思い出と今
学生時代の恩師と飲んだ。
社会人になってから2回目。
卒業してから3回目。
過去最長、夕方から終電まで話し続けた。
シラフでは無言の時間もあるが、酒を飲むと饒舌になる。
心を開いてくれたようでとても嬉しくて、楽しくてつい、飲みに誘う。
昔、私は先生のことが大好きだった。
結婚していたが、大好きだった。そういう好きだった。
別にどういう関係になりたいと思った訳ではなく、
ただ近くで、一生徒としての関わりで十分だった。
卒業してから、友達と先生と博物館に遊びに行ったこともある。
まだその時も好きだったから、それはそれは素敵な時間だった。
時が経って、会わない時間が増えれば、気持ちも減っていき、
他の人を好きになった。
恋ではなくなったが、依然として私の中の「大切な人」のまま。
社会人になった今としては、仕事に対する向き合い方を参考にしたいと思い、
度々相談に乗ってもらっている。
話せば話すだけ、仕事に対してストイックに向き合って、
でも、出世意欲はない。
理想が高くて、目標も高い。働きがいを常に求めて自分と競っている。
話せば話すだけ、心も奥の大切なモノが見え、眩しすぎて、
時折苦しくて、目をそらした。
話を聴きながら、ふと唐突に
”あぁ。この人を好きだった時間は全く無駄じゃなかったな。
学生時代に好きになった人が、私の青春の思い出がこの人でよかったな。”
と思った。
息をすることや、食べ物を食べて美味しいと思うことと同じくらい自然に。
それ以降はひどく幸せで、終電の時間が迫っていたが、
また会えばいいや。と思いつつ、今、この時間を楽しんだ。
先生。いつもありがとう。また飲もうね。
それでは、また。