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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
4章 地球からの来訪者
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76話 サファイア継承

僕は泉に視線を移す



彼女は僕を見ていた



奴等に向ける事も無く、ただ僕をジッと見ている



そして、彼女の膝は……



ガクガクと震えていた






何て事だ……


恐怖に囚われやがったか……


ダメだ


今はまず、どうしても咲子の元へ泉を返すのが最優先だ




【僕はこの程度の輩に負けはしない…… 時間を稼ぐから扉を出ろ!】




僕1人なら問題は無い


失礼な考えとは理解しつつも、その結論は拭いきれない






現状での泉は僕にとっての(かせ)であり、足手纏いだ






そんな思いを知ってか知らずか、彼女は少し取り戻した冷静の表情で頷く



そして、走った



安心し、振り向いた先には7…… いや、8体の魔物!?



チィ…… 邪魔はさせねぇよ!






瞬間、僕の右手が紫色に光る



創り出したのはラピスの剣



そのまま力を循環させ、山の様に膨れ上がるのと同時に魔物へ向かってソレを振った



直撃した7体の奴等が地上に堕ちる



1体逃したか!



向かう先は……



泉か!?



それが解った瞬間、僕は叫んだ




【愚物!!】




振り向き、止まった彼女



しまった!



むしろ一気に走らせるべきだった!!



マズい!



間に合わねぇ!!






サファイアの盾で守るか!?


無理だ!


遠すぎる!!


アレは纏う物…… 接触し無ければ発動させられない!


発動してもジェル状の盾を貫通するリスクは否めない





ルビーの盾なら離れても創れる!


いや、ダメだ


アレは強化ガラスの様な仕組み


魔物の力いかんによっては破砕する





ラピスの盾なら可能か!


両方の利点を持ち合わせたアレなら!





今の……


今の僕の緊張状態で創れるのか!?


紅蒼の力を混ぜ合わせる集中不可欠なアレを……




解らん……


それ以上に…… 時間が無い!








巡る思慮








だが、時間が無い今……








選択肢は1つ








盾になるのは……








《僕》だ








この女に何かあっては咲子に申し訳が立たん!








僕は筋力増加させた足で一気に足元の砂を蹴った



小粒の砂の海は無情にもその足を空回りさせる



諦める訳にはいかない!



僕は飛んだ



即座に風を創り、泉の元に飛翔する



そして彼女に抱き付き、そして離れ、肩に手を置いた




【ちゃんと覚醒してやりたかったが時間が無い! 悪いが調整出来ない! 壊れんなよ! 自分を強く持て!!!】




咲子が待っている


泉の力を頼りに、待っている


だが今の彼女では体が崩壊するかも知れない……


咲子へ与えた様に淡いサファイアを……


いや、時間が無い!


淡くなど調整出来るほどの余裕は無い!





彼女の力に


意志に


心に


ルビーアイに祈るしかない!!








直ぐ背後に気配を感じた瞬間だった








ザグシュッッ!!








《妙な音》が耳に届き、体が揺れた



それと共に異様な熱を腹部から感じた






僕の体から禍々(まがまが)しい何か



魔物の手、爪が…… 伸びていた








ヤられた……








デケぇ穴だな……








参ったな、コレは……








ココで…… 終わるのか








僕の一生が閉じる








モリサダにはピュア・ラピスを与えた


僕が倒れ、この世界が崩壊する事を奴なら止められるだろう






いや、まだだろ?


この女を咲子に返さなければならない


サファイアのシードを……



種を……



与えなければ…… まだ終われない!



種?



冷静にソレを創れるのか……?



無理、か……








僕は飛びそうな意識を無理矢理抑え込み、そして泉を見た



彼女は僕から突き出る魔物の手を大きく見開いた瞳で見る



そしてゆっくり顔を上げ、僕を、顔を…… 見た






彼女には生きて貰わなければ困る






僕は彼女に笑いかけ、そしてゆっくりと顔を近付け……






その唇に僕のソレを重ねた






直接サファイアを流し込むしか無い



そんな思いで、想いで、ゆっくりとゆっくりと……



負荷が掛からぬようギリギリの注意を払って流し込んだ






離れる唇






目を見開く彼女






何事も無い…… のか……?






彼女か……






彼女、咲子の準備が整って居たのか……






咲子…… お前…… (すげ)ぇよ……






なんだ






じゃあ直ぐにでも流し込めば良かったな






直後襲われた止められない衝動


血が、逆流した




【ゲフッ!! そっか…… 咲子か…… お前は…… 半分…… ハァハァ…… 覚醒してる…… んだな…… よかった…… お前を…… カハッ……!! 壊さずに…… ハァハァ…… 済んだ……】




咳が言葉の邪魔をする



離れそうな意識が言葉を詰まらせる



それでも、か細ぼそく言葉を紡ぐ




「ノア……? ノア…… もう…… (しゃべ)らないで!!」





僕は薄い微笑みを彼女に向ける



そしてまた、言葉を無理に捻り出す様に……



言葉につまずきながら、語り掛けた




【お前を…… 助けなきゃ…… こんなドジは…… ゲホッ!!! し無かった…… だろうけど…… この際だ…… ハァハァ…… しょうが無い…… 逃げろ…… お前は…… ゲハッ……!! 生きろ……】






どうにか……



サファイアを与える事には成功したか……






朦朧とする意識の中






気付いた時には、膝を付いていた






ヒューヒューと口から漏れる息






それと共に揺れる体






呼応した膝からなる砂漠の砂の音






彼女は振り向いた






20歩程度先には扉がある






そう、それで良い






お前には使命があるだろ?






僕に構わず扉を進め






じゃあな……






咲子と元気に……






暮らせよ








そう祈り、意識が無くなる寸前で言葉を聞いた







「私、逃げない!!!」




何言ってんだ、お前






良いから逃げろって






そこで僕の意識は途絶えた


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