閑話休題:秀斗
アリサは隣の家で、俺と同じ日に生まれた幼馴染だ。
違いはたった2つだけ。
1つ目は性別。
2つ目は俗に‘ランク’と呼ばれる身分。
この2つ目の身分の差は、性別の差より大きなものだった。
この国では出生時に遺伝子の解析が行われる。
そして、全国民は知能レベルに基づきAからQの17段階に振り分けられる。
ちなみに‘ランク’の正式名称はない。
この身分はカーストそのものだ。
生まれ持った遺伝子を変えることは不可能。
つまり、生まれた時にその人間の価値は決まっている。
俺は最低ランク、つまり「Q」だった。
不思議なことに、Qランクの子供が皆馬鹿というわけではなかった。
Qランクの子供が知能テストでCランクの子供に勝ったときは、皆ランクを疑った。
しかし、今そのように疑う奴はいない。
現実は、優しいものではないから。
Cランクに勝とうが何をしようが、Qランクの子供は中学へは上がれない。
仕事も社会の底辺にしかない。
負けたCランクは教師や親にかしずかれ、Qランクは常に疑いをかけられる。
そんな世界に、俺は慣れた。慣れるしかなかった。
本当に、「死んでも」どうにもならないのだから。