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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
3章 各々の成長
65/109

64話 原点

ん?



待て……



辻褄(つじつま)が合わない



ポポンが赤子のニコを受け取ったハズだ



彼等が婚姻を結んだのは()()()()()()だぞ……



ポポンは《人》だ



そんなに長生きしている訳は無い



そして、永命の儀を済ませたのも昨夜



以前、儀式を済ませていた……?



違う



あり得ない……



初めてポポンと会った時に、彼は病を(わずら)っていた



ソレを()()()()()()()



永命の儀を済ませていたのなら、あの様な病は掛かる訳が無い






まさか……


本当に……


昔、僕が()()()()()()()に結び付くのでは無いだろうな……




【なぁ、ケンシン…… メル……】



「はい?」

「はい?」



【僕等が会って…… どの位ぶり…… だろうな?】




顔を上げ、少し考えたケンシン


その後、何度かメルと視線を交わしてから僕に向き直り言った




「《200年》位ですかね?」




僕は固まっていた


見なくとも解るムゥムゥもまた、同じだった


ゆっくりと僕に視線を向けた彼女


口がパクパクと動いている


そして少し整えた心持ちのまま呟いた




「ノア様…… まさか……」



【あ、ああ…… 有り得ないが…… 多分、な】




凍った表情の僕らを、疑問の表情で見る夫婦




「あの…… ノア様?」



【ああ…… す、すまない…… 続けてくれ】



「はい…… ニコをとある集落へ預け、俺らはまたエアロス山へ戻りました…… そしてまた、少し経った頃にメルだけを集落に向かわせたんです…… ニコの様子を見に……」



【そして……?】



「集落は無かった…… 姿形が無くなっていた…… 娘の所在が…… 途絶(とだえ)えた」








なるほどな……


もしも…… もしもそうなら合点がいく








彼等は《時を越えた》








エアロス山が起こした奇蹟かどうかは解らない


だが、それしか考え付かない






彼等は、僕と別れてから子を産んだ


そして、その後にオレンジ・ホームを訪れて山へ戻った




訪れた集落は数億年《後》の今




そして、どういう訳か数億年《前》の当時へ戻った




だからその当時にオレンジ・ホームは存在していない




娘を未来へ預けたんだ




より良い環境を、育てやすい温かな地を……






その想いに、《何か》が応えた




僕ですら時を越える力は無い


だが起こった


あり得ない事が起こったんだ





それから……


いや、それとて信じる事は出来ないが、また彼等は時を越えた




()()()()()()()()()()()()へ下り立った




だから倒しても倒しても、すぐに魔獣は補充されたかのように、湧いたかのように見えた




何て事だ……




霊峰エアロス山




お前が起こした奇蹟なのか?




どんな意味を含んでいる?




なぁ、教えろよ、エアロス山……




想いだけでケンシンとメルをこの地へ送ったのか?




それとも……






ニコか……




ニコをこの時代に送りたかったのか?




山は何も答えない








【2人とも…… 今は…… 説明しづらいが……】



「どうかなさったのですか?」



【はっきりと解った時には話そうと思う】



「何をです?」



【お前達の()()()()だ】



「よく…… 解らないのですが……」



【ココは…… この世界は…… 僕と別れたあの日から()()()()()()()なんだ】



「は!?」

「は!?」




夫婦の顔は驚きで固まっていた


互いを見る事も無く、ただ僕の言葉を必死に理解しようとしているように見える





【2人とも信じられないのはよく解っているが、真実だ…… そして、この時代にニコを預けた】



「つまり…… ニコは……」



【生きている…… そして今は宮殿で侍女として働いているよ】



「そんな……」



【大丈夫、それも真実だ♪ やはりお前達の子供だな…… 凄まじい強さを誇っているぞ、ムゥムゥの次に強いしな!】




2人は笑顔で顔を見合わせる


そして、僕に言った




「娘の顔を…… 見に行っても……」



【勿論だ♪ (いとま)をやろう! 行って来い♪】




2人は満面の笑みを浮かべた


娘の顔を見るまでは心配が尽きないだろう


もう少し話をしたかったが直ぐにでもニコの元へ行きたいはずだ





それに《時を越えた》件は簡単に解明出来るとは思えない





僕はムゥムゥに夫婦を宮殿へと案内する旨を伝え、空に飛翔する






飛んだ先は終焉の門、ゲート・オブ・カタストロフィ






門番の職に就く為に僕は向かったんだ


名残惜しさを心に抱えてな








程なくして視界に捉えた天まで貫く高い扉








ゲート・オブ・カタストロフィ



終焉の門








その足元に降り立った








ココが……



コレが……



後悔の始まり……



僕は門に手を掛ける



直後その手を引っ込めた



門を消す?



ふざけるなよ、僕……



星々を救う為には必要だったんだろ?



だから創ったんだよな……



何やってんだ…… ったくよぉ……








見上げても上限などは見えない


どこまでも、どこまでも……


空に突き刺さる門






ソレが突如開いた



ハッと我に帰り、目の前へと視線を向ける








ゆっくりと門の中、暗闇から姿を現す者


《死者》


1度、僕をその眼に捉え……


そして歩き出した








そうさ……


必要なんだよ、この門は……








心にソウ、言い聞かせ……



僕はまた、空を見た



真っ青に広がる



どこまでも際限無く広がる



レシアの逝った、あの日



僕の流した涙で出来た雲



ソレが形を変え空を漂う



綺麗だ……



本当に、綺麗な世界だ……



見上げたまま、なぜか僕の頬を雫が伝った








僕が僕として生きてても良いのだろうか



ふと、そんな事を思う





《魔獄領域》





魔物の大空洞で、生きる事を決めた


ムゥムゥ、レイジ、そしてニコ


彼等が与えてくれた意義


だが、ソレは正しかったのか疑問に感じる


今までの事をゼロには出来無い








考え、考え……



(たたず)み、佇む……








そして出た答え








原点(はじまり)》に戻る








勿論、世界を消しはしない



心も消しはしない



だが、せめて()()()()()()()()()()



ヒトの姿では無く、影に……



元々、生まれた時の姿



《影人》



僕の体を黒い煙が覆い尽くす



コレが僕の原点



この美しい世界、カタストロフィを陰から支える影になろう



そう思い、全身が闇に染まり影となった体で、門の足元に腰を下ろした






そして僕は目を閉じる






待とう……






()()()を……






いずれ訪れる、アイツを…… 待とう

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