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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
3章 各々の成長
35/109

34話 見たくない

「ダメだ…… 受け取る事は出来ない」




レイジは言った




「何で……」



「受け取ったら…… レシアは……」






()()()()()





その言葉は吐き出さなかった






その時だ



ビクリと体が揺れた



()()()()



空を!






()()






何かが、()()



差し出された苦無(クナイ)に手を掛け、奪うように受け取る



そして、構えた




「レシア! ()()!!」




見た事も無い()()()が僕達目掛けて襲いかかる



レイジはレシアの手を取り大きく背後に飛び退いた





ズゴォォォォン!!





元居た場所に()()()()()



汗が流れる



あの場に居たら一撃で……



首を振る



恐怖を感じては即座に死に至る



見上げた



ソコから何かがまた降って来る



コレは



魔物だ!





()()()()()()





灰色の女体



奴が自己よりも大きな翼を羽ばたかせ向かって来た



その顔にはイヤラシい笑いを浮かべている




「レイジ! 行って!! 行ってよ!!」



「ダメだ! レシアを置いて行けない!!」




レシアは僕に手を向けた



紫色に光る




()めろレシア!」




風が舞う



強風が!



体が浮き上がる



だが(こら)える



()()()()()になっても(あきら)めない



全体重を両の足指10指で支える



それでも背後に……



山中に向けて体がザリザリと地上を()れながら少しずつ後退する






それでもレイジは耐えていた






己の力の全てで耐えていた






奴が



魔物がレシアに向け、狙いを付ける



腕が上がる



爪が光る



黒く



闇に染まった爪を振り下ろす



《僕》は目を()らした



でも、《レイジ》は視線を離さない



先の場から吹き飛ばされそうになりながらも諦めていない



右手に掴んだ苦無(クナイ)



その手を大きく振りかぶる






ブチブチブチブチッッ!!!






妙な音が右腕から鳴る



精一杯の筋力を膨張させた右腕の()()()()()()()



脳に強く響く痛み



それでも放った



魔物に向けて放った



ヒュン!



飛ぶ



苦無(クナイ)が……



闇断ちが飛ぶ



風を切り



凄まじい速さで飛ぶソレは、レシアと魔物の間に飛ぶ






早過ぎる!



早過ぎて()()()()()






そう思ったのも一瞬だ



光りを(まと)った!?



闇断ちに()()()()()が迸る





ギュオッッ!





そんな音と共にレシアと魔物の間をすり抜けると思われた瞬間、その方向を《く》の字に変えて吹き飛び、グシャッッッ!!



魔物に……






魔物の目に深く()()()()()()





大きく仰け反る体は力無く、空からレシアの頭上に堕ちた



それ事態には緊張こそすれ、だが、魔物に襲われる心配が無くなった事へ安堵したかの様に力の抜けた足指が地上から離れた時、レシアの生んだラピスの風に大きく体は持ち上げ、飛ばされた








山の中へ吹き飛ぶ






後ろ向きに飛ばされる視界の左右を樹木が通り過ぎる






ビュンビュンと






認識出来ない恐怖






直ぐ隣を現れては行き過ぎる木々が体をえぐりそうにも感じる






舞った木の葉が瞬間、(ほほ)を切った






どんどんアノ場所から離された時、大きく()()()()()()



そして闇が襲う視野



レイジは多分、樹木に()()()()()()()()()()……



気を失った











どれ程の時間、気を失ったのだろう



ゆっくりと(まぶた)を開けた僕……



いや、()()()()()が立ち上がった



そして蹌踉(よろ)めく






足に力が入らない






フラリと体が揺れ、地面に倒れ込む



その際、()()()()()()()()()()






地上が()()()()()






僕には解る






コレは()()()()()()()






だが、この世界に天候の変化は無い






それ(ゆえ)に見た事も無いレイジは、






「何だ…… コレ……」



そう呟いた










急に襲う言い様の無い激痛



右腕に左手を添えて地面に突っ()



声に成らない声で(うめ)



だが、悲鳴は出さない



出せる訳が無い



まだ諦めては居ない



レシアの無事な姿を見るまでは……



顔を上げたレイジは激痛を感じながらも立ち上がり、歩を進めた



真っ直ぐ、飛んで来た方向へと足を引き()








歩いて、歩いて、歩く








鬱蒼(うっそう)と生い茂る樹木には目もくれず、足を引き摺る








やがて開けた土地が視界に入った








ソコに向けて、また歩く








見覚えのある場所



さっきの場所だ






()()()()姿()()()()()()






でも、彼女が居たはずの場に()()()()()






目を向ける



目をこらす






アレは…… 僕だ






()()()()()()()()()()()()()が、僕にゆっくりと顔を向けた






何て顔だ






失意






ソレが浮き彫りになった表情






レイジは察した






レシアの状況の全てが、アノ瞬間の僕の顔に映っていた








僕が、目の前に居る僕が、レイジに問い掛けた




【何をしている……?】




今の僕では無い、レイジが答えた




「ノア様……」




と……




【答えになっていない…… 何をしている……】



「俺が…… 弱かったから……」



【2度も3度も同じ事言わせんじゃねぇよ! 何してんだ、お前は!? お前がレシアを守んなくてどうすんだよ! 僕はオレンジに…… この集落にレシアを任せたんじゃねぇ! お前に任せたんだよ! 解ってんのか、コラ!?】



「すみません……」






今なら解る





レイジは全霊をもって()()()()()()()()()()()()





その結論がコレなのだ





《すみません》





それしか言えないのは解って居る





今なら解る





だが、そんなレイジに言った僕の言葉





【はぁ? すみませんでレシアが戻んのか? なら戻せ! ココに戻せ! やってみろよ、ほら! なぁ! 戻せよクソガキが!】




僕は立ち上がり、レイジに向けて歩いた、走った



そして、殴られたんだ





()()……





全てを掛けてレシアを守ろうとしたレイジが、僕に殴られた






何度も何度も、殴られた






恐い



痛みは有る



ソレよりも恐かった



行動がじゃ無い



ノアの…… ()()()()






こんな……






悪意の……






()()()()()()()()()()のか、僕は……?






()()()()()()()()()






()()






魔物と変わらない






僕の目は恐ろしい程に吊り上がり、軋む音が聞こえそうな位に食い縛った口、そして…… むき出しになった八重歯






コレがアノ時の、僕






殴られた痛みに耐えるレイジ



もう見たくない



僕は、こんな僕を見たくない



もう見たくないんだ



()めてくれ



戻してくれ



僕の体に



なあ、ラピス・ラズリ……



解ったから



もう、許してくれよ……

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