2話 「すみません」
交通事故にあった主人公。
気付いてみたら「ここは誰?」
そして、激しい頭痛に意識を手放してしまった。
今回は男女4人側です。
「エリオット様!? 大丈夫ですか!? エリオット様!?」
魔導局長のオッフェルトが顔色を真っ青にしてエリオットに声をかける。
ベッドに寝かされているエリオットは苦痛に顔を歪め、呻き声をあげてから気を失った。
「オッフェルト殿。はやり蘇生は・・・。」
ケリーシア女王が顔を曇らせ、『失敗か』との言葉を濁す。
その言葉に、エリオットの父であるアルフェード前国王とエリオット付き侍女のアスーの血の気が更に引いていく。
「ケリーシア陛下、まだ解りませぬ。一度離れた魂がまだ体と上手く繋がっていないだけかもしれません。」
「しかし! 先ほどのエリオット殿はこちらの言葉を理解している様子も無かった!」
オッフェルトの言葉にケリーシアが反論する。
「ケリーシア女王。落ち着かれよ。」
憔悴していたが、アルフェードは威厳のある声で嗜める。
「しかし! これは最悪の事態ですよ!!」
ケリーシアが更に声を上げる。
「落ち着かれよ!!」
アルフェードが一喝する。
「確かに最悪の事態の可能性がある。そして、我々王族はその可能性に対策を考えねばならん。しかし、それは冷静になってのこと。加えて、最悪の事態に関しては既に話会ったであろう。」
正気に戻ったケリーシアが自分の醜態を悔やむ。
「取り乱してしまい、申し訳ありません。」
「うむ。して、どうなのだ? オッフェルトよ」
「はい。エリオット陛下が倒れられて直ぐに蘇生の儀式をしましたゆえ、反魂はできているかと。ケリーシア様が懸念されている人形化ですが、それは無いかと思われます。」
オッフェルトの言葉に3名が安堵のため息をつく。
「本当に人形化はないのだな?」
「はい。人形化は鼓動を打つだけで、何も反応しません。痛覚も食欲も無く、体に蓄えられたエネルギーが枯渇すると終わります。対して先ほどのエリオット様の様子ではこちらに反応して目を動かされておりましたし、痛覚もあったようです。しかし、多少の障害は残るやもしれませぬ。」
「そうか・・・。」
4人それぞれが思考の海に沈みこんだ。
『多少で済めば良いが・・・』
数が少ない蘇生の儀式において、結果は様々であった。儀式が成功し、倒れる前の状態に蘇る者、蘇生が成功しなかった者、蘇生し意識もあったが障害を残す者。
障害の程度はさまざまで、手足に軽い痺れがある程度の者から、酷い者で全身麻痺や乳幼児レベルまで自我が退行する者、そして人形化と呼ばれる状態になる者。
「#”%%”&$”」
重苦しい沈黙の中、広い部屋にしわがれた声が響いた。
やっと設定を幾つか考えました。
けれど、平日は恐らく書かないので、次のUPは土曜日になるかと思います。