後日談ーⅴ
「王様は、良かったですね」
そのお背中は、お話を聞いた中で感じたほどの孤独を纏ってなくて、わたしがぽつりと言うと。
「あいつは人たらしだからな。自分ではごちゃごちゃ考えてるんだろうが、もともとさして心配してない」
と、サンドラ様は相変わらずの調子で仰った。
「表向きはともかく、あなたたちが変わらずにいてくださるからです。私も、それにどれだけ救われたか」
懐かしそうに目を細めて微笑まれたユリゼラ様は、柔らかい日差しを凝縮したように、まばゆい。
「ハーシェル王様が即位なさるまでの経緯とか、サクラ様が召喚されるまでのお話とか、今後公表なさらないんですか?」
正直、末端貴族のわたしは、新しい王様が「立ったらしい」という噂を聞いただけだった。「王妃も立てたらしい」という話も同時にあったけど、歴代の王様たちは複数の妃を立てるのが普通だったから、サクラ様たちがうちの領地に来られて現状のお話を伺うまでは、後宮には何人かいらっしゃるとすら思っていた。
でもそれくらい、何も知らされていないんだ。
こういったお話なら、公表なさったらいいのにと思わないではない。
「そうね。はじめのうちは公表することも考えていたけれど、今は難しさを感じているわ。何かいい案を持っていたら、教えてね」
ユリゼラ様に微笑まれたら、つられてにやけてしまう。
いや、にやけるな、微笑めわたし。
もうユリゼラ様の美しさは、なんかの魔力を持っていると思う。
オフィーリア様を抱えたサンドラ様とともに部屋を辞すと、わたしはサクラ様のところに向かった。
今日は視察に出られていて、わたしはお留守番だったんだ。それでオフィーリア様と王妃様のところに招かれていた訳なんだけど。
「へえ……」
わたしの主君であり、後見人であるサクラ様の髪を梳きながら、今日伺った話をかいつまんですると。
「それをユフィーがまとめたらいいのに」
と仰った。
「はい?」




