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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
4章 地球からの来訪者
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72話 贈り物

陽が落ち、夜が訪れる


その間にも幾度となく開閉する終焉の扉





さすが僕の創った扉だ


壊れる気配など微塵も感じさせない頑丈な造り






小さな自己満足を感じた頃、いつの間にやらまた陽が姿を現した






空を照らす光



砂漠の砂をチラチラと輝かせる



敷き詰められた砂金に乗っているようにも感じる



こんなにも世界は美しいのに……






なぜだろう?






ふと感じた虚無感






ラフレシアに会いたい






また話がしたい……






楽しかった


咲子と話をする時間がとても幸せを感じた


67年……





遠すぎる


彼女の声が聞きたい






そんな想いを持った時だった






突然、終焉の扉、ゲート・オブ・カタストロフィの表面に《紫色の穴》が空いたのを見た






何!?


何者だ!?


流れ出るオーラはモリサダの物じゃ無い


奴の力よりも遙かに小さい


だが、軽視は出来無い






僕は空いた紫色の穴に向け、言った




【何者だ…… コノ世界を繋ぐ扉を開いたのは…… 3秒待つ、開いた理由と名を名乗れ…… さもなくば、お前を消す……】




軽はずみな力で空ける事は出来る訳が無い


話す回答によっては処分対象だ





だが、その穴の外側から届いた言葉は意外とも納得とも取れる、優しい声だった




「ジャッジメンター!? 貴方なの!?」




この声は……




【ん? ああ! 咲子か♪】




嬉しかった


僕が想ったから空けたのか?


いや、違うだろう


多分空けた事には理由があるのだ


なにんせよ僕が与えた力


ソレを混ぜ合わせ、ニア・ラピスとして体に馴染んできたのは実感出来る




【なるほど…… 到達したね、ソコに♪】



「そうなるのかな?」



【そうさ…… おめでとう♪】



「ありがとう……」




雰囲気がおかしいな……




【ん? 浮かない声だな? どうしたね?】



「あ、うん…… 実はね…… 助けたい生物が居るの」




ソレが穴を空けた理由か……




【ほう? それは、そちらの獣医とやらに頼むべきでは?】



「コノ世界の生き物じゃ無いのよ……」



【ソノ世界のじゃ無い…… ふむ……】




となると……




【呪の穴かな?】



「そうらしいわ……」



そう《らしい》?


人伝いに聞いた言葉か?


つまりはアイツか……




【なるほどな…… で、終焉の扉かい?】



「解らないけど…… そうするしかないって知り合いが……」




やっぱりだ


ったく……


面倒事は全部僕に押し付けやがって……




【知り合い…… か…… ヤレヤレ…… いいだろう…… そういうことならレクチャーしよう】



「ありがとう! そして、どうすれば……?」



【この扉に…… ああ、穴に見えるかも知れないが、ソコに、分解と構成のイメージを強く持って通せば良い、それだけさ】



「イメージ……」



【そ! イメージが大切だ♪ 道標(みちしるべ)も何も無い…… だから、咲子のイメージ通りのエスカレーターを創る感じかな? それが整えば、後は『無』と『呪』の穴がそれぞれ必要な物を、必要な分だけ調達してくれるよ♪】



「そんなに簡単なの!?」



【簡単かどうかはイメージ次第さ♪】



「そうね……」



【ただ、ソノ知り合いってのが扉の開け方を教えてくれたんだろう? なら、《出来る》と期待してくれてるんじゃ無いのか?】




モリサダの奴がな……


そしてサポーターに僕を使うかよ?


贅沢な使い方してくれんじゃねぇか……




「そうね…… やってみる!」




チッ……


咲子のサポーターだから幸せだろって言いてぇんだな、お前は……?


良いように使われるのも(しゃく)だが……


良い!


解った!!


ああ、幸せだよ!!!


ありがとな!!!!


このクソ神が!





おっと、ダメだ……


冷静になれ!


えっと、何だっけ……?


あ、そうそう!




【それでこそ咲子だ! 僕も期待しているよ♪】



「ありがとう、ジャッジメンター♪ 貴方が友達で良かったわ♪」




え?


何て言った?


確か……




【友達……?】



「そ! 友達♪ 色々あってね、解ったんだ…… 友達ってね、信頼して、一緒に居られる…… 心を開ける人の事を言うんだなってさ♪」




信頼……


心を開ける、か……




【そうか…… 嬉しい響きだ…… じゃ友よ、頑張りな♪】



「うん!」





モリサダの都合良い様に使われちまってるな……


いや、まぁ良いだろう


他では無い、ラフレシアの為だ


尽力しようじゃないか……






何かが紫色の穴、ラピスのゲートへ導かれた気配を感じる


通り過ぎては問題だ


僕はカタストロフィ側のゲートへ手を向ける





だが、僕はその手を止めた





妙な力を感じた





コレはモリサダか?





違う……





声の雰囲気からすれば、隣に誰か居るわけでは無さそうだ






ということは……






ついさっきまで《知り合い》と言われていたモリサダの力



その残留思念



()()()()()()か……



ソレが本当なら手を貸す必要も無いな……



僕は伸ばした手を下ろし、事の成り行きを見守った








しばらくして、何かが排出された気配に変わる




終わった?




そう思った僕に伝わる気配は安堵の様だ


それに僕も安心し、声を掛けた




【成功したかな?】



「ジャッジメンター♪ うん! ありがとう♪」



【良かったね♪】



「貴方のお陰よ♪」



【僕は何もしてないよ?】



「レクチャーしてくれたよ!」



【レクチャーだけさ】



「それが助かったのよ♪」



()もあったからね♪】



「場?」



【そ!】




アイツとの共鳴が起きたら、そりゃ簡単に成功するわ……


何せ、神だからな


そんな事はつゆも知ら無い咲子は僕へ問い掛ける




「ソレは何?」



【あまり教えすぎると、自分本来の感覚の捉え方、慣れ方に支障が出るから言えないなぁ】



「なるほど…… 自分で考えろって事ね♪」



【平たく言えば、そーゆー事♪】




本当なら共鳴程度までは教えても構わないと思って居る


だが、懸念材料は咲子だ


彼女は勘が良い


モリサダが神で在ることに気が付くかも知れない


それはモリサダの行動の今後に支障が生じるかも知れない


もはや知っている可能性だってある


だから僕はその答えを選んだ




「解ったわ! ホントありがとう♪」



【いえいえ♪ じゃ、用事が済んだら扉を閉じてくれないか?】



「あ! 了解、忙しい所ゴメンね!」



【少し忙しくなるのは約8時間後だよ♪ まだ時間はある、問題ないさ】




奴が来るからな……


ダストが……







「今は10時回ったとこだから、夕方6時位?」




地球の…… 日本だっけ?


そんなトコの時間を僕に伝えられても知るわけ無いだろ……


お前がそういうなら、




【そうなるね】




って事なんだろーよ……




「そっか…… それまでどーするの?」



【いつも通りさ】



「いつも通り?」



【待つだけ】



「暇じゃないの?」



【慣れたよ…… ズッとこうしてるって言ったろ?】



「そっか……」






その時だ



何かに気付いた様な咲子の変化






「あ、ねぇ、暇潰しって訳じゃ無いけど、お礼にコレをあげるよ♪」




紫色の穴からピョンと現れた長方形の個体が足元の砂に落ちた


僕はソレを拾い上げる


そして空にかざして眺めた




【ん? コレはなんだい?】



「ガムっていってね、噛むと味の広がるお菓子よ♪」



【ほう…… 奇妙な物だな? 僕は食べなくても生きて居られるから初めてだ……】



「美味しいよ♪」



【ふむ…… どれ……】




てか、どうやって開けるんだ?


このまま口に入れれば良いのか?


僕はそのまま噛んでみた


カシャカシャとしたフィルム


それと、この世界にもある紙の様な食感


違うっぽいな……






解んねぇよ……


イライラすんぜ……






軽く握り潰す僕


その触覚がグニャリとした何かを捉えた




ん?


ああ、中に入ってんのかよ……


紛らわしい……






外装を取るには技術が必要なのだろうか?




取り方が解らない……




さすがに面倒になった僕はラピスでフィルムと外箱を消去した




ポロポロと砂に落ちた紙に包まれる小粒の個体




ようやく姿を現したか……




面倒掛けやがって……




一粒を拾い、さすがにそれ位は解る包み紙を広げる




そこには黒いナニか……




これが、ガムか?




まぁ、咲子が美味しいと言っているんだ




信じてみよう




黒粒のソレを口に含む




そしてモゴモゴと噛んでみた




ん?




あぁ!?




ちょ!!!




何だコリャ!?




【ゲホッ!! カッッラ!! 凄く(から)いぞコレ!!!】



「あははははは♪」



(だま)したな!? 咲子、テメェ!!】



「騙してない、騙してない! 慣れると美味しく感じるようになるよ♪」



【ったく…… 慣れるまで何年必要なんだよ……】



「すぐ慣れるよ♪ あ! ゴメンね! また、話し込んじゃった…… じゃ、閉じるね、またね!」




またね、か……


しばしの別れ


孫離れ出来ねぇのは僕の方だな




【ああ、なんだかよく解らないコノ食べ物もありがとな♪】




そう伝え終わった頃、紫の穴が姿を消した


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