目次 次へ 1/2 或る少女の夢 _______夢の中に居た。 広い庭だ。池には錦鯉が泳ぎ、菖蒲が咲いている。朗らかな日光が草木を照らし、風が髪を乱す。 自分はその庭を歩いている。 前では、よく知っている「誰か」が歩く。 「誰か」は、自分の方に振り返った。その顔は見覚えのあるようで酷く朧気だ。 池には静かな波が立つ。 木の葉が風に吹かれて揺れる。 「誰か」は何かを言った。 そこで夢は終わった。 鳥の囀りと共に、見知った天井が映る。 治蔵夜凪(なおくらよなぎ)、16歳。 また今日も、いつもの一日が始まる。