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Ⅴ ハーシェルーⅺ

 その言葉に、この惨事の前に揉めていた内容を思い出す。肉親の死に打ちひしがれていたが、忘れていた。


「俺のほうこそ、済まなかったと、思っている。お前たちに甘えていると、突きつけられた」


 シンの言葉は、なんの飾りも忖度もなく、ただ事実だけを突きつけてきた。


「この地震は、ここらだけなんだろうか」

「ユリゼラ殿は、恐らく全土で起こったはずだと」


「そうか。……人が多い分、シェーンドルンは大変だろうな」

「ああ。王統院が機能していない今、セルシア院だけでどこまで対処出来るものなのか……クレイセスもクロシェも、今日から不眠不休を強いられるだろうな」


 淡々と友を案じるサンドラが、思い出したように布袋から紙包みを取り出して寄越す。開けると、野菜や燻製された肉を挟んだパンが二つ、現れた。


「屋敷の料理長が、お前にってさ。助け出された中に、あの人の子供がいたそうだ。ずっと不休で指揮してると聞いたからって、救護所で預かった。今はロムニア男爵の屋敷の者たちは皆救護所に来て、ユリゼラ殿の指揮の(もと)で動いている。……彼女はすごいな。ずっと病がちで伏せってると聞いていたのに、こんな有事に的確に動けるなんて」


 サンドラの説明を聞き、ハーシェルはありがたくかぶりつく。


「地震も、彼女がいち早く察知したおかげで、男爵家にいた人間は誰も怪我をせずに済んだ。そのあとも、救助に向かうまで早かったぞ」


「そうらしいな。救護所の設立から今に至るまで、ユリゼラ殿の指揮のおかげで特別混乱も起きていない。その分、ガゼルは瓦礫からの救助活動や火事の対応に専念出来たんだ」


 人員を細かく分散せずに済むということは、事が大きいだけにありがたい。


 ハーシェルは差し入れられたパンをペロリと平らげると、サンドラに問いかける。


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