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ルビーアイ Noah's memory ~神の追憶~  作者: アゲハ
5章 思い出話の終わりに……
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99話 繋がる想い

【ほう! 美味しそうじゃないか♪】




広げられた弁当箱には色取り取りの食材が美しく並ぶ


見るだけで食欲をそそる彩りと香り




「最近ね、私がこんなだからレイジが作ってくれるの♪ 美味しいからノア様も食べて!」




彼女は自分に寄っていた弁当箱を僕に寄せ、微笑んだ




【ありがとう♪ 頂くとしよう】




そう応えた僕は弁当箱へと手を伸ばす


その中の1つを取り上げ、口に運んだ




【お? 旨いじゃないか! 剣の腕だけじゃなく、料理の腕前も大したもんだな、レイジ】



「ははは…… 恐れ入ります」




恥ずかしそうに頭をポリポリと掻く彼も弁当箱に手を向け2つを取り出す




「はい、これで良かったかい?」



「うん、ありがと!」




2つの内の1つを彼女へ手渡した



そうか……



お腹が大きすぎて()()()()()()()()()よな



そんな彼等を見ると自然に笑顔となる






大事にされてるんだな






なぜか少し淋しい気分にもなるが、それよりも嬉しさの方が強い






【そういえばレイジ】



「はい?」



【剣の方は大丈夫なのか?】



「大丈夫とは?」



【ミヤが修練の相手をしてくれないとぼやいていたぞ?】



「ああ…… ですよね……」




そう答えたレイジは苦笑いを浮かべた




【まぁ、たまには修練に付き合ってやれよ? その内にミヤから抜かれんぞ……】




僕の言葉に目を丸くした彼だったが、その後ソレは笑顔と変わる



そして空に向け、顔を上げた




「抜かれるならね…… それで良いんですよ」



【なぜ?】



「あの子は強くなる…… 目標が俺よりも高いから」



【だったら尚更今のお前が目標にならなきゃダメだろ?】



「いや、俺はもう()()()()()()()()()()んです」



【諦めんのか? 強さを】



「そうですね…… 諦めます」



【心が…… 弱くなったな? お前】



「逆です」



【ん?】



「強くなりましたよ、心は」



【ほう?】



「今は妻と子供を守る強さがある…… それだけで良い…… 今はそれだけで」




心に1本、太い芯が通っている



力強い表情



彼は……



レイジは父親になった



そして良き父になるだろう



そんな事を思った




「ノア様」



【なんだ?】




食事の最中、声を掛けたレイジ




「2人で話し合ったんですけど……」



【ふむ】




彼等は互いを見て、微笑む



そして僕に向き直ったその表情は意思の固さを感じるものに変わった




「返上しようと思うんです」



【何を?】



「永命の儀…… 永遠の命をです」




何事かと向けた2人への視線



だが、彼等は僕に微笑んだ



そんな言い様の無い《何か》に声が出ない



ソレは彼等の覚悟を感じてしまったからなのだろうか?




「俺は…… 俺も妻も…… 子供と生きていきたい」



【それと永命の儀を棄てるのと何の関係が……?】



「俺達は永命の儀を済ませているけど…… 子供はそうはいかないから…… 一緒に笑って…… 一緒に泣いて…… 一緒に…… 歳を取りたいんです」




そういう事か……



レイジも、妻である彼女も歳は取らない



だが、()()()()()()()()()



それはいずれ若い姿の彼等を越し、老体となるという事



世界は既に救われた



今後、永命の儀を行う事も無いだろう



彼等の子供に永命の儀を施しても、その子の伴侶には無理だ



そして、更に生まれる孫にも……



それこそが昔、リンリンを宮殿に召し上げた際に告げた言葉そのもの



まだ小さかった彼女は愛を知らなかった



だから本来の流れしか解らなかったはずだ



父親が居て、母親が居て、リンリンが居る



両親が歳を取り、自分は若いまま



でもいずれ、両親は他界する



子よりも親が先に他界するのは至極当然



その流れだけを理解していた



だが、今のレイジと彼の妻はその先に居る



いずれ訪れるのは自分よりも年老いた子供であり、先に他界する事が目に見えている現実



ソレが耐えられないのだ



そして、それはモリサダの提唱していた幸福循環の核とも云えるモノ



子供の幸せを願い、孫の幸せを願い、世界の幸せを願う事





モリサダと藍が行った《当たり前といえる世界の流れ》





心が繋がっている



先へ、先へ、未来へ








【そういや、子供の名前は決まっているのか?】




僕は彼らに問い掛けた




「うん、決まってるよ♪」




彼女がニコリと笑い、答える




【ほう? 聞いてもいいか?】




彼女は一度レイジに目を向けた


彼はコクリと頷く


それを見て、彼女は僕に向き直り言った




「男の子なら《イツキ》、女の子なら《モモカ》だよ」



【プリンスと…… プリンセスの名か♪】



「うん♪」



【そうかそうか♪】




こんな所にも繋がりが出来るのだな……



彼等は地球に戻り、幸せに過ごしているはずだ



僕は地球も守護している立場



いずれ会いに行こうかな……



そんな事を思う




【樹と桃花か……】



「どうしたの? ダメだった?」



【いや、勿論賛成だよ】



「じゃあなぜ?」



【いや、別に構わないんだけどね…… これから()()()()()()()()()()()んだろうなぁってな…… フフフッ】



「え?」



【この世界の民はダイヤモンド・ナイツのみならず、プリンスとプリンセスの活躍があったから救われたと理解している…… その恩恵を受けたいという理由もあり、そんな名の子供が増えるだろうと思ってね】



「そっか…… そうだよね! でも赤ちゃんの名前は変える気無いよ♪ 私はあの子達が居たから…… 今、生きているんだから」



【そうだな…… レイジも同意見なんだな?】



「ええ! 俺はあの子達に会えて本当に良かった…… 俺よりも若い彼女達に教えられることは沢山あった…… 1番は、プリンセス・モモカが常に口にしていた言葉、《覚悟》…… 彼女は…… それこそ覚悟の塊でしたからね」



【そうだな!】




樹よりも先にこの世界に到着した桃花



彼女は本当に良くやってくれた



心からそう思う



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