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『その二つ名は既に使用されています』

 幻想迷宮……突如世界各地に現れた現代科学では説明できない遺跡群は瞬く間に世界の常識を塗り替えた。魔法、モンスター、財宝……物語の中にしか存在しないはずの全てがそこにあったのだ。世界中でこぞって迷宮の探索が進められ、第二のゴールドラッシュと呼ばれるほどの社会現象になっていった。


 時は今、大迷宮時代!



「……あーもう!これもだめなのかよ!全滅じゃないか!」


 意気込んでパソコンをつけてからすでに2時間が過ぎようとしている


「くそっ、なんでこんなところでこんな苦労をしなきゃいけないんだよ……」


 年々増加する迷宮探求者を管理するため、政府は『免許制度』と『二つ名制度』を導入した。探求者は自身の免許登録の際に二つ名を決める。これは探求者を識別するIDとしての役割を果たすものなのだが、近年大きな問題が発生している――


『その二つ名は既に使用されています』


 かぶるのである



「ただいまー……うわっ、まだ考えてる」


 さらに悩むこと1時間、戻ってきた友人にあきれられてしまった


「二つ名なんてぱっと決めてぱっと登録すればいいじゃない」

「いやだ!これからずっとこの二つ名でいくんだから、しっかり考えたいんだよ」

「もう3時間ぐらいたつじゃない。なにをそんなに悩んでるのよ」

「それがさー、候補結構考えてたんだけど、片っ端からかぶってるんだよな」


 友人は画面に表示されたメッセージと俺がいれた二つ名を見てため息をついた


「あんたがありきたりな名前ばっかり入れるからでしょ。なによ『氷結の埋葬者』って。あんたのどこに埋葬する要素があんのよ」

「だって!かっこいいじゃん!」

「ったく。これだから……。だいたい『氷結の』の時点で結構多いんじゃない?」


 俺の手元からマウスを奪い、カチカチと操作し始める


「ほら、9千件超えてる」


 画面には『氷結の』が含まれる二つ名の一覧が表示されていた


「嘘っ!こんなに!」

「二つ名制度が始まってからまあまあ経ってるからね。そんな安易な名前じゃかぶっても仕方ないわよ」

「……安易……」


 昨日寝る間を惜しんで考えた名前が……

 

「……結構落ち込んでるわね。そんなに自分のセンスが十人並みなのがショックなの?」

「うるさい!じゃあお前のはかぶらなかったのかよ!」

「かぶらなかったけど?」

「ぐっ……じゃ、じゃあなんて名前にしたんだよ」


「『xj3HJ472』」

「パスワードかよ!」

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