16話 ニコにー
ポポンは僕に言った
「リンリンを宜しくお願いします」
【ああ! リンリンはこちらで大事に預からせて貰うよ♪ 大丈夫! ウチの侍女長はしっかりした女だ! 侍女は皆仲が良く、居心地が良いハズだよ♪】
「そうでしたか♪ なら安心ですじゃ」
【うん…… あ……】
「はい?」
【一人…… ドジが居るが…… まぁ大丈夫だろ?】
「ドジ…… で、ございますかな?」
【ま、まあ…… でも優しい子さ♪ ニコって云うんだがな……】
僕がポポンにそう話すと彼の表情は驚愕の色を映す
「ニコ…… ですと!?」
不意に目を向けた集落民が一様に同じ顔を見せた
ニコがどうかしたのだろうか?
【ん? どうしました?】
その問い掛けに心を整えた様子の長老
「あ、いえ…… 数年前から行方が知れない集落の子供…… それがニコなのですじゃ…… いくら周囲を探しても見付からず、困っていたのですがの…… 宮殿とは思いもよらなんだ」
【あ? そうだったのか!? どおりで…… 宮殿壁外に居たところを保護したんですよ…… こんなに離れた集落から迷って来たとは……】
そこまで口にした僕の前にレイジが割り込む
「ニコにー、宮殿に居るの!?」
【ニコにー?】
「僕らよりも木登りも、木の実拾いも上手なの! 女だけど、お兄さんみたいなんだ! だから、ニコ兄ちゃんで、ニコにー♪」
【なるほどな……♪ うん、元気にしてるよ!】
「良かったー♪ 心配してたんだ!」
【うんうん♪】
更に割って入ったのはポポン
「あの子は昔から少し冷静さに欠けるというか…… ご迷惑をお掛けしませんでしたかな?」
僕は少し考える
【んーー…… まあ…… 頑張ってますよ♪】
「今のお顔で…… 想像が付きましたですわい……」
【いやいや…… 本当に頑張ってますよ♪】
「うん♪ ニコちゃんは優しいよね!」
レシアがそう口にした
僕も含め、それぞれが、それぞれの顔を見合わせる
そして周囲が笑いに包まれた
「何で笑うの?」
レシアが首を傾げる
ポポンが笑顔で言った
「うんうん、レシア様♪ 優しい子ですわ、あの子は♪」
レシアは僕を見る
【うんうん、優しい子だな♪ ただ、優しいと、しっかりしてるは…… ちょっと違うかな? アハハッ】
「え? しっかりしてるよ? ノア様は知らないの?」
【ん? 何がだ?】
「ニコちゃんはね…… いっつも夜遅くに剣を振ってるんだよ?」
そうレシアは僕へと笑顔を向けた
【どういう事だ?】
「私も守らなきゃ、私もノアさを守らなきゃって…… いっつも口にしながら中庭で真夜中に剣の練習してるんだよ?」
【レシア…… それは本当か……?】
「うん♪ その姿を部屋の窓から見るの、私、好きだもん♪ だからちょっと失敗しても見ないであげてね!」
レシア……
ドジなところは否定して無ぇぞ……
つーか、アイツめ……
ふっ……
少し……
帰ったら優しくしてやるか……
【そうだったんだな…… うん、教えてくれてありがとな、レシア♪】
「うん♪」
僕はレシアから視線を外し、民を見る
【じゃ、リンリンを預かります♪ ではまた!】
そう言ってリンリンを抱えて空へ飛んだ
【リンリン…… 大変な事もあるだろうが頑張れよ♪】
「はい♪」
【どうしても解らない事があったら僕に聞けば良い♪】
「ありがとうございます♪」
【宮殿の侍女達は皆良い奴ばかりだ♪】
「楽しみです♪」
そんな会話を交わし、宮殿へと戻る
到着早々、宮殿内では怒号に似た騒音が飛び交っていた
理由はすぐに判明した
ニコが皿、約100枚
グラス約60個を粉砕したらしい
許せってか?
いやいや……
やっぱり……
優しく出来んよ…… トホホ……




