うん……」




どういう事だ?


()()()()()()()とでも言いいたげな答えだな





理由を聞こうとした時、先に口を開いたのは彼女




「ノア様…… 無事で良かった……」




ありがとう……


って、あれ?


泉の言葉にしては少し違和感がある言葉を発した事に気が付く




【ノア…… 様?】



「あ…… え? なんだろ……」




いや、なんだろって……


ソレを聞きたいのは僕だろ


なんでいきなり《様》付けしてんだ?




「ノア様♪ 完全に回復するまで少し休んでてね! 泉にレクチャーしてくるから!」




まただ……


人が変わったかのような発言


お前が泉だろ?


お前が、お前に何をレクチャーしようというのだ?




【あ、ああ…… つーか…… 大丈夫か? お前……】




僕が倒れている時に頭でも打ったのだろうか?


いや、そんな外傷は見受けられないようだが……




「大丈夫、大丈夫♪ あっちの世界に戻ってからの戦いはホントの本気だからね♪ ココでラピスをモノにしないと!」




いや、ソレは解っているんだが……


話し方に…… 何だろう?


《幼さ》の様な物を感じる節がある






彼女の中で何が起きているのだろう……?



その直後に言った言葉、いや、会話にはさすがの僕でも……


少し、ヒいていた……






「泉、気にすんな♪ それともレクチャー止める? いえ、教えて下さい…… でしょ? 行っくよー♪」




な、何だコイツ……


今まで見た事が無い生物だ……


自分自身と会話してやがる……


独り言なら解るが、独り言で話を成立させてやがるってのは異様な光景だ





本当にどこか打ったのかも知れない




【愚物…… お前…… ホントに大丈夫か……?】






僕の疑問には答えない泉


ただ、少なくとも倒れる前の僕には見る事の無かった表情をしていた






明らかに《自信》を持ったとされる面持ち






彼女の何かが変わった事は言うまでもなく鮮明に映し出された顔付きだった




「さて、行こーか♪ お、お願いします…… てか、自分の口で会話するの…… 何かヤだな…… 最初みたいに直接、頭の中に話してくれません……? え? そう?」




まただ……



自分の口で会話してやがる



直後、ソレが独り言に変わった




「た、助かります……」








僕が目を向けた先



上空がザワついていた



魔物達が周囲の同族と話しているようだ



内容は定かでは無いが、検討は付く






泉だ






状況を考えれば実に納得がいく



先程までの彼女では有り得なかった力を見せたのだろう



直ぐ近くに横たわる(むくろ)



頭部の無い魔物を見ればよく解る



傷口からするに()()()()()()()()()のが正しそうだ



ソレは力の差が無ければ無理な技術



僕からサファイアを接種しても、ある程度の才能が無ければルビーアイと混ざらない



だが、今も僕を修復する光は紫色



ラピスに混合した事はいうまでも無い



だとしても、ラピスが馴染むまでには時間が必要なはず……





そんな思慮を巡らせている時、不意に泉へ向けて話し掛けたのは魔物の中央に居た《ダスト》




【お前…… 何ヲしタ?】




無表情に質問を投げ掛けた奴等の長




「えっと…… さぁ……?」




泉はしどろもどろに返答した




【お前、ふザけてルのカ?】



「いえ、そんな事はちっとも……」




泉が行った魔物消滅だという事は間違い無さそうだ


ソレはダストの雰囲気にも表れているし、ココには僕と泉以外に魔物への抵抗勢力は無い






しかし、なぜだ……






自分が倒したのならそう言えば良い






ソレは敵にとっても牽制の言葉となる



簡単には倒せないと思わせるはずだ



何を考えているんだ、この女……






突如、ダストが左右の魔物に目を向け、クイッと(あご)を出した



奴の両隣に居た魔物が頷き前に出る



それと同時にその2体が彼女目掛けて飛んできた!




「え?」




驚いた顔の泉


ダメか!?


どっちなんだ!


お前は強いのか、弱いのか!?





その時彼女は言った




「あの! コノ世界から出たら、私には戦争が待ってるので……」




誰と話している!?


お前に何が起きたんだよ!?




「じ、じゃ…… お願いします!!」




何を!?


誰に!?


お願いとは何だ!?






彼女の目の前に迫った2体の魔物が手を向けた



その手が黒光りを纏う



そして放った



泉に向けて走る黒い球体






何やってんだ!?


逃げろよ!


すっ(トロ)い女が!!






泉は動くことも無く、その球体を見ていた



当たる!



そう思った時だ






彼女は大きく手を振った






パァン!!!






軽い音を立て奴等の黒球が魔物達に《跳ね返した》だと!?



向かってきた時よりも遥かにスピードの増した黒球



驚きなのか、襲って来ていた2匹の魔物達は動きを止めた



その2体に跳ね返った黒球はソノ体をすり抜け、そして背後の空に陣取っていた魔物達の軍勢にポッカリと穴を開けた





な、何が起きた……






跳ね返った黒球が2匹をすり抜けたのは解る



術者の力を形にした球だ



放った者が、放った物からダメージは無い






解らないのは彼女の方だ






倒れる前後で、これ程までの差を見る事となろうとは……






先程まで見せていた泉の表情からは想像も付かない



恐れ、おののき……



体を、足を震わせていた彼女






今はもう、過去か……






事態を把握出来ず、僕は固まっていた






そして心の整理が付かないまま、彼女を見る






大きく奴等に振ったままの腕



不意に僕の視界に入った物






泉の上げた腕


もう片方のダラリと下げた腕






その両腕に異変が起きていた








《何か》が在った








彼女の腕から手までを包む紫色の力の塊……



指の先から肘までを完全に覆い隠した物



鱗にも見える腕






真紫の【手甲】が両腕を包んでいた






「コレは……」




そう彼女は呟く


そしてまた、自問自答をしている様だった





自分が生み出した力の塊


ラピスの手甲を信じられない物を見るかのように、腕を目の前に持ち上げ見ては捻る事を繰り返す





なぜソコまで驚く?



お前が創ったものだろ?






「つ、つまり…… な、なるほど…… 考えても居なかったわ…… 了解です!」




僕の問い掛けよりも早く、彼女はまた独り言を語っていた


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