108話 永遠の誓い
式も無事に終わり、それから宮殿にニコの部屋は無くなった
彼女の部屋は、僕の部屋
共に時を過ごす時間が増える
ただ2人で宮殿を巡ったりするだけの些細なものだが、それでも幸せだ
一緒に居られるのは昼間だけなのだから……
夜は決まって部屋から離れるニコ
それが彼女の日常
向かう先は中庭
僕の名を口にし、一心不乱に巨剣を振る
僕の為に、僕の為にと何度も言葉にして……
想いを願掛けにしているような姿
ドジでも良い
その姿を見ているだけで想いが心に届き、響く
君の本当の気持ちが心に伝わるよ
とある日、ニコからの提案で女神の丘に出向いた
手には1本のお酒と食事、4つのワイングラスが入った袋を携える
いつもと変わらない女神の丘
風に吹かれ、僕とニコの髪が揺れる
モリサダと藍の前に腰を下ろし、食事を広げ、ワイングラスへ酒を傾けた
なみなみに注がれたグラスを彼等と僕、そしてニコの前に置き、僕等はティンと高い音をグラスから奏でる
そして咽を潤した
鬼ごっこをした日は色々な物事が即座に決まり、モリサダや藍に報告が出来ていなかった
だからちゃんと報告したいというニコの提案
勿論、僕は二つ返事で了承する
モリサダも藍も……
本当に素直に喜ぶ姿が目に浮かぶ
流れる空を見上げていると、彼女が僕の肩にもたれ掛かった
そんな彼女を見ると愛しく思う
「なぁ、ノアさ?」
【ん?】
「ずーーーっと一緒やんな?」
【ああ、ずっと一緒だ】
彼女は微笑んだ
僕はニコの肩に手を回し抱き寄せ、そして彼女に伸ばしたもう片方の手で、ニコの左手をゆっくりと持ち上げる
ソコには式の際に僕が彼女へ送ったリングが薬指で輝いていた
「ホント綺麗や♪」
【そうだな…… コレは…… ニコが僕を愛してくれた証を形にした物だ】
「そなんや? なんて宝石なん?」
【申し訳ないけど、高いものじゃ無い】
「高いとか安いとかは関係無いよ♪ ノアさがくれたものなら全部嬉しい!」
【そっか♪】
「で、なんて石なん?」
【コレは…… 《ターコイズ》さ】
彼女へ送った結婚指輪に輝く装飾品はターコイズ
水色の宝石
特別高価な物ではないが、僕は心からコレを送りたかった
ニコが想いで混ぜ合わせたターコイズ・アイ
それにより、幾つもの戦いで僕を救ってくれた
魔獄領域掃討戦も、先の天魔大戦も……
そして、鬼ごっこの時も……
彼女の力、ターコイズ・アイ
それは水色の力
いや、違うな
空色の力だ
彼女が持つ蒼天の様な天真爛漫さに一体どれ程救われたのだろう?
だから、僕はソレを、気持ちを形にしたかった
それが今、大空を映しながら眩しく輝く
ニコの心の様に……
「ノアさ……」
【なんだ?】
突如語り掛けたニコ
その顔には焦りが見えた
【え? どうしたニコ!?】
「あ、あんな…… ちょっと順番違てるんやけどな?」
【ん? 違ってるって何がだ?】
「お父さんとお母さんに結婚報告…… まだやんね……」
【あ……】
ホント忙しかったのは事実だ
だが、全く時間が取れなかったと言えば嘘になる
正直にいって、忘れてました……
「……今から行かへん?」
【だな! 行こう♪】
そう答え、僕はニコの体を抱き上げて空に飛んだ
向かう先は今も守護の任を果たしてくれている霊峰エアロス山
鬼ごっこの件が在った為、速度を上げる事はしない
ゆっくりと風を感じながら空を飛んだ
涼しさを感じながらも体は暖かい
ニコの体温を感じる
優しい気持ちに包まれながら、たまに彼女へ目を移し「苦しく無いか?」と声を掛けながら空の旅を楽しんだ
彼等に会ったら何て報告しよう……
まさかケンシンとメルが僕の義理親となるとは夢にも思わない
どんな顔をするだろうか……
喜ぶかな?
いや、親としては怒る可能性が高いかもな……
でも了承を得るまで頑張るしか無い
もう決めたんだから
覚悟を持ってニコを愛すると……
だから、ずっと一緒だ
離れる事はもう無い
僕が君を守るから、君は僕を守ってくれ
永遠に誓う
君を、ニコを……
これから先、何があろうとも守り抜く
ニコの笑顔も、民の笑顔も絶やさない
それこそが僕の想い
そして僕の《覚悟》だ
【Fin】




