24話 ダイヤモンド・アイ
青ざめた表情のニコ
その表情に僕は笑う
そして右手を高く上げ、指をパチンと鳴らした
僕の理解が出来ぬ行動にニコは首を傾げる
だが直後、彼女の肩へと不意に手が乗せられた
ビクリと揺れる体
恐ろしい物を見るかの様に、ゆっくりと背後に目を向ける
「え!?」
その先に居たのは……
「あれ!? ムゥちゃ!?」
僕の肩越しに見える玉座
その隣に居たハズのムゥムゥ
ソコに彼女の姿は無い
だが、訳が解っていないニコは何度も背後と玉座に視線を移しては戻して居た
「ムゥちゃ!? いつの間に??」
驚くニコに彼女は笑った
「移動したのは今ですよ♪ ノア様の合図と共に、ココへ飛び跳ねました…… コレが…… ダイヤモンド・アイです」
そうムゥムゥは彼女に告げる
「そんなに速くなるの!? それに…… え……? ムゥちゃ…… 眼の色が……」
そう……
そうなる
ムゥムゥの両の瞳は
黒眼は
白く透き通って居た
それが金剛眼
そして白眼、ダイヤモンド・アイだ
僕はニコに告げた
【ムゥムゥのソレが金剛眼、ダイヤモンド・アイだ】
僕に目を向けたニコの顔には、いまだ信じられないと云う思いが浮かぶ
【今のは速度用に筋肉を膨張させたんだな♪ ムゥムゥの速さは天下一品だからな!】
「ニコも…… あんなに早く動けるの?」
またも首を傾げるニコに僕は笑った
【それはお前次第さ♪ お前の気持ちにダイヤモンド・アイは働く】
「そ、そなんや…… スゴいね♪」
【どうする? 受け取るか?】
「うんうん♪」
【そっか♪ じゃ、受け取れ……】
そう言ってニコの顔に手を向けた時だ
僕の隣へと移動したムゥムゥが言葉を掛ける
「ノア様…… 伝えなくても宜しいので?」
彼女が言いたい事は直ぐに解った
だが、ソレを伝えるという事はムダにニコの不安を煽る
だから僕はニコに手を向けたまま、ムゥムゥに伝えた
【止めとけよ、ムゥムゥ…… コイツの覚悟が鈍るからな】
スッと目を閉じた彼女は一度頷く
そして、僕の目を見て言った
「確かに…… そうですね…… お手を止めて申し訳ありません……」
【いいさ♪ 心配してるんだろ? 伝わったよ、スゴくな……】
そんな僕の言葉を受けた彼女は、玉座の隣へと歩いて行った
またニコに目を移す
向けた手を見ながら不思議そうな顔
少し……
可哀想になったが、僕はその手をニコの顔へ伸ばす
そして目隠しするように彼女の顔を掴んだ
【行くぞ】
とだけ伝える
「うん♪」
彼女は応える
僕は手に力を流した
直後だ
「ギイイイイィィィイィィィヤアアァァァアアアァァァォァァァ!!!!!」
ニコは絶叫を上げた
言葉にも成らない声を周囲に撒き散らし転がり続けるニコ
【耐えろ!】
それしか僕には言えない
相当の痛みなのは重々承知だ
僕は彼女の眼を《引き抜き》……
そしてダイヤモンド・アイに《再構成》して戻した
元、己の眼とはいえ、今は異物
馴染むまでの激痛……
心が……
僕の心が……
チィ……
痛ぇよ……
彼女の望みなのに……
こんなニコは見たくない……
コレが……
こんな事しか出来ないのが……
僕と云う《神》かよ……
なんと小さな輩か……
「ガァァァアアア!!! ゲッゲッ…… ゲホッゲホッ!! グガァァアイイイィィィイィィィヤアアァァァアアアァァァォァァァ!!!!!」
ゴロゴロと転がっては、広いこの部屋の壁にぶつかる
そしてまた転がっては戻り、反対側の壁に体を激しく当てた
【お前なら出来る!! 信じろ、お前自信の可能性を!!】
ぶつかった壁に手を当て叫んでは藻掻く
その指が
その爪が
壁へと突き立てられた
「ニィゴォわーーーー!!!! ニィゴォわぁぁぁぁ!!! ノアざのオオオォオオオォ…… 剣に成るっで決めだんだぁぁぁぁ!!!!!」
【来い! ニコ!! お前の高みに来るんだ!!!】
「行ぃぃぐぅぅぅぅ!! もっどぉぉぉ強ぐなっでぇぇぇ…… ノアざをぉぉ守るうぅぅぅぅ!!!」
ソコまで彼女が叫んだ時
嵐の様な、断末魔の様な絶叫が……
ピタリと、止んだ
先程までとは違う全くと言って云い静けさ
誰も
何も
言葉にしない
その静けさの中に一際大きく聞こえた音
ガボギッッッ!!
ニコがユラリと立ち上がった
その手から砂が落ちる
ソレは、この部屋の壁
その一部
藻掻いた際に壁を掴み取り、そして握り潰した残骸
ソレが、ニコの手から砂と形を変えて、堕ちた




