親子の星空観測
とある寒い冬の夜の管理キャンプ場。
冬にキャンプをしたがる人は非常に少なくて、キャンプ場に設営されたテントから放たれるランタンの光は数えられるほどしかない。
そんな静かなキャンプ場の大きく空いたスペースに、ぼんやりとした光に浮かび上がる大小の人影があった。
「星の数がすっごい!」
「だろ? 冬で街の光から遠い場所だと、こんな風に見えるんだぞ?」
「こんなにキレイだったら、お母さんも来ればよかったのに」
「肌を切るような寒さで、肌が荒れるからどうしても嫌だってさ。 残念だよね」
「ねー?」
「じゃあ、天体観測を始めようか」
「はーい!」
「へー。 せーざの探し方って、こうやるんだ」
「そうみたいだね。 まずは見つけやすい強い光を、こうやって探せば早いみたいだね」
「アレがこーで……オリオン座!」
「そう。 そして斜め下に行くと……ほら、おおいぬ座」
「左上が……こいぬざ! こいぬに見えねー!」
「だよねー? ホントなんでこれで星座なんだろね?」
「これでせーざが絵になるって、ふしぎ!」
「不思議だけど、これが星図盤アプリが入ったタブレットのチカラだな」
「タブレットのせーずばんアプリ、すごい!」
「現実で星を探すのにどこを見ているかすぐ分かる、レーザーポインターも凄い!」
「…………ねえ、タブレットとかレーザーポインターが無かったころは、どんなんだったの?」
「一番古いのは、星座が描かれた本だけ。 それから星図盤だけ」
「え? そんなので分かったの? てゆーかせーずばんって、アプリ?」
「いや、紙かプラスチックかで作ったやつだろ。 でもそれで分かったんじゃないか? それから半透明のプラスチックで、下から光を当てると星のところだけ光って見える星図盤ができた」
「おお……」
「そこから星の光を邪魔しない赤色のついた懐中電灯やレーザーポインターが登場して、パソコンとかスマホとかタブレットにアプリ。 かな? 記憶に自信が無いから、多分だけどね」
「へー。 たいへんだったんだなー」
「今はもっと凄いのが有るみたいだけどな」
「え、なに?」
「VRゴーグルで、アプリで見たものを直接見た気分になれたり。 ARメガネを通して夜空を見ると、星座が直接見えたりするんだってさ」
「おお……!! それ、見たいっ!!」
「ごめんな? ヨメから、そんなお金は無いって言われちゃってな……」
「お母さん……」
「っと。 それはさておき、今日は夜空をいっぱい楽しむぞ!」
「おー!!」
〜〜〜〜〜〜
「あきてきちゃった」
「まあ、夜空を見るだけだもんな。 ならまあ、こう言う時の定番はどうだ?」
「てーばん?」
「自分だけの星座を作る」
「おー! やるーー!!」
「おー、やってみろー」
「ならねー、んとねー。 星をこーつなげてー……う〇ち!」
「うん。 定番だね」
「それからねー、えとねー。 ココをこーしてーー……ち〇ちん!」
「やるよねー」
「お父さんはやらないの?」
「やるよ。 ……ほら、これで飛行機」
「つまんない!」
「え〜……」
やるよね。
しょーもないオリジナル星座を作るよね。




