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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
3章 各々の成長
30/109

29話 あの日

幸せな日々






うん、幸せだ






いや、幸せ【だった】






4年……






4年か……






レシアが20の歳を迎えた






ソレが、()()()だ……






多分、お前(モリサダ)が1番聞きたかった日だろう






そう、アノ日が来た






僕が()()()()()()()()






僕が忘れる事を()()()()()()






このカタストロフィが()()()()()






僕が変わった日






アースが……






このカタストロフィから消えた日






モリサダ……






お前の【前世】、ムーンとしての時が終わった日






しようが無かったと、お前なら解ってくれるよな?






そう……






この世界からお前達を……






お前達の魂を消したのは他の誰でも無い








()()








そして今も残る後悔








僕が……








僕が消した








僕が、カタストロフィから消した








あの子、レシアを……








聞いてくれ、モリサダ



いや、ムーンとして聞いて欲しい



アノ日の真実を……











アノ日



レシアが誕生日を迎えた



齢、20となった



宮殿内も大忙しさ



皆レシアが大好きだった



だから、誰もかれもが彼女に喜んで欲しくて……



そして、共に幸せを分かち合いたくて精一杯の努力をしていた



その日はレシアがオレンジ・ホームから戻る日だった



お前達、ムーンとアースも宮殿に来ていたから知ってるよな



皆でレシアを出迎えるハズが、彼女は中々姿を見せなかった



いつもならルビーのゲートを開き、一瞬でこの宮殿へと戻る



それが、待っても現れない



いつもなら朝方には顔を見せる



不安になったが、理由は直ぐに判明した






彼女は遠い集落、オレンジ・ホームから()()()()殿()()()()()






到着したのは昼過ぎさ



友達を連れて来たんだ



コートとリノン



仲良くしてくれる集落の友人



彼等が()()()()()()()()()()()()()()()()



だから3人で仲良く歩いて来た事が遅れた理由だった



いや、3人じゃ無い



【4人】で来た



彼等が抱きかかえた赤ん坊と共に宮殿へ訪れた



可愛い男の子



名は【ミヤ】と付けたらしい



いつも手をバタバタと落ち着きが見えない



まだ赤ん坊だ



それが仕事だろう



元気な子だと解る



赤子を見るのは2人目だ



もう1人目はレシア



愛の育み



そしてその形



この世界もそれが全てだ



彼等の様に誰かを愛し、そしてまた育ち、愛を向ける



それが繋がり、このカタストロフィをより良い世界へと成育させる



君も頼むよ、ミヤ……



レシアの様に、元気で優しい子になって欲しいと祈りを掛けた








父母になったコートとリノンは、優しく赤子の頭を撫でる僕に何度も感謝の言葉をくれた



大層な事はしていない



ただ、撫でただけだ



元気な子に……



優しい子に……



そしてレイジの元で、強い子になれよ



そんな想いを込めて撫でた



今の世代が、新しい世代へと想いを引き継ぐ



まだ小さな赤子であるミヤもまた、時代の(にな)い手になるだろう



僕の願いはただ、強く、優しく成って欲しい



それだけだ








レシアが誕生日の祝賀会をコートとリノンの出産祝いも込めて()り行った



楽しい時間



皆が祝いの言葉を送り、レシアは元より、夫婦の2人も笑顔を見せる



しばしの安らかな時間が過ぎた頃、コートとリノンの出産祝いは済んで居る集落へと、レシアは移動する(むね)を皆に告げた



オレンジ・ホーム



レシアの祝賀会はこの後に集落でも(もよお)してくれるらしい



礼の意味も込めて、お前達も行ったよな、ムーン?



レシアとムーン、アース



3人でオレンジ・ホームへと移動した






悔しい



悔しいよ……



僕は神だ



他の者達がどうなっても良いとは勿論言わない



だが、それでも……



僕は、お前達が集落に訪れる事を止めたかったと……



今でも悔やむ



絶対に忘れない



アノ日の選択、そして判断を……








レシア、ムーン、アースがオレンジ・ホームに行った



僕達は、まだ残って笑顔が絶えないコートとリノンの祝いを続ける



そして、しばらく経った時に僕は祝いの席を離れ、中庭へと歩いた



酔い覚ましだ



喜ばしい席に酒は付き物



僕もそれなりの量を(たしな)んだ








リィィィィィィィィィィン……








()()()()がする






鈴の音の様なメロディー



だが、この宮殿では聞いた事も無い音色だった






リィィィィィィィィィィン……






また鳴った?



何だろう……



何処(どこ)から聞こえる?



僕はキョロキョロと辺りを見回す



それらしき物は無い




「……!」




不意に耳へと届いた声




「ノア様ぁぁーー!!!」




この声は…… ムゥムゥか?



僕は中庭に隣接する通路へと歩いた






何か……






言い様の無い不安が押し寄せる






胸の奥がザワつく……






通路の先からムゥムゥが僕の姿を捉え、走って来た






リィィィィィィィィィィン!!






ムゥムゥが近寄ると、その音がけたたましく鳴る






僕の前まで来たムゥムゥ



血の気が引いたような表情



息を切らし、大きく上下する肩



そして、その手にはアレが握られて居た



苦無(クナイ)……



彼女の武器



レシアに渡した姉妹刀の片割れ【魔断ち】




リィィィィィィィィィィン!!!!




その苦無が叫びを上げていた




【な、何が……】




僕は彼女に問う



ムゥムゥは言った



言って欲しくない言葉を僕に告げた




「魔断ちが鳴いて…… 泣いています!! レシア様の身に何かが!!」




リィィィィィィィィィィン!!




ムゥムゥのクナイ、【魔断ち】が叫ぶ



それは同時に彼女がレシアへと譲った【闇断ち】に異変が起きている事を意味していた





僕は即座に左手を閉じる





そして開いた掌には紅い穴



一気にルビーのゲートを広げる



飛び込む間際にムゥムゥが叫び掛けた




「私も! 私もお連れ下さい!!」



【ダメだ! お前は宮殿を守れ! 何が起きているのか想像もつかん!】



「しかし…… しかし! レシア様が!!」



【解っている! だから、お前も解れよ! お前以上に強い戦士がこの宮殿には居無ぇだろうが!!】






そうさ……



想像も付かないんだ



宮殿に居る侍女達は、戦になれば剣を取る



だが、この世界に敵は居無いハズだ



今までは、だ



それなのにも関わらずレシアの身に危険が起こ【る】



いや、起こっ【て】居るかも知れない



それも違う



起こっ【た】かも知れないんだ



オレンジ・ホームでレシアを粗雑に扱う者が居るとは思えない



それ以上に……



魔断ちの鳴き方



レシアの身が危ない



ルビーのゲートに僕の体を包み込んで、直ぐに閉じた



ムゥムゥが追ってこない為の対処








僕は集落(オレンジ・ホーム)の地に……



足を付けた



そして、目を…… 見開いた



あり得ぬ集落の姿に目を疑った








な……








何が起きている……








ココは…… 本当に……








僕の知っているオレンジ・ホームか……?








僕は辺りをゆっくりと見回した



倒壊した家屋



所々から立ち上る煙



今尚、燃え盛る炎も…… 元、家から姿を現す



周りには倒れる数多の集落民



倒れる彼等の目に、光は無い



体の大部分を失った者も見える



流れる深紅の液体



その血溜まりの中に、人の胸部と思われるモノが……



ポツンと、在った








土地にも異変が在った



平らな地面が隆起した箇所も1つや2つでは無い



コレは、何だ……



何なんだよ、コレは……








僕が知っている集落とは明らかに違う光景








ココは……








地獄か……?








そう思わせる景色だった


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