26話 ゲートの守護龍
それからまた、約5年の幸せが訪れる
6歳のレシアを集落へと移し、11歳となった頃にニコにダイヤモンドを与え、そしてまた月日が経った5年
特別変わった様子もなく世界はいつも通り成育を遂げていく
草木が生い茂り、世界を育む
種が芽吹き、人々を潤す
そんな当たり前の流れの中に身を置くレシアも成長していった
5年……
そう、レシアも16の歳になった
あの集落での生活が宮殿の生活より長くなる
生き物に対する愛情
それをとても感じる僕は、本当にあの集落を選んで良かったと心から思う
だが、レシアが宮殿を離れた事によって思いもよらない事態が起こる
完全に想定外の出来事だった
アルトロンの存在が異変を生んでいた
彼等に非は無い
しかし、レシアが傍に居た時には無かった状況
宮殿内の侍女、そしてコック数名
その者らに起きた事
うっすらながらルビーアイそしてサファイア・アイを発動し始めたのだ
原因は直ぐに解った
先も話したアルトロン
今は別れたホンとツァン、両龍の力に触れ親しんだ事
侍女達は龍の世話をしていたから解る
コック数名は食事を運んで居たからだろう
大きな問題が起きてからではマズい
僕は発動者が分かり次第、その力を取り上げていった
そして、今後の行く末を考える
レシアが居れば、その力は共鳴し、お互いにのみ干渉しただろう
だが、今はオレンジ・ホームでの心と体の成育中だ
この宮殿に戻すにはまだ早い
だからこそ、僕の下した判断は元々の力の根源
双龍を、ルビーのゲート
サファイアのゲートの守り神とする事だ
自身で開く事も出来る
追い遣る訳では無い
だが、大きさも宮殿に収まるレベルでは無い
彼等、龍達とも話し合った
わだかまりが出来ては困る
その為の話し合いを設けた
【なぁ…… ホン、ツァン】
【はい、なんでしょう? お祖父様】
【うん、実はな…… お前達の力の干渉を受けた者達が《眼》を発動し始めた】
【真でございますか!? コレは…… 大変なご迷惑を!】
【いや、お前達の責任じゃ無い…… だが、ルビーとサファイアはダイヤモンドの比じゃ無い…… 一般人に気軽に持たせられる程、安い品物では無いんだ】
【そうですね……】
【何が1番ベストなのかを考えてみた結果なんだがな……】
【はい…… それは?】
【お前達さえよければルビーのゲート、サファイアのゲートで今後この様な事が起きぬよう守護して貰えないか?】
【それは名案ですな♪】
【いいのか?】
【はい?】
【いや…… お前達は自力で出入り出来る事とはいえ、この世界から…… レシアの元から離れる事になるんだぞ?】
【大丈夫ですよ♪ ご恩も感謝もございます…… ご迷惑は掛けられません】
【そう言って貰えると助かるよ】
【淋しくなったら…… また顔出しに来ても……】
【勿論だ♪ そしてルビーとサファイアを頼む】
【しかと心得まして♪】
【良かったよ】
【これからは……】
【ん? どうした?】
【いえ…… 我々がアノ世界を統べるのであれば…… この、お祖父様のお作りになったカタストロフィとは別次元の守り龍となるのでしょう?】
【そうなる、な】
【でしたら、お祖父様の事は敬愛を持ちまして《主様》とお呼び致します】
【お前達は大切な曾孫だ♪ 好きに呼べば良い】
【でしたら、主様と♪】
【そうか♪ うん、解った】
【有難く♪ では本日より各ゲートをお守り致します…… あ、その前に……】
【ん?】
【ムゥムゥ、ニコ…… そしてリンリンにも礼を言いたいのですが…… お時間を頂けますか?】
【構わんよ♪ 呼んで来よう】
そう彼らに告げた僕が3人を呼びに行く
彼女達が両龍の元に到着すると、何故か僕に席を外して欲しいと懇願された
礼を言うだけなのに移動を促されるのかは疑問であったが、彼等の願いを尊重する
その時感じた妙な違和感をそのままにしておかなければ、事はスムーズに運んだとも思う
だが、その時の僕は知るよしも無かった
【有り難う御座います、主様♪】
そう言った龍達はそれぞれの穴、ゲートを開けて去って行った
意外とも当たり前とも取れるが、彼等は本来の力の中、そして宮殿とは違い、限度の無い世界を泳ぎ回れる事は住み心地が良いと見え、大変気に入ってくれた様子だった
ただ、広い宮殿
そして、広い中庭
ソコを埋め尽くしていた龍達
2匹の姿が居なくなる事はレシアがココを離れた時のように僕へ喪失感を与えた




