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Ⅲ 王都の消息ーⅱ

「ひょんなことから、男爵令嬢の警護をしてる」

「ロムニア男爵の令嬢っつったら、あの『麗しの美姫』のユリゼラ殿のか?」

「お前も知ってるんだな。そう、そのユリゼラのだ」


 サンドラがガゼルと顔を見合わせ、ガゼルが笑って言った。


「じゃあ、報告にあった男爵家が雇った凄腕の用心棒って、お前のことか」

「そうなるんだろうな」

 肯定すると、二人がにやにやと聞く。


「一人で五人も倒したらしいじゃないか。で? その麗しの姫君とは、仲良くなれたのか?」


「麗しのって、確かに美人だが、子供じゃないか。世間話くらいはするが、俺は子供に興味はない」


「子供って、お前知らないのか?」

「何を」

 サンドラが呆れたように言う。


「ユリゼラ殿は今度二十歳になる、立派な女性だぞ?」

「はあああああ?!」


 思わず叫び、ガゼルが笑って言った。

「ハーシェル知らなかったのか。それにしても、そんなに幼く見える姫なのか?」


「いや……あまりに小柄で、まだ成長過程なのかと……」

 ガゼルに答え、「大人びた姫」だとは思ったが、大人だったのかと認識を改める。


「あーあ。せっかく稀代の麗人がいても、鈍いお前では話にならないんだな」

「やかましい。大体、逃げてる最中色恋などにかまけられるかっ」


 ハーシェルの反論など信用していないらしく、サンドラの視線は呆れたままのそれだ。


「つーか、素性、明らかになんかしてないんだろう?」

「ああ。今はダリという偽名を使っている」

「恋愛詩人てガラかよ!」

「とっさに思いつかなかったんだよ!」


 二人に盛大に笑われ、ハーシェルは赤くなる。ガラじゃないのは承知している。


 ひとしきり笑ったのち、ガゼルが穏やかな表情で聞く。

「で? 俺たちが討伐を終えて、ユリゼラ殿の警護を外れたら、どうするんだ?」


「次の土地に移る。もともと、ここはこんなに長く滞在する予定じゃなかったし」

「そこは決めてるのか」

「まだ決めてない」

 そうか、と頷き、視線を落とす。ガゼルが何かを迷っているのを、ハーシェルは見て取った。

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