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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
5章 思い出話の終わりに……
102/109

101話 究極の2択

【ちょっと待て、リンリン…… お前まで何を言っている……?】




複雑極まりない事態


ムゥムゥへ顔を向けた僕の目に映ったのは、彼女のよく解らない表情



怒っているわけは無く、笑顔でも無い



本当に心意の見えない、そんな表情だった




「リンリン、私がノア様にお仕えしてから随分と経ちます…… ですので私が1番相応しいと思いませんか?」




静かに言葉を紡いだムゥムゥの口



異様な緊張感が辺りを包む




「ムゥムゥ様! 恋愛に上下関係持ち出すのは卑怯ですよ!」



「卑怯も正当もありません! 譲りなさい!」



「譲れません! 私だってノア様を好きですから!」



「くっ……」




逃げ出したい……


この場から即座に逃げ出したい……




こんな事態を作り上げたレイジとその妻




彼等に僕は顔を向ける




2人の顔は引き()っていた




そして僕の視線に気付き、苦笑いを返す




その顔は実に解りやすく、《すみません》……


そして、《どうしようも出来ません》


この2つが映っている






ヒドい……



こんな状況を作ったのは彼等なのに軽く突き放される孤独




僕は精一杯の冷静を持ち、語り掛けた




【な、なぁムゥムゥ…… リンリン…… 先ずは落ち着いたらどうだい?】




2人の女性が同時に向けた顔



その口から放たれたのは、




「ノア様は黙ってて!」

「ノア様は黙ってて!」




だった






黙れるものなら黙りたいよ……


それにこの場から逃亡すらしたい




しかし僕の為に争っているとなるとそうもいかない……





「ノア様!」




口を開いたのはリンリン




【な、なんだい……?】



「私の事、好きですか!? 嫌いですか!?」




お、おい……


ちょっと待て


なんだその究極の2択は!?


どんな返しが良いんだ!?





好きというのは少し違う気がする


レシアと同世代の娘、だから孫の様な感じが1番正しい


でも嫌いと答えるのも違う




【好きか嫌いかなら…… 好き、だろうな……】




パァっと笑顔を見せた彼女はムゥムゥへ顔を向けた




「ムゥムゥ様、聞きました!? 私の勝ちです!」



「ちょっと待ちなさいリンリン」




瞬時に言葉を制したムゥムゥは僕を見る




「ノア様、私の事はどう思ってます? とても好きか、とても嫌いか…… 選んで下さい」




おいコラ……


()るなよお前まで……




【えっと…… 嫌いな訳ないから…… 好き側…… じゃないかな……】



「ですよね! リンリン聞きましたか!? 貴方の好きを越え、とても好きな部類に私は居ます♪ 私の勝ちです」



「卑怯ですよ! そんな2択!!」




いや、お前も似た事したけどな……




「ノア様!」



【は、はい…… 何だい、リンリン……】



「私の事、すんごい好きか、すんごい嫌いかどっち!?」




いや、もう……


ホントに()めて下さい……




【あの…… それは……】



「き、嫌いなんですかぁぁぁぁ!?」




泣くな!


泣きたいのは僕だ!!




何だよコレは!?


どんな地獄なんだよ!!




いい加減どうしようも無い状況から逃げ出したい気持ちが優った瞬間の事




今まで時折流れていた優しげな風とは違う()()()()()()()()()()




明らかに作為的と取れる風だ



僕のブロンドの髪が大きく揺れる




「……」




どこからともなく聞こえた声




「ぉぉ……」




段々近付く声は頭上から聞こえた


僕は空に目を向ける




「ひゃっっっほぉぉぉぉ!!」




何かが僕等の元に飛んできた


とんでもないスピードで一気に飛んできたソレは女神の丘中央で突然の暴風ともといえる逆噴射をし、スタリと地に足を着ける




()ぉぉ(ちゃく)ぅぅぅ♪」




大きく手を広げ、体操競技の着地さながらの姿を僕に見せたのは女性だ


そしてそんな巫山戯(ふざけ)た真似をするのは奴しか居無い




【何やってんだ()()!!】



「え?」



【とんでもねぇ登場すんじゃねぇよ!】



「何が?」



()()見てみろ!】




チラリと向けたニコの視線


その先にあったのはレイジが手掛けた弁当が2箱






そして美しく盛り付けられていたソレは……






彼女の到着時の逆噴射によって()()()()()()()()()()




【レイジが丹精込めて作った弁当が……】




僕の弁当へ向けた手が震える


解る


コレは怒りだ




「あや! レジさがお弁当作ったの!? すご!!!」



【驚く前に謝れ!】



「うわ! ごめーーーん!」




何度もしきりに頭を下げるニコ


なんだかもう、怒る気も失せる




「良いんですよ、ノア様…… 弁当はまた作れば済むだけの話ですから……」




なんて心の広い男だ




【すまない…… そう言ってくれると助かるよ】




そう彼に伝え、僕もまたレイジへ頭を下げた




【そういえばニコ…… お前、グラス割りまくって()()()()()()んじゃなかったのか?】



「うん、そーだよ♪」



【いや、だから何故(なぜ)ココに居る?】



「出て来たからだよ?」



【そりゃそうだろう…… んで、誰からの了承かと聞いてるんだよ】



「了承? 何ソレ?」



【は?】




何を言ってるのだ……


僕は反省した後に誰から独房、つまりは()()()()()()()()()()()()()と聞いているんだが……





ん?





おいおい…… まさかな……





【お前…… どうやって出て来た?】



「部屋から?」



【部屋?】



「うん、なんか変な部屋に入れられたんだけどね、戸が開かなくて……」



【独房だからだろ?】



「うん、独房って部屋らしーね♪ って、独房って何?」



【牢屋だよ……】



「ふーーーん?」



【で、もう一度聞くが…… どうやって出て来た……?】



()()()出て来た!」



【か、壁からって…… やっぱりお前……】



「開けてって言っても誰も居無かったから、壁に穴開けて脱出だよ♪」



【そりゃ脱出じゃねぇ! 脱獄だ!!】


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