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明らかに一般高校生以下な僕の、内向的で恥ずかしい日常。

作者: リョウくん

9月上旬の今日は、ごうごうと横殴りの雨が降っていた。

あまりにも強い雨であり、驚かされたのは、

高校の帰りの電車の中でドアにぐったりとよりかかり、

いつものように携帯(俗に言うガラケー)のパズルゲームで

ひたすた時間が過ぎるのを待っていた時だった。

ドアの根元にできたドアとドアのわずかな隙間から、少量の雨水が流れ込んできたのである。

足元に流れる雨水に、自分の靴を濡らすのはかまわないのだが、

周りに座っている生徒から、「あいつの足元から雨流れてるぞ」とか、

「なんか、お漏らしみたいじゃない?」

とかなんとか思われたりしたら(今思うと、少々神経質すぎたのかもしれない)

なんか、ものすごくやるせない気持ちになってしまいそうだったし、

一般の常識的なオーラを持つ人ならば、さりげなく反対側のドアの方へ移動するだろう、

と思ったので、さりげなく、反対側のドアへ歩き出した。

そして、再びドアに体を預けると、対面のドアの隙間から流れる雨水は、

電車の振動で少しずつ流れ始めていた。

携帯のゲームを一時停止し、雨水の行方を眺めていると、

ゆっくりと、まっすぐこちら側へ流れていた。

嫌な予感がした。

もしも、このまま進路を変えずにこちら側まで流れてきてしまったら、

「あいつ移動したのに、結局濡れてるじゃん」とか、

「あいつ漏らしたんじゃね?」

などと周りから少しでも思われてしまったら、

それは個人的に耐え難い恥辱であり、

周りが忘れようとも、授業中などにふと思い出しては赤面してしまう、

そんなことになってしまいそうであった。

特に自分は過去の恥ずかしいことを思い出しては尋常になく悔やんでしまうたちで、

こういう、ささいなことでも、耐えられないような性分であるのだ。

しかし、電車が駅に近づいたため減速したところで、

雨水は流れを電車の進行方向へと変えたたのだった。

そのあとは少しおもしろかった。

先頭を切って流れていた水の集団と、少し遅れて流れていた水たちが流れを変え向かったのは、

ちょうど座席に座っている学生集団の足元だったのだ。

先頭の水たちは僕のよりかかるドア側の座席で、遅れている方は反対側へ流れていったのである。

気がついて足元のバッグをどかすもの、あるいは足を上げて水を避けるもの。

気がついていないのに、偶然わずかな足の隙間を通り、濡れずに済んだもの。

そして、おいていたバッグにもろに水が当たるもの。

はじめてみるそんな光景に、まるでテレビ番組のどっきりを見ているかのような、

そんな可笑しさがあった。

電車がいよいよ駅に止まろうかという頃になり、

僕は足元のバッグを肩にかけ、携帯をポッケにしまう。

この駅で降りなければいけないのだ。

そして、対面のドアの前へ進んだ。

ドアが開くのは、こちら側なのだ。


電車が停止し、外の風景が止まる。

どこの高校かもわからない制服を着た学生と、

スーツの中年男性(髪が禿げかかっていた)がドア越しに見える。

がたんがたん、という音を立てて、ドアが開く。

僕を先頭に何人かの生徒が駅のホームに降りていく。

降りるときに、よくわからない高校の学生の肩が僕の肩をかすめていった。

普通は降りる乗客を待って乗るもんだろう・・。

少々腹が立ったが、学校から解放された喜びの方が大きく、すぐに消えていった。

僕は駅のホームを歩いて行く時は、

電車を降りてまっすぐ行った反対側のホームの「黄色い線」の外側を歩いている。

理由はない。

少し歩くと、女子たちが立ち止まって空を眺めていた。

「わぁ!虹だ!」「きれーい」

などと言っているのが聞こえる。

左を向いて、歩きながら空を見る。

歩きながらだからか、全く見つけることができなかったのだが、

もう階段が目の前にあるところまで来たので、あきらめて階段を上りはじめるのだった。

















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― 新着の感想 ―
[良い点]  はじめまして。タケノコです。おはようございます。  本作を拝読しました。普段の何気ないシーンをわかりやすく、かつユーモアを交えて書かれてあって面白かったです。漏らしたと思われるのはつら…
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