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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
1章 神の思い出
6/109

5話 全力

ある時だ



僕がいつものように彼女等の元に出向こうと思って居た時の事



宮殿とよべる僕の大きな居城に響くような、(わめ)き声



すぐに誰かは解った



レシアだ



レシアが泣いている!?



笑顔しか見せないあの子が泣いている!!



大声を上げて居た



僕は()()()



飛翔では無い



場所は解る



こんなに大きな宮殿全体に響く声



()()()()()()()



僕は手を握る



そして手を開いたソコに《紅い空間》が生まれる



ラピスは破壊と創造の力



その片方を使った力で目の前に入口ゲートを……



そして出口を中庭に設定し、その距離を縮める瞬間移動






庭に降り立った僕はレシアの元に走った






大声で泣くレシアは僕の足元に()()()()()



泣いていて何を言っているのか理解が出来ない



足元から離れ、持ち上げた手



僕よりもまだまだ小さな体



彼女の両手に乗る()()()()()()()()



その、それぞれの口から()()()()を吐き出しながらアルトロンが(せき)込んでいた



今尚(いまなお)、泣き散らし会話にならないレシアをよそに僕は腰を(かが)め、アルトロンの胴体へと手を伸ばす






()()()()()に感じた






アルトロンの成長は()()()()()()()るものだと解った






ラピスは才能……



神の才能によるものが大きい



レシアは可能性が高かった



馴染(なじ)む可能性は高かったんだ



万が一、馴染まなくても僕が()()()()()()()






それで良かった






だが、この龍は別だ



この龍自体がラピスの(かたまり)



彼女の創った()()()()()()()からこその短命



間もなく崩壊する



この龍からラピスを取り上げる事、ラピスの塊であるアルトロンにとってそれは、()()()()()()()()()()






無理だった






だが、それを無理とするのは簡単だ



今、泣いている



レシアが泣いている



彼女の6歳としての感情、母親として、子龍の命が尽きようとしている事に気が付いている






ダメだ






このまま泣かせるわけにはいかない



考えろ



考えろ、僕……



何が出来る……?



僕に何が出来る……



僕の孫……



孫の子



この龍は……



姿形は違えど、僕の曾孫(ひまご)じゃ無いか!



何とかする



絶対に……



何がある……?



器……



器の小ささ……



見合った器!?



()()()()()()か!!






()()()()と、()()()()に!!






【レシア、どいていろ! 僕が救ってやる!】



「でも…… でも…… うあぁぁぁん!!」



【泣くな!! 時間が無い!! 僕を信じられるか!?】




コクコクと何度も頷きながら涙を流す少女




「お願い!! ()()()()()!!」




僕は頷き返した



そして目を閉じる



龍の()()()()()()()



アルトロンの体を、僕が創り出す紫色の穴に()()()()と収めた






僕の中にあるラピス






それを破壊のルビーと創造のサファイアに分け、一度()()()()()()()()()()した






そして、再構築する






大丈夫だ……



大丈夫……



僕の力なら……



器に見合ったモノに再構築出来るはずだ……








だが……








()()()()()()








結果も出ない








世界が時を止めたかのような集中と無音









レシアが何か話し掛けているが、聞いている余裕は無い






救わねば……






アルトロンを救わねば……






レシアの為にも……






曾孫の為にも!!






それでも僕を揺する小さな手






レシアだ






集中が途切れる!!






僕は彼女に目を移した






【待ってろ、レシア! 集中出来ない!!】






彼女は涙を流して居た






だが、その目は微笑んでいた






彼女は僕に言った






ありがとう、ありがとう






そんな感謝を何度も繰り返し僕に伝えた






意味が解らぬその言葉






それを理解したのは、そう思った直後だった






彼女が膝をついた地面






その右足と左足に寄り添うように、()()()()()()()






紅い龍






そして、蒼い龍






ラピスを二つに分けることによって龍も()()()()()()のだと理解した






ホッとした



ホッとしたよ、とても



腰が抜けたわ……



僕も地面に腰を下ろした



そして、そのまま、寝転んだ



青い空が僕を見下ろしていた



清々しかった



世界を創る事に生き甲斐を覚え、その事にだけ走り抜いてきた僕の生き様



ヒトと深く関わる事をせず、ひたすら自分の理想を追い求めてきた



ヒトってスゲーよな……



今までの僕が実にツマラナイ者だと気が付いたよ



子を思うって、こういう事なのかな?



なあ、アース……








これが感情……








自分以外の者に全力を掛ける、か……








なんだろうな……








うん……








こりゃ……








意外と……








悪くないモンだ♪


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