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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
2章 孫
12/109

11話 オレンジ・ホーム

【後で苦無(クナイ)用の鞘を作ってやるよ】



「ありがとう、ノア様♪」



「あ! 少々お待ちを!」




ムゥムゥが()()()()()()()()()で衣服のポケットへと手を入れた



そこからスルリと伸びる()()()()()が姿を見せた



その布紐を、レシアに渡した苦無(クナイ)



その持ち手の部分に(くく)り付けるムゥムゥ




「コレって、ムゥちゃんのリボン……」



「ええ♪ 御守り代わり…… といえるほど大した物では御座いませんが、お渡しした苦無(クナイ)は刀の心…… この紐は私の心…… 2つの心で御守りする事をお約束します♪」



「ムゥちゃん……」




そう彼女の名を溢すとレシアは彼女に抱き付き、泣いた



僕はレシアから視線を外す



そして、侍女達に向けた



コクリと頷く僕



それに呼応したかのように今度は皆がワンワンと泣いた



ツラいだろうな……



僕だって同じだ



人を愛する事



レシアの為と思っての事



勿論それが全てでは無い



見聞を広げる事が1番だ



レシアはこの世界の(にな)い手



神を継ぐ者だ



広いこの世界、カタストロフィからすれば小さな宮殿……



そんな中で手に入れた知識よりも、外界では計り知れない知識が転がっている



それを知って欲しい



その中で人を知り



人を愛し



世界を愛せる神に成って欲しい



それが僕の想い



そして、覚悟……



まだ小さな体では解らずとも良い



いずれ否応(いやおう)無く理解する時が来るだろう……









僕は空に向けて飛んだ



レシアを抱えたまま……



空から見下ろすレシアは段々小さく見える宮殿に向けて、ずっと手を振っていた



笑顔で、ずっと



小さな手を懸命に振っていた









僕達は空を飛翔しながらアノ集落



オレンジ・ホームを目指す



正直、()()()()()()()()()()()



ルビーのゲートを開き、その距離を縮めれば集落に辿り着く事など一瞬で済む



だが、そうは()()()()()








少し……








ゆっくりと……








空の散歩を楽しみたい








もう、いつ出来るか解らぬ孫との大切な時間








それを少しでも、堪能したかった僕を責める者が居るだろうか……








空を飛翔し、その速度を緩める



僕はレシアを抱いたままオレンジホーム、その集落から少し離れた距離にゆっくり降下した




「ノア様? もっと先じゃ無いの?」




そんな疑問の声と視線を向けるレシア



彼女に僕は言った




【僕らは他の人とは違う…… 自慢では無いが、特別なんだ…… だから他の人に()()()()()()()()()()()()んだよ、この力はな♪ だからレシアも皆の前でラピスを使っちゃいけないぞ?】




無言でレシアはコクリと頷いた



言いたい事が解ったのだろう



小さいながらに大した娘だ









レシアの手を取り、(しばら)く歩くと集落に着いた



入り口近くで遊んでいた子供達が僕に気付くと集落に向けて笑顔で叫ぶ




「あ! 《名無し》さん!! みんなーー!! 名無しさんが遊びに来たよーー!!!」




そう手を口に当てて人を呼んだ




「名無しさん?」




僕の手を取り、見上げたレシア




【ああ、ノアとは名乗っていない…… 僕の名を知るものが万が一にも居たら、僕に気を使うかも知れないからな♪】



「ふーーん??」




そう言ったレシアは首を傾げる



解らなくても良いんだ



元々、名を隠していたのはどんなヒト達が生活しているか知る為



レシアにとって良い場所で無ければならない



神に敬意を払わない輩は居無い



だからこそ僕は名を隠し、ココに住む者を測っていた



さほどもし無い内に集落入り口には人だかりが生まれる




「やあ、名無しさん! 良く来たねぇ♪ どうぞ中に!」




温かくも優しい言葉で集落民が中へと誘う



僕はレシアの手を取り集落に入った



テクテクと歩を進めると僕に声を掛ける少年



レイジだった




「ねぇ! その子が友達!?」



【やあ、レイジ♪ うん、僕の孫でね、レシアと云う…… 仲良くしてくれるかい?】



「勿論!!」




満面の笑みを浮かべるレイジ



その周りには同じ位の歳の子供達が輪を作る




「一緒に遊んでも良い?」




僕はレイジの笑顔に微笑み返した



そしてレシアに目を向ける



最初こそ集落の者に警戒の表情を浮かべていたレシアの顔がほころんだ



その顔を見ると僕の心が温かさを感じる



コクリとレシアに頷くと彼女はレイジ、そして周りの子供達に一度会釈をした




「レシアだよ! よろしくね♪」



「こちらこそ♪ 今日はね、裏山で木の実を採りに行くんだ! レシアも一緒に行こーよ♪」



「うん♪」




そう言い頷くとレイジに手を引かれ、集落裏手の山へ子供達と走って行った






その姿を僕は眺める



不意に集落民から声を掛けられた




「名無しさん、お孫さんなんだねぇ♪」



【ええ】



「名無しさんは若く見えるのに、あんな大きなお孫さんが居たなんて驚いたよ♪ ハハハ♪」




しまった……



娘にしとけば良かったか……



僕は()()()()()()()()()()()()()()



それを宮廷侍女は知っているからこそのミス



さて……




【えーーっとですね…… 僕は何故か、昔から歳が顔に出ないんですよ】




()頓狂(とんきょう)な表情を向ける民




「名無しさん? そういえば、さっき初めて聞いたけど自分の事を《僕》って言うんだねぇ? キレイな顔だから女性だと思っていたよ?」




またミスった!!



僕は()()()()()()()()



顔だって何となく浮かんだ顔、体をベースにしている



男と話すべきか……



それとも女と……?



いや、これ以上の()()()()()()



その結論に至った僕は、




【アハハッ……】




そう、()()()()()()









この村を訪れると何故か心が安らぐ



それは民の人柄をとても良く感じるからであることは言うまでも無い



その日もまた、僕に色々な食べ物を振る舞い、そして話を掛けてくれた



最近の良い作物は何だとか、誰々がどう素晴らしかったとか……



会話にすら幸せが(にじ)み出る



人を(けな)さず、生きていることに感謝し……



そして民は民を支え、この村は出来ているのだろう









本当に幸せな集落









そう、心から思った


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