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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
4章 地球からの来訪者
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67話 アイツ

暫く談笑した後、ミヤは僕等に一礼し、そして女神の丘を下りた



僕とモリサダ、2人になっても解る温かい心



子供達の成長



お前の創った世界は順調に生育を遂げている



彼にそんな想いを伝えることも無く、ただ僕は口元へと酒を運ぶ




【さて、モリサダ…… 後でレイジ達も来るらしいからな…… 僕の思い出話を一気に語ろうか】




そう呟いて僕はワイングラスを傾け、また1口、ノドを潤した








ーーー

ーーーーーー

ーーーーーーーー




時が過ぎ行く



ただ、淡々と……








その間にも幾度となく開く門



ヒトが通り、動物が通る



魚が通り、虫が通る



理解の出来ないモノまでが当たり前のように扉を開き、そして大河方面へと姿を消した








何気なく過ぎ行く時の中で、僕は《使命》を実行する








多いのは、ヒトだ








前世の《罪が深い者》



ソレが扉を開けた時、僕は心も持たず……



完全に消去(デリート)した








魔物の餌に……



魔物の体に…… 成らないように








生まれ変われれば、幸せな世界を生きれるだろう



だが、そうは思っても理想だ



罪を消すには大河カタストロフィを進まなければならない



そして、その先に《転生の門》がある



その前に、その者を創り直す?



無理だ



毎日、何人、何匹、何頭、何羽通ると思う?



全てに全ての施しを掛ける事は出来無い



少しでも悪意の感情、欲望の感情が残れば、やはり似た者が産まれいずる



脅威の罪は、消す



苦しくてツラいが……



コレが、最善



そう自分に言い聞かせ、僕はまた門の前に腰を下ろした








そして、ある時








感じた








来た








ついに、来た








《僕》が、来た








《アイツ》が、来た








来る








アイツが来る








ついに、待ち望んだ日が……








今日が、来た








向かって来る



真っ直ぐ、来る



迷い無く僕の元へ……








ずっと先にある大河カタストロフィ



ソコから、うっすらと見える人影








段々強く、濃くなる人影(シルエット)








姿が見える








お前だよ








お前なんだよ








待っていた








僕は、お前を待っていた








救われた








お前を見ると、救われた








僕の罪を洗い流す者








この日の為に、お前は生まれたのか……








全てを託すぜ、お前に……








ゆっくりと近付く人影



男性だ



明らかにソウと解って居ても僕は動く事をし無かった






ザッザッザッザッ……






ようやく聞こえる砂漠を踏みしめた足音



そのままの歩みで、ソイツは僕の前に立ち止まった



そして門と影に包まれた僕を交互に見た



覗き込む様にキョロキョロと見ながら、僕の周囲を周回する



そろそろウザくなった僕は、彼へと話し掛けた




【何やってんだ、お前】



「うお!? (しゃべ)った!?」



【は? そりゃ喋るだろ】



「影だぜ!? 影だ、影! すげぇーー!!!」




あ、そうだった……



今の僕は、《影に包まれていた》んだったな



ま、いいや



なんか驚いてるコイツを見るのも面白ぇし




【待ってたぜ】




僕は言った




「俺をぉぉ?」



【ああ】



「なんでぇぇ?」



【渡したい物があるからだ】



「はぁ? よく解んねぇけどぉぉ…… 俺、時間無いんスよおぉ」



【よく解らないのは僕の方だ…… 理由を口にしろよ】



「ああぁぁ、スンマセン…… なんかさぁぁ…… 俺、死んだはずなんスけどぉぉ、生きてるんスよねぇぇ」




さっきから妙に間延びした話し方をする奴だ




【その話し方…… 何とかならんのか? つまらん悪ふざけは止めろ…… イライラしてくる】



「でもぉぉ、コレが俺なもんでぇぇ……」



【なるほどな…… 僕を小馬鹿にしていると言うわけだな? 僕の姿を影だと騒いだ時には普通だったぞ、お前】



「ククク…… すんません♪ あの時ゃ驚きすぎて普通過ぎたッスね」




僕はフゥ、と呆れた溜め息を吐き出した




【ようやく普通に話す気になったか…… まぁ良い…… そして何だっけ? 生きているかどうかだったか…… ふむ、あらかた間違いじゃ無い】



「そっか! やっぱり生きてんだ!」



【死んでるがな♪ ま、お前の死に方なら生き返れるって事だ】



「そっちのがよく解んねぇけど……」



【いちいちウルセぇぞ、テメェ】



「スンマセン…… でも……」




そこまで言った男


その顔が、明らかに変わった


表情だ


表情に……


なんだろう……






凄味(すごみ)》だろうか






ソレが現れた


そして多分コレは、《決意》……








【でも、何だ?】



「ああ…… 俺は生き返れるなら、生き返らなきゃならない」



【なぜ?】



「アイツらを守らねーと…… 死んでも死にきれねぇんスよ」



【アイツら?】



「ええ、マスターが生きている…… 死ぬ前にソレが見えた……」



【マスターって何だ?】



「敵ッスよ…… 名前は知ら無ぇ」



【ほう…… そんで? アイツらっていうのは誰だ?】



「俺の…… ダチ…… 友達ッス」



【友達、か】



「龍斗…… 修…… 桜子…… そして、胡桃」



【4人も守りてぇのか? 贅沢だな】



「贅沢でも何でもヤルしかねぇ…… 俺はな…… 守りたい者を全部守る! 守れる力を…… 俺は持っているから!」



【ふむ? ソレは?】



「双眼の…… ルビーアイ」






何言ってんだ、コイツ……


面白い男だな






【ククク……】



「ん? 何で笑うんスか?」



【お前の持っているのは双眼ルビーじゃ無ぇ…… 《双眼の覚醒ルビー》だ】



「え!? マジすか!! 何だ…… 俺も胡桃のステージに上がっちまったか! やるな、俺♪ さっすが突然変異だわ!」








その言葉を聞いた時、僕の何かが止まった



嬉しかったんだ、多分……



アイツが、アイツのままココに来た



影に隠れて見えなくても解る



僕は泣いていた



嬉し泣きさ



救われた



本当に救われた



そう感じたんだ








【ムー…… いや、すまない…… 忘れてくれ! えっと、まだ…… 名前…… 聞いて無かったな…… 教えてくれるか?】






僕の言葉に目を円くし、一瞬止まった男


その表情が笑顔と変わる






「普通話してて気が付かなかったッスね!」



【だな♪】




自分に親指を向け、彼は言った




「俺の名は……」






僕の中に少々の緊張が走る



聞き逃さない



聞き逃すわけにはいかない



彼の言葉を



名を……



僕が待っていた、コイツの名を!





加藤守定(かとう もりさだ)ッス!」



【カトウ…… モリサダ】



「別にフルネームで呼ばなくても良いッスよ♪」



【そうか…… モリサダ…… で、いいか?】



「勿論! で、早く生き返りてぇんスけど……」



【ちょっと待ってろ】




そう言って僕はモリサダの向かってきた先に意識を向ける



そして、その経路を逆向きに辿った








奴は…… モリサダは……


宇宙で散った








その直前まで戻る僕の意識








一緒に居る《体格の良い男》



コレが()()()()とやらか……








僕は、自身に意識を戻し、現在を探る








なるほどな……








確かに地球へ戻った様だ






やれやれ……



しかもソイツまで覚醒ルビーになったか……



まぁいい……



まだまだ時間は有りそうだ








【モリサダ…… 確かにマスターとやらは生きている】



「やっぱな……」



【だが、そのままじゃ勝てねぇぞ…… ソイツは覚醒ルビーになったからな】



「マジかよ…… 参ったぜ、こりゃ……」



【だからココで強くなってから地球に向かえよ♪ まだソイツが行動起こすまでは時間があるようだしな】



「は? でもどうやって?」



【僕が強くしてやる】



「影さんが?」



【そうだ…… つか、影って言われるのも何だな】



「んじゃ何て呼べば良いんスか?」






ふむ……


考えた事も無かった


シャドウの名も、ノアの名も僕以外の者が付けた名だ


自分で自分に名を付ける、か


面白い……








僕は門番(ゲートキーパー)








前世に犯した深き罪


魔物の餌にならぬよう選定し、ソレになるはずの運命の枝を剪定する者








故に、魂の審判者








【そうさな…… ジャッジメンター…… とでも名乗っておくか】



審判者(ジャッジメンター)か! 良い名前ッスね!」



【そうか?】




そう言って僕らは笑った








それからの事は、お前も知っての通りだ



僕がモリサダの前にヒトの姿を現し、特訓の意味合いでボコボコに殴ったよな…… ククク……






毎日お前の特訓






ホント飽きもせず、いつもやってたな♪








力と心の関係性


感情を高ぶらせるイメージトレーニング


ルビーアイの限界値


覚醒ルビーの限界値


力の循環、充填





細かくモリサダに説明し、習得させる日々


出来なきゃ殴る……


完璧なまでのスパルタ修練





思いの外、お前は覚えが速かった





いや、意外な事では無いか





()()()()()()()()()()()()を所持した者だからな





どんどん習得し、一定の教えまで取得した頃からは一気に力の伸びが見える





ある時、お前は覚醒ルビーとしての力をモノにして、僕が《覚醒ルビーだった場合》の力量を超えた








そして、お前と約束した








《優しい世界を創る事》








最低限で、最大限の約束








僕は額に()()()()()を創り、ソコから涙を流した



その涙がユラリと揺れた後、()()()()()





《ピュア・ラピスの(シード)





ソレを摂取し、モリサダはその日、僕の後を継ぐ神となった








躊躇(ためら)いは無い


僕の役目は門番だ


モリサダはムーンの魂を受け継ぐ者


ムーンは僕のレプリカ、もう1人の僕と言っても良い


ならば何の迷いがあろうか








良い世界を創って欲しい


その想いで僕は彼へ力を授けた


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