第三話『眼鏡の輝く世界』
レッドさんは、確率半分だと言いましたが
確実に精神を持って行かれてしまうくらいの相手と対峙しなくてはならないみたいですね
私との記憶を守るためのアンカーだったようで
復帰した時点で私から取り戻す事が可能にする処置を施しておく
最初から言ってくれてもよかったのですが
自分でも言いにくいという事は
この記憶の定着自体も難しいのかもしれませんね
これは、こちらでギミックを用意しておいてよかったわ・・・
『レッドさん、戻るまでデバイスを預かってもいいかしら??』
『はい、構わないですよ・・・代用品もありますから』
私のシステムとのリンクを可能としているデバイスを
レッドさんから、回収しました
この世界で、必ず必要となる重要ツールです
電子化された世界を生活する上で
このデバイスがなければなりません
デザインは個人差といいますか、趣味趣向を重視できるように
自分で好きなモデルを使用可能としました
“ユニバースシステム”
電脳異空間を管理するシステムです
デバイスを介して生活に関する情報の共有から
氷機討伐の重要なサポートまで
世界内で行われるほぼ全ての事象を網羅しています
ある程度の氷機の動向も当初は把握できていて
かなり有利に交戦していました
しかし、相手も一方的に倒されているわけではなかったようで
こちらが私のシステムによって展開していたとわかったみたい
急にといいますか、最近は隠れるような感じになってきて
氷機の動向を把握しにくい状態になってしまいました
だから、六花さんが行っていたような偵察活動の頻度が増えました
『ここで嘘を言ってもラビリアを心配させるだけだと思うから・・・』
『その口調・・・無理に発言されなくても構いませんよ、概ね把握しているかと思います』
『これは、僕からの打診です・・・ちゃんと言葉にして伝えたいと思ったので』
『別人格が本当にいるのですね・・・正直、見た目が変わらないので不思議ですね~♪』
少しだけ、嬉しくなってきました
どうしてと聞かれると明確な理由は微妙かもしれません
レッドさんが本当に存在していると実感しているからだろうか・・・
それも、理由ではないと思います
『ごめんなさい、何か安心してしまって・・・』
『不謹慎だと思いましたか、気にしなくていいですよ僕も似たような気持ちですから』
『・・・』
言葉に詰まり、何も言えなくなってしまいました
嬉しさと悲しさが同時にこみ上げてきて
『・・・もう少し時間があれば、別の方法を選択できるのですが』
時間の問題なんでしょうか・・・
具体的な長さは把握されているのでしょうか・・・
これは、質問したら教えてくれるのでしょうか??
『・・・レッドさん、どのくらいの時間が必要なんでしょうか??』
『う~ん、10時間くらいですかね・・・あくまでも目安ですが』
『約半日の時間を用意できれば、レッドさんはこのままでいられるのですか??』
あれ!?
これは、ダメな流れでしょうか
それとも、私の言っている事が不可能だと思っているのでしょうか
『・・・面倒な会話をしているようだな、私も参加させてもらおうか!!』
『ライン!? お母さん、どうして??』
あまり見ない、驚いた表情のレッドさん
意識を全て自分に取り込んでいる状態で
ラインさんが動く事はありえない・・・らしいのですが
『ラインさんはレッドさんに対してもサプライズをするのですね』
『別に狙ったわけではなかったが、流れでそうなってしまっただけだ!!』
ラインさんらしいと言えば、それで済むくらいの簡単な会話だったりしますが
驚愕しているレッドさんを・・・
『えいっ!! チュ☆彡』
私、こんな事はレッドさんにしかしませんからね
若干の放心状態に近い彼の口へキスをしました
『ら、らびりあさん?!』
『レッドさん、そろそろ正気に戻って・・・』
気付けのキスが効果的に作用したみたいです
特殊なスキルが実は施されているの
ラインさんが得意とする“魔性のキス”とでも言いましょうか
世界の全てをキスだけで掌握できるだけの能力があるらしいです
『すいません、お母さんが急に起きたので・・・』
『世界の頂点である私に不可能はない・・・ははは~!!』
軽いノリであるが、実際に強力な存在なんですよ
見た目は凄く重圧感があって、戦っている姿は本気で頂点だと感じます
『それでラインさん、具体的な話の内容なんですが・・・』
『内容は把握している、この世界で好き勝手させないから安心してろ!!』
この強気な態度は、実力を伴うから
本当に安心できるの
『少しの間、二人で私の代理で世界を受けててくれれば・・・ラインさんが万事解決させるのみ!!』
『私とレッドさんとでラインさんの代理ですか・・・可能なんですか??』
『世界管理をしているシステムを保有するラビリアなら、単独でも可能だと思うぞ』
『僕は演算補佐的な扱いですか・・・』
無言で頷くラインさん
単純な演算能力だけで言えば、ラインさんを凌駕するだけのレッドさんだから
本来はメインで稼働できるだけでもいいのだけど
レッドさんに世界管理能力が無いから
私が主体で稼働させなければならない
『今すぐ対処します、ラインさんからの譲渡を準備しておいて下さい』
『準備・・・最初から可能だぞ、こういう時のためにリンクさせてあったんじゃないのか??』
・・・圧倒的な能力の差が出ていますね
私が準備と言った時点で既に準備は終わっていたみたいです
『すいません、私が足でまといになってしまいまして・・・では、譲渡をお願いします』
電脳異空間:管理譲渡(ライン⇒ラビリア&レッド)
電脳異空間:世界解放開始
『よし、私のターンだ!!』
世界管理から外れて
しかも、世界の上限も撤廃されている
完全版のラインさんが一時的に出撃する
『具体的な指示は難しいと思います、オートでのナビでも構いませんか??』
『先読みスキルが多分、発動するだろうから問題ないと思うぞ・・・管理と防衛に徹しててもな』
穏やかな微笑みで私の頬に優しくキスするラインさん
あえて頬にしたのは、問題ないという合図でしょうか
ラインさんは口同士でのキスだと、何かしらの意図やスキルの施しを行ってしまう為
『お母さん、僕にもしてくれますか??』
『・・・お前には、こっちだ!!』
ちょっと~!!
何で、レッドさんに口へキスしたのよ・・・
ここでは、文句は言いません
これから一番大変な事をするのですから
餞別だと思って・・・一時的に耐えます
『貸しですよラインさん、いいですか・・・いいですか??』
『覚悟の上での行動だから、後でお前の好きにしていいからな』
真面目な顔して、そんな事言わないで欲しいですが
ラインさんは、どんな物事でも基本真剣に取り組む方向なので
家族だろうが親子だろうが、本気になったら恋愛なんだそうです
まあ、すぐにわかると思いますが
ラインさんはレッドさんを息子の域を超えて一人の男性として愛しているようで
あくまで母親として接してはいます
しかし、スキンシップは度を過ぎている
『わかりました、何をするかを考えておきます・・・本気で覚悟していて下さいよ』
『お、おう・・・そ、そのつもりだ・・・手加減とか考えないのか??』
過去の事を思い出したのか
若干、声に力が入っていなかったみたいですね
自業自得ですから
『私がラビリアに弄ばれるくらいで済むなら、世界を救うだけの意味があると・・・』
『・・・何か逆な気もしますが、まあ意味は伝わったと思います多分』
世界を救えるなら、私の仕返しだけで済むならいいだろう・・・な意味合いだと思うのですが
私と世界を天秤にかけて、いるところが何か怖い気がするのです
『当面の間は、僕はラビリアさんの所有物となるのですね・・・自由にしていいのですよ』
『・・・気を使っているのですか?? 元々私の所有物だと思っていますけど、本気でという事ですか』
『あれ・・・効果薄かったみたいですね、まだ女性の心は掴めないみたいです』
『そうでうかね・・・十分に私はレッドさんを好きですから問題はないかと思いますが??』
レッドさんは私に対して、どのようなスタンスなんでしょうか
十分と言いましたが、完全に溺愛しているくらいですよ
挨拶に近い親子でのキスでも嫉妬してしまうのですよ
所有物だなんて言われたら、恥ずかしくて逆な態度になってしまいます
『あまり気にするなよレッド、ラビリアはお前にデレデレだから・・・ふふふ♥』
『本当ですか・・・あまりラビリアさんの心は読みたくないので難しいです』
『本音を知りたいのでしたら、別に心を覗いても構いませんよ・・・自分では恥ずかしいから』
『さり気ない感じでやるんだぞレッド、いいか夫婦だといっても恋愛をする事は必須だからな』
『こうやって私との恋愛をサポートしていたのですか・・・ラインさん??』
『ん?? あ、そうだぞ・・・レッドにラビリアと付き合いたいと聞かれたから、自分の気持ちを抑えてお前との契りまでサポートしてみただけだが』
歯切れの悪いラインさんの今の発言は
明らかに、私への嫉妬の現れですよね
相思相愛だったレッドさんとラインさんは
一時的な倦怠期なのでしょうか
私との恋愛を推進なんて
戯れだとわかっていても、私は本気でレッドさんを好きですから
奪うつもりですからね、ラインさん!!
『きっかけはどうでもいいです、私が本気でレッドさんを奪取しますからね』
『それが仕打ちなら、私はそれでも構わない・・・レッドが幸せならな』
『そんな悲しそうな感じで私を見ないでくれますか・・・ラインさん、ダメですよ』
自由奔放というのは、この人のためにあるのではと思うくらい
圧倒的なアドバンテージを持っているにも関わらず
普段余裕で接してくるが
いざ不利になると、泣きそうな勢いですがってくるのは
もう少し、自信を持てないのかと思うのです
『お母さんとラビリアさんを天秤に掛けてもいいのか、僕の独断でも二人は後悔しませんか??』
『私は後悔しませんよ・・・レッドさんの選択ですから、刺し違えてもな覚悟です』
『・・・ラビリア怖いぞ、レッドいいか容易に答えは出すな!?』
『わかりました・・・でも、一人だけを選択するとは言ってませんよ~♪』
レッドさん・・・
もしかして、ハーレムにするつもりですか??
エリアさんの計画が遂行すると・・・その通りになるのですが
『赤い帝国でも立ち上げるか、レッド?? 私はそれでも構わないぞ・・・』
ラインさんが皇帝になるのですかね
ある意味近い状態ではありますが
実際に皇帝は存在しますし
どんな意図で発言しているのでしょうか??
『ラインさんは安易に発言しないで下さい、レッドさんが困惑しますから!!』
『僕は特に困惑はしていませんよ、比較的前から似たような事を言っていましたから』
・・・何でしょうね、少し疎外感があるみたいです
この以心伝心な仲へ介入して、ラインさん以上に私に振り向くようにできるのか
形式上の契りでは、この世界で夫婦という間柄ですが
不思議な違和感があります
客観的な見え方は知りませんが
ラインさんとの仲も悪いとは思いませんし
レッドさんを巡っての争いなど、存在しないと感じます
実際の心情は無視していますが・・・そこは察していただければ
『ラビリア・・・私も争う気はないぞ!! お前と共存を選択したのだからな~』
『達観した状態に私はまだですから、最終的な目標としてラインさんとの関係を構築したいのです』
『僕を眼鏡好きに変えたのはラビリアさんですよ、優劣なんて今は考えられません!!』
普段は着けていないラインさんも含めて
私とレッドさんとラインさんも眼鏡をしています
仮想的として、今あるのは
私と現皇帝の一族とで作り替えた世界
“電脳異空間”
全体を電子化させる惑星改造を行って
人類は目の前にある氷河期という危機を脱することに成功しました
置き換えるように氷機の侵攻が始まりましたが
それすらも、私を含めたチームで対抗する術を・・・
現在、駆使しながら必死に防衛しているのです
『趣味で世界中に眼鏡を配布するくらいだし、本気で好きなんだよなラビリアの事』
『お母さんが嫉妬するだけの愛をラビリアさんに抱きました、この世界だけではない感じで』
『そうだな・・・私が嫉妬するだけの存在になったという事だ』
一瞬、私を睨むように見ていましたが
すぐに笑顔に変わり、ゼロ距離に接近して
『女神として超越した愛をレッドさけではなくて、ラビリアにも等しく感じて欲しい』
『あのラインさん、恥ずかしいですよ・・・やめてくれませんか!?』
この流れで、どうして私の服を脱がせようとするのでしょうか
しかも、直に素肌を触ってくるし
『お母さん!! ダメですよ、自重して下さい』
『え・・・仲直りな感じで愛を確かめ合う、な状況に持っていこうと思っただけだが、ダメか??』
『ラインさん、本気で嫌いになってしまいますよ』
乱れた着衣を直して、私から離れた
そして、しおらしく私を見ている
『すまん・・・私を嫌いにならないでくれ、お前が望まない限りはしないように努力するから!!』
『ふふふ、欲望を私に抱いているのですよね・・・女神の本能に抗わないのがラインさんですものね』
今にも泣き出しそうでしたので
怒らず、優しく諭しました
純粋な心が女神の素質の一つだったりします
方向性の縛りはなくて、とにかく純粋であれば可能性があるようですね
『私を好きだという思いがあるのは、知っていますし・・・行動が先行してしまうのも把握しています』
『ラビリアは優しいな・・・私の支えになってくれた存在』
感極まって泣いてしまったみたいです
異常なまでの起伏の激しい感情もある意味は女神特有かもしれませんね
『ジオクロニクル史上で最上の戦いをしてくるからな・・・レベル20の神の領域を解放させるぞ!!』
『楽しみにしています、世界中のオーディエンスと一緒に応援しますよ』
『僕もお母さんを応援します』
世界は私が構築したネットワークで繋がっている
“ユニバースシステム”
電子化されたほぼ全ての機能を網羅できる上
ある程度の制限はありますが
公開を可能にすれば、氷機との攻防を全世界で共有して閲覧を同時にできるのです
そんなシステムの導入するデバイス
片耳に被せるタイプのヘッドホンの片方だけのような機器
唯一付いているスイッチ
これを押すと眼鏡が自分の顔の前に登場する
入浴中か睡眠中以外は
ほぼ装着状態で
(人により、防水や曇り防止もありますから常時装着している)
『みんなで私のパフォーマンスを見てくれるのか・・・少し緊張するかもしれないが頑張るぞ!!』
『僕の大好きなお母さんが最高のステージを披露するアイドルのような感じですか~♪』
『・・・レッドさんが望むなら、本当のアイドルのように演出しますよ』
『本当ですか!? お母さんが拒絶しないのならお願いしたいです・・・』
これは、ラインさんは拒絶できない流れでしょうか
若干ですが私を睨む感じに思えますが、無視します
『恥じらいも含めて純粋なる心が女神を強くにするからな・・・順子から借りたスキルは、私にも適応しているようだし・・・レジェンドを圧倒する瞬間が見れるぞ、私が無敵になる~♪』
『世界は気にせず、最大を出力してくれて構いません・・・壊れる世界なんて守る価値はありませんと思っているので遠慮は無用です・・・私は純粋にラインさんの勇姿を楽しみたいだけ』
レッドさんが何か耳打ちをラインさんにしている
どんな内容なのかは、あえて聞く事はしませんでしたが
話を聞いた後のラインさんのニコニコする感じである程度の察しはあったのです
『レッドも事象超越のスキルがあったのか・・・隠す意味は私のためだったと、ふふふ~♪』
『ラビリアさん、全力で防衛しますよ・・・死ぬ気で僕も助太刀しますから』
真っ直ぐな純粋な瞳で私を見つめるレッドさん
夫婦ではありますが、思い切り緊張してしまいます
付き合って間もない恋人同士のように手を繋ぐだけで真っ赤になってしまう
近距離で見つめられると、まだ照れてしまって
どうしていいかわからなくなってしまいます
『・・・よし、この愛があれば私が全力でも問題ないだろう』
『一応、ラインさん専用でゴーグルタイプのデバイスを用意しておきました・・・使いますか??』
『今回は、アイドル風なんだろ眼鏡でいいよ・・・で、衣装はどんな感じなんだ??』
8インチサイズのモニタデバイス
私が操作していると、レッドさんが介入して
画面に衣装が勝手に現れる
『僕のデザインした衣装でもいいですかね・・・お母さん??』
容姿端麗
長身で美形でメートルを超える胸
宝石と同じルビーの輝きの長髪
非の打ち所がないラインさんですから
どんな衣装だとしても、似合うと
まあ、子供服や学生服とかは微妙だと思います
と言いながら、レッドさんが用意した衣装も・・・私はギリギリな気がしていて
レッドさんの事、本気で好きなんだろう
嫌々ながらも今回の出撃で、アイドル風の衣装を着て戦ってくれる
これが母性を超えた男女の愛の証なんでしょうね
『赤いドレスか・・・まあ、ギリギリだろうかラビリア??』
『私に聞かれても困ります、六花さんなら詳しいと思いますけど・・・単純に素敵だと言っておきます』
画面に映っている衣装をラインさんの体型に合わせてトレースして
空間へ出現させた
『・・・具体的な造形を見ると恥ずかしいかもしれない』
『転送エリアで待機させます、現地で装着させますね演出的に派手にしておきます』
この会話を楽しそうに見ているレッドさん
アイドルに興味があるようで
今の流れになっているのですが
他のアイドルユニットのファンだった事を最近知って
密かに遂行している計画があって
少し先になると思いますが、いずれお披露目できるので期待しないで待っていて下さい
『ここで怯んでも仕方ないよな、女神は堂々と戦うのみ・・・ふふふ』
女神の能力は言動の一つ一つに世界に影響を及ぼすだけのチカラがあったりします
下手な発言や言葉も場合により実現されたりもしますから
慎重に行動をしなくてはならない・・・らしいのですが
ラインさんに関して言えば
例外中の例外
自分の自在で解釈されて、好きなように出来るらしいです
『私が本当の頂点だ!! 順子やレジェンドなんて敵ではない・・・ははは』
自信家ではないですが
自らを奮い立てるかのように、本気の状態で戦ってくれるでしょう
しかも、発言された事が多分ですが実際の出来事に変わるのかな??
『世界の防衛と同じくらい、あなたのデータにも興味ありますので・・・』
『スキャンに使う分くらいは、確保出来ると思いますが・・・世界ギリギリでも構わないですよね??』
『お前ら・・・世界と嗜好を天秤にかけるなよ、と言っても無駄なんだろ??』
『問題ありません・・・多分』
現存する人口全てが応援するだろう
その声援が直接ラインさんを励まして、具体的なチカラに変換されていく
『今、宣伝しておきました・・・これでラインさんの単独ライブが視聴率ほぼ100%となりますよ』
『そうか・・・カリスマアイドルとしてのライブだと思って楽しんでくれ!!』
~LIVE配信中~
ラインさんの師匠である首都防衛を主体とする部隊を指揮している隊長である
エルードさんが立ち上げたネットワーク限定の映像配信サービスがあって
“ウィッチシステム”
世界中の全ての人が基本的に配信を閲覧可能で
エルードさんの会社の公式配信から
有料ですが、個人でも配信ができたりします
軍事や帝国関連などもこのシステムを利用していたりします
今回の配信も軍事関連で行われる
『もう配信始まっているのか・・・世界中のみんなのために頑張るからな~!!』
自動配信機器のカメラに手を振るラインさん
緊張していると言っていたが
いざ、配信が始まると
本当のアイドルかのように満面な笑顔でアピールをしている
『人類最大の脅威である“氷機”とは別の敵が侵攻を開始していて、それを私自らが迎え撃つ!!』
ラインさんの真骨頂と思う部分
極端に私と同等なくらいの緊張をして恥ずかしがり屋だったりするのですが
切り替えがしっかりとしていて
今の世界にアピールするだけの度胸を見せる
本気の心意気をジオクロニクルに対して攻めの姿勢をしている
システム:フラッシュゲート反応あり
システム:世界崩壊警報発令
どうやら、女神が侵攻してきたようです
過去に幾度とあった、特殊な事象の中で
別の次元から頂点たるラインさんに対して挑戦してくる女神が来る
女神は女神同士で頂点を目指すために戦いをしたりします
更に、ここを特に侵攻する理由があって・・・
電脳異空間の特性を“漁夫の利”的に狙ってくる場合がありまして
管理している女神であるラインさんを倒すことができれば
同等の恩恵を受けることができる
この世界で“覇者”と呼ばれる存在
世界で行われているゲームのクリアした最初の女神が該当する
その覇者はリセットされた他の女神の分、どんな願いも一つ叶える事が可能だったりします
全てではありませんが
その覇者の恩恵を狙う女神が幾度と侵攻してきます
『私に挑戦してきた女神とアイドル対決を行おうと思う・・・可愛らしさの魅力合戦だ~!!』
と言いながら、私にウインクしている
流れでタイミングを合図すると待っていました
レッドさんのデザインしたアイドル風の衣装にチェンジする
『今日は特別な衣装を用意したから、見た目でも楽しんでくれ~!!』
配信が密着でラインさんを捉えていて
余計にサプライズ好きな感じですからね
演出的に派手なようにしました
ポップでキュートなエフェクトを衣装チェンジの際に
昔に流行った魔法少女のアニメのような変身シーンを再現した感じですかね
詳しくは私もよくわかっていませんが
レッドさんの完全嗜好なので
ほぼお任せ状態にして、完全版を具現化した際も
レッドさんを一瞬見て、微笑む表情で問題はなかったのだと判断しました
軍服から衣装チェンジを行うのは瞬間的な感じではありますが
今回、世界中に配信されていますので
更に演出としての意味合いもあって
スロー再生しているみたいになっています
『ナイスです、ラビリアさん・・・再現完璧です!!』
『そうですか、借りた資料の通りにしてみたのですが・・・気に入ってくれたみたいで嬉しいです』
短い時間で編集しましたから
レッドさんに完璧だと言われた事が、凄く嬉しかったです
『この世界を守るために、私が全力でパフォーマンスするぞ~!!』
可愛らしいフリルのあるミニスカート
このサイズで動き回るのですよね・・・レッドさん!?
確実に中見えてしまいますって
『あの・・・レッドさん、仕様ですか??』
『何の仕様ですか??』
あくまでもシラを切るつもりですか
それとも、ダイレクトに質問しないとダメですか
『ラインさんのスカートが丸見えだと思うのですが・・・レッドさんは把握していましたか??』
『羞恥も含めて、仕様です・・・という事にしておきます』
これは、不可抗力だったみたいですね
冷静さを保っていますが、若干の動揺があります
『ラインさんのパンチラを世界中に披露させる気ですか、って・・・本人は覚悟の上みたいですよ』
無言でラインさんの傍に向かって
何か小声で話すレッドさん
慌てて、さっきの事を伝えたのでしょう
『・・・おい!! レッドが私を心配してくれたぞ、作戦大成功だな!?』
『私は、加担していませんからね・・・フィッティングの段階で把握してスルーしていましたから』
『いいじゃないか、レッドが私にまだ気持ちが残っているか確認したかっただけだ!!』
『そんな必要ないと思いますが・・・それ以上にレッドさんが疑心暗鬼ですよ??』
戦いの前なんですよ
親子を超えた関係の確認なんて、後でして下さい!!
と、言える状態ではありませんでした
一触即発になりそうなレッドさんとラインさん
ですが、有事最中である事を熟知している二人は
これ以上、特に何もなかった
『色々すまなかったな、レッドを頼むラビリア』
『わかりました・・・』
真っ赤に燃えるラインさんが空へ消えていった
無言で見つめるレッドさん
『親子で心配させてしまって、本当に申し訳ありません・・・ラビリアさん』
『気にしてはいますが、比較的平常通りだと思いますよ』
そっとレッドさんを抱きしめて
優しく微笑みました・・・