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Ⅲ 王都の消息ーⅳ

「詳細は調査中だ。この件も、フィルセインが噛んでいるのかどうかもわからない。俺たちはこれを受け取った段階で戻るべきかとも思ったが、今回ユリゼラを狙っているのは、間違いなくフィルセインなんだ。もしもセルシアの消息に関してフィルセインが(から)んでいるとするなら、やつらを()らえて情報を吐かせるほうが今後につながると判断してここまで来た」


 長官として、進退の可否の判断は委ねられている。


「考えさせてくれ」

「ああ。今日明日のことじゃない。それに、お前にとっては何を選んでもつらい決断だ」

 ガゼルの言葉が、優しさが、今は沁みる。


「明日には、わたしたちも男爵に挨拶に行く。どんな経歴になってるんだ? 『ダリ』は」


「ああ……王都で要人の警護をしていたが、飽きて商人の護衛を引き受けてここまで来たと話している」


 なるほど、とサンドラが頷いた。これで、この二人は顔を合わせても話を合わせてくれるだろう。


「ユリゼラ殿の姉上たちは? 皆美しいと聞いているが」


「皆嫁いで城を出ている。長女も去年婿を迎えて、二人の生活を楽しむために領内の別の場所に出ているそうだ」

 貴族の情報には精通しているサンドラだが、ロムニア男爵とは接点がないらしい……と思って、ハーシェルはいまさらなことに気がついた。


「ああ、そうか。お前、女だったな」

「なんだそれは? ここの事情をなんで知らないんだと言いたいのか?」


「そう。お前やたらと貴族の家系に詳しいのに、なんでここのことは知らなかったのかと」


 女性だから、見合いとして持ち込まれる男性貴族のことは知っていても、女性相手は知らないはずかと納得したが、サンドラは少しむくれたように反論する。


「ユリゼラ殿の年齢を知っていた分、お前よりは知ってると思うがな。わたしが知ってるのは、父様の涙ぐましい努力の結果だ。見合いになる前に(かわ)されると、毎回嘆かれる。ついでに言うと、こいつらに持ち込まれる見合いの数々があるから、なんとなく覚えているだけだ。それに、ガゼルだって覚えてるだろう」


「うん? 俺はそうでもないが、クレイセスは完璧に把握してるぞー。そういや聞いてくればよかったな? 討伐に必要なさそうだったし、そういう内容を聞くってことも思いつかなかった」


「お前、見合いの話とかあるのか」


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