バグ技は日常の中で
有名な?バグ技を集めました。バグ技というかTAS技もあります。楽しい感じで読んで頂けたら幸いです。
俺、藤堂 真司には妹がいる。
妹と言えばラノベに脳内を侵された奴等ははぁはぁ言いながらヨダレを垂らすのだろうか。それとも萌えーっ!とか言いながらよく分からんダンスを踊り出すのだろうか。
まあ、そんな妹萌えは実際に妹がいる奴ほど、現実には絶対に存在してはいないものとは理解している筈だ。妹なんてロクなもんじゃない。生意気、無骨、敬意がない、なんか家族から優遇されてる、挙げればキリが無いと思う。
そうだ、妹なんてロクなもんじゃない。居ない方がよっぽどマシだと思っている兄、姉もいるだろう。その気持ちはよく分かる、めっさ分かる。
ただ、これだけは言わせてくれ。
お前らの妹は、壁を抜けたり、路上をスーパースライドしたり、パチンコで浮いたり、サッカーでゴール裏から点を決めたり、亀と段差を利用して無限1upをしたりするだろうか?
してないよな?ならマシだ。
うん、何言ってんだコイツとは思うだろう。
取り敢えず、ウチの妹について紹介しようか。彼女の名前は藤堂 タス子。
「お兄ちゃんやばい!学校に遅れる!スーパースライドとZスライド不可避だよ!」
「止めろ!また近所で騒ぎにになるだろうが!」
現実世界でバグ技の力を得た少女である。
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・出席
バグ技、これはゲームなどの欠陥により通常では行えない特殊な事をする技だ。詳しくってんなら、GGRKSを使用せざるを得ない
さて、今日も俺は悠々と学校に登校し、タス子はスーパースライドとZスライド、おまけに土管をすり抜けたり、蹴って浮いたりして登校してきた。
「タス子ちゃん、今日もギリギリだね!」
「ぐむぅ、乱数調整をお兄ちゃんに禁じられてるから日常がきつい…」
「あはは、真司君には頭が上がんないわけだ」
「当たり前だ、現実で乱数調整なんかしたらどんな事になるか。多分、家に国家予算全てが届く」
「流石にそんな事しないってば…」
タス子があはは、と笑っているとキンコンカンコンとベルがなった。喧騒に包まれていた教室は先生のの乱入により少しだけ収まり、皆が席についていく。
「よし、全員揃ったな?出席とるぞー。あさいー」
「はい」
「あさみやー」
「はい」
「かいざきー」
「はい」
順番に名前が呼ばれていく。俺もやるせなく返事をする。そのまま何事もなく順番は回っていき、女子に突入した。
「たなかー」
「はい」
「ちとせー」
「はい」
「つつがくしー」
「はい」
「つもりー」
「はい」
「てんがさきー」
「はい」
タス子の番が回ってくる。
「NO152、アネデパミ……あ、あれ?アネデパミ…あれ?ア、アネデパミ…は?」
突如先生が意味不明な単語を呟き始めた。俺は頭を抱える。やりやがったあいつ……
女生徒の一人が呟いた。
「あ、けつばんです」
「ああ、アネデパミはけつばんか」
先生は納得した。
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・プリント(旗)回収
「おいタス子!けつばん止めろ!」
「ええ……今からイケメン先輩の好感度を弄り回して体育教師とくっつける所なのに…」
「さらっとエグい事するねお前!?」
仕方ないなー、とどこからか声がする。
「お、藤堂帰ってきたか。けつばんは止めろ。焦る」
「はーい」
「罰としてプリント取ってこい。職員室の先生の机にある筈だ」
「はーい……」
タス子は教室から仕方なさそうに出て行く。そして二秒後に戻ってくる。
「はい、プリント」
タス子は手に何も持っていないが、先生に何かを渡す素振りを見せる。
「お、ありがとうな。では、プリント配るぞー」
取り敢えず、俺は立ち上がってタス子に助走を入れて走り出した。
「フラグだけ回収してくるんじゃねーよ!!」
「ヘブシッ!ちょ!?飛鳥文化アタックは止めて!!!」
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・パーフェクト国語教室
一時間目は国語だ、女性教師が教壇に立ちながら色々と解説をしている。タス子はすうすうと眠っている。机の上には既に書かれた絵日記があった。
そんなタス子に、不意打ちとばかりに質問が飛ぶ。
「はい藤堂タス子。磔にされているセリヌンティウスを見た死にかけメロスの心情を答えなさい」
タス子は慌てたように飛び起きると、慌てて教科書を開く。クスクスと笑う声が聞こえてくる。
「えーと、あーと、えーと…」
「早くしなさい」
先生も意地悪だな、と思いながら俺はペンをくるりと回す。そのペンは、次の瞬間に驚愕で吹っ飛ぶ事になるのだが。
「えーと、結婚式の夜に嫁との初夜を終えていたメロスの興奮は未だに収まらず、『セリヌンティウスやべえ…【ピーー】してえ……』と、思いました」
「はい、的確な心情をありがとう。じゃあ、暴君ディオニスは?」
「『これで3P出来るな……』ですかね」
「この作品の作者の気持ちに沿った素晴らしい答えですね!」
「お前ら太宰治に謝れっ!!」
鋭いツッコミを入れるが、クラスメイトのみんなはタス子の回答に疑問すら抱かない。頭おかしくなったの?
「では『空虚』なんと読みますか?」
「一人でクリスマス」
「では『失笑』は?」
「リア充から見た非リアのクリスマス」
「『血涙』」
「非リアのクリスマス」
「『集団』」
「非リア同士でクリスマス」
「『裏切り』」
「一人だけリア充いた」
「素晴らしい!パーフェクトな国語ですね!」
「いやあ、ありがとうございます」
「多分、どこかで誰かのライフが今ゼロだぞ」
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・無限増殖
「今、飴が四個と、タスキが三個、飲料が二本あります。これを九人の子供に分ける方法は何通りありますか?藤堂さん!」
「バトルタワーで受付嬢と話してセーブ中に電源を落とし、飴とタスキと飲料を増やしてシェアします」
「完璧ですね!」
「質問内容忘れてるよね?」
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・野球
「お兄ちゃん!野球だよ!これは勝つしかない!」
「たかが体育の野球だろ……てか、バグ技使うなよ」
「分かってるって!」
三時間目の体育では野球をするらしい。男女合同なのはグラウンドが狭いとか、体育館が使えないといった理由だ。
男子には手加減するように先生も伝えていたため、大事には至らないだろう。タス子が何もしなければ。
「あ、私の打順きた!お兄ちゃん行くよ!」
「は?意味分からん」
「いや、だからあ……」
タス子は呆れたように両手をヒラヒラと振る。
「交互にメテオしてボールのパーセンテージを貯めるんだよ!」
「確かにバグ技では無いけども!!」
「目指せ二千メートル!」
「完全に人外じゃねぇか!!」
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・閉じ込められた
ガチャン!
と、音が鳴った。俺とタス子はギョッとして扉を見つめる。
今、体育の時間にタス子がやらかした(16452m)ので、罰として体育倉庫の掃除をしていた。テヘペロといいながら、焦げたボールを渡してきた時はヘッドバッドを決めざるを得なかった。というか、どうやって回収したんだ。
ガチャンという音、あれは閉じこめられたと見て相違ないだろう。
「ほわわ、体育倉庫でお兄ちゃんと二人きり……イベントだっ!お兄ちゃんの好感度をここで爆上げだよ!」
「上がるか…てか、そんな焦る事でもないだろ。いつかは誰かが開けてくれる」
「はあ…夢が無いなあ…もしお兄ちゃんもバグ技に巻き込めるならどれだけ楽か」
「世界はそんなに優しくないって事だ。てか、お前が同じ学年に入るのは許してやってるだろ?」
「まあ、そうだけどさ……このままじゃそれをした意味が…」
タス子がチラチラと俺を見てくる。また何か言い出すのかと思ったが、特に何も無かった。何なんだ?
因みに、俺は、実は能力を持っている。タス子のバグ技に巻き込まれない能力だ。これのお陰で、俺はストッパーの役割を果たせている。
「ま、気長に待とう」
「いやお兄ちゃん!脱出法がある!」
タス子がガッツポーズをとっていた。嫌な予感しかしない。
「入口に波乗りをすればいいんだよ!」
「最悪永久に戻れなくなりから止めとけ」
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・授業さぼる
「あれ、藤堂妹はどこいった?」
「は?タス子…うわ、いねえ」
三時間目の物理の授業。タス子の姿は教室に見当たらなかった。皆んながどよめきだす中、外を見るとグラウンドでタス子が遊んでいるではないか。
「先生、ちょっとしばいてきます」
「うむ、頼んだ」
俺は席を立つとグラウンドに向かう。
「あれ、お兄ちゃん、どうしたの?」
「どうしたのじゃねぇよ!何授業中にグラウンドで遊んでんだ!」
「いやさ…私、物理苦手なんだよね…」
「はぁ?そんなりゆ」
そんな理由で休んだのか!?と言おうと思ったその瞬間、タス子が言う。
「だから『遊び人』になって『賢者』になろうかな、と」
「悟りの書あるだろ。教科書が」
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・無限増殖2
「いやああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」
「うぼああああああああああああああああああああああああっ!!?」
「タス子おおおおおおおおおおおおっ!?」
四時間目、生物の時間。自由に何か生き物を採集してくるというフリーダムすぎる授業だった。案の定、タス子は波乱の種だ。
「ちょ、おま!?選ぶ生物のセレクト!」
「せ、先生!先生が気絶した!」
「そんなに怖い?これ」
タス子が持っている虫かごの中には、ゲジゲジが二匹入っていた。ついでに、その中には何かの花の蕾が入っている。
「ゲジゲジて!どこで見つけたし!」
「いやあ、ゲジゲジ二匹と蕾でゲジゲジを無限増殖しようかなと」
「止めろおおおおおおおおおおっ!!!てか、それで増えるのはガジガジだろうがあああ!!」
「は、そうだった」
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・売店
お昼になった。俺とタス子は二人暮らしでどちらも料理なんて出来ないのでお昼ご飯は売店で買うことになる。
正しくは、タス子のバグ料理なんて食いたくないので売店で買う。
だが、タス子は明らかに売店に持っていく必要がないものを持っていた。
「おい……その釣竿なんだよ…」
「NO151の幻のおにぎりを釣ろうと思って」
「そのおにぎりは絶滅したと言われてるから止めとけ」
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・スクールジャック
「動くなお前らああああああああっ!!」
ビクンとクラスのメンバー全員が震えた。五時間目の英語の授業中に入ってきたのは、片手に銃を持った男だった。その体は黒尽くめの装備で覆われており、腰には手榴弾のようなものを携えていた。
こんな漫画みたいな状況がある訳…とは考えるが、現実に起こっているので飲み込まざるを得ない事実だ。
「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「うわああああああああああああああああああああああっ!!!」
少し遅れて置かれている状況に気付き、悲鳴を上げる生徒に、男は満足そうに微笑んだ。男は女生徒の一人を人質に取ると、喚き散らす。
「お前ら!そこの教室の角に集まれ!逆らえば殺すぞ!」
ひいっ、と悲鳴を上げながらも、皆んなが指示通りに教室の角に集まる。生徒同士が密着し、話すチャンスが出来た。俺はタス子と密かに話し合う。
(タス子、状況は非常にマズイ。なんか打開策あるか?)
(あるにはある……けど。人質を取られてる以上は迂闊には動けないよ)
(成る程な、なら、俺が人質に志願する。その時に一瞬、隙を作るからお前がなんとかしてくれ)
(分かった。気をつけて、お兄ちゃん)
(ああ)
俺はゆっくりと手を挙げると、男に頼む。
「俺が人質になる。だからその子を離してやってくれ」
「ああ!!?てめぇ、何言って」
「お前ら、集団でこの学校をジャックしたな?そんな武装出来るくらいだから、ある程度の財力があるグループが何らかの目的があって計画的に学校をジャックしたのが想定出来る。て、ことは狙いは俺になるだろう。この、藤堂財閥の御曹司である俺がな。まあ、理由がそれだけとは思えないが」
「な……」
「この通り、俺は頭が切れる。人質にした方がこっちの戦力ダウンになると思わないか?しかも、お前らの目的でもある訳だし」
「な、成る程…確かにそうだな。よし、お前!人質になれ」
俺は立ち上がり、男の元へ進んでいく。男は油断したのか、女生徒を離した。
その瞬間、ドゴォン!という爆発音が響き、一つの風が通り過ぎた。その風…タス子は男を吹き飛ばす。
「ごはあ!?」
「ふはははっ!ボムスライドっ!」
「良い子は真似すんなよ!」
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・黒幕
「ふははははっ!プットアウェイブースト!ボムスライドッ!スーパースライド!Zスライド!メガフリップ!」
武装集団は、壁を抜けて超速度で突進してくるタス子に巻き込まれ…否、轢き倒されていた。バグ技、コワイ。
「ふう、これで粗方片付いたかな?」
「ああ、よくやったタス子。偉いぞ」
「お、お兄ちゃんのお褒めの言葉!光栄です!」
「大げさか…」
生徒は全員無事で、既に先生が警察を呼んでいるらしい。これにて一件落着となりそうだ。しかし、その希望は一発の銃声と激痛と共に吹き飛んだ。
「がああっ!?」
「お兄ちゃん!?」
俺の右腕には銃弾が貫通し、血がダラダラと流れていた。弾道から相手の位置を逆算すると、屋上から撃たれたようだ。
「クソっ!残党がいたか!タス子!」
「うんっ!パチンコの出番だね!」
タス子はどこからかパチンコを取り出すと、カクカクと動きながら宙を舞う。持たれている俺はガクンガクンと揺れるので撃たれた右腕に激痛が走り、呻きを上げた。
パチンコ浮遊中にも、銃弾が飛んで来るが、タス子はそれを高低差で避けていく。そして、最終的には屋上まで辿り着いた。
屋上に居たのは、金髪の少女だった。修道女のような衣装から、只者では無いと分かる。
「お前…何だ?大体検討はついてるが」
「………お察しの通り、超能力者撲滅委員会の者です」
「ひっ……」
タス子が顔を引きつらせ、青ざめさせる。あんな過去があれば仕方ない事だ。だから、タス子はウチが引き取ったのだから。
「タス子を連れ戻しに来た…と」
「はい、無抵抗ならば、貴方には危害を加えませんよ」
「はっ、嫌だね。タス子、お前帰れ」
「お、お兄ちゃん!?」
「俺がやるから逃げてろって事だよ」
タス子に微笑みかける。しかし、こんな時に限っていつもは素直に言う事を聞くタス子は頑固になる。
「い、嫌だよ!私はもう……失うのは嫌なんだ!」
「はあ…なら、いざという時のために携帯持って待ってろ」
「わ、分かった!」
タス子は携帯を取り出した。そして祈るようにその画面を弄る。
「さあ、やろうか、超能力撲滅委員会さん?」
「はあ…貴方は無能力者ですよね?私に敵うとでも?」
「超能力撲滅委員会の奴等は超能力持ち…矛盾だよな」
「目には目を、という事ですよ」
「戯言だな」
金髪少女は表情を崩さない。俺は不敵に笑いながら、少女に近づいた。
その瞬間に、まるで弾幕のような光の球が飛来する。その一つ一つが、地を、空を切り裂いていく。だが、俺には命中しても何も起こらない。
「な!?」
「超能力を無効化する超能力っ…てね」
俺は少女に更に接近する。
「喰らえっ!男女平等パンチッ!!」
拳を振り被ると、少女はひっ、とタス子が上げたような悲鳴を上げると、手で顔を覆い隠して目を瞑った。
俺はその少女の腹を容赦なく……なんて事は無く、ポン、と頭を叩いた。恐らくこれで本当に一件落着だろう。
「は……は?」
「お前は俺の力で超能力を失った」
「そ、そんな事がっ!!?」
「光の球出してみろよ。出せないから」
少女はうんうんと唸るが、やはり光の球は出ないようだ。そして、絶望的な表情を作り出す。
「わ、私の…私の力が……」
「ご愁傷さん、楽しい凡人ライフを送ると良いさ」
超能力者でなくなった少女に脅威は感じない。銃を奪い、何も危険物を所持していない事を確認すると、こんな事もあろうかと取っておいた縄をタス子から受け取って縛り上げる。
「縛るのムズイな…練習しとけば良かった」
「女の子縛る練習とか…お兄ちゃん…」
「すまん、今のは俺が悪かった!無かった事に!」
そんな話をしていた。だから、この時に俺は気づかなかった。少女の口内が輝いていることに。少女は、俺に抱きつく。
「なっ!」
「道ずれです!死になさい!」
ドゴオオオン!!と、巨大な爆発音が響いた。タス子は状況を理解できていなかったが直ぐに、お兄ちゃんが巻き込まれた、という事は察した。
「お兄ちゃん!!!」
悲痛じみた声を上げるタス子の目の前に、べチャっ、と何かが転がる。それは……人間の臓器らしきもの。
「ひっ…」
タス子は尻餅をつく。一瞬で、大好きなお兄ちゃんが一瞬で、余計な話をしたその一瞬で、死んだ。
自分が話しかけていなかったら、恐らく少女の異変に気付けていただろう。自分の所為だという自責が、タス子を追い詰めた。
「あ………あ………」
タス子は携帯を開く。
お兄ちゃんとのツーショットの写真。嫌そうな顔をされているが、今ではそれすらが愛おしかった。
お兄ちゃんは、この世界にはもういない。タス子はゆっくりと立ち上がる。もう、嫌だ、こんな世界。お兄ちゃんがいない世界なんて…いらない。
ゆっくりと……タスクを引き上げる。そして電源ボタンを長押しする。『スライドで電源オフ』その表記が出た所で…タス子はホームボタンを長押しした。
「あらよっと、ダンリセ」
世界は闇に包まれた。
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「お兄ちゃん、そいつ爆発するよ」
「え?あ、成る程」
俺は少女から離れる。少女は、へ?、という顔を作り出した後に、一人で爆散した。それを、哀れみの目で見つめた後に、タス子を見た。
「ダンリセしたって事は…俺死んだのか」
「うん、ドカンと」
俺の能力は、直接俺に作用するものしか打ち消せない。時間を支配するダンリセには使用出来ない。
「あー、油断しやがって俺……タス子、悪いな」
「いいよ、私が悪かった感じもあったし」
「そうか、ならお前が悪いな」
「酷いっ!」
タス子は悲壮な顔を作り出すが、直ぐに笑った。目の前にいるのは、確かに自分のお兄ちゃんだと分かったから。
「ふふ、お兄ちゃん。これからも守ってね!」
「ああ、当たり前だ」
俺たちは笑いあった。
その笑顔を見ると、守ってやりたくなる。ああ、これだから妹は面倒だ。