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Ⅱ レジエントーxⅳ

「いいえ。申し訳ない、昔から態度がでかいと言われるのですが、なかなか治らずに。一人で旅などしていると、余計に治らぬままでして。ご不快でしたら許していただきたい。これから改める努力を致します」


「いや、不快なことなどはない。そのままでいてくれ。言い方が悪かったな、こちらこそすまない」


 申し訳なさそうに微笑む男爵に、ハーシェルも穏やかに笑みを返す。


 態度に関しては、相当意識しておかないといけないようだと、ハーシェルは気を引き締める。王族として常に堂々としているよう育てられてきたハーシェルは、貴族の前だからと緊張することなどない。庶民が貴族の前に出たときにどうするか、など、知らないのだ。自分が外に出るときは、身分など隠していたから。ついでに言えば、王族として貴族の前に立つことはあっても、庶民の前に立つ必要性が一度もなかった。世界的行事や催事の際には、王族として列席することはあっても、遠くから眺められるだけ。そこに居さえすればよく、それ以上の役割などないので、接触することもない。騎士の連中は、元々いた友人たちのおかげもあり、はなから仲間として扱ってくれていたし。


(それって難しい)


(手本がないぞ、手本が)


 どうしたものかと考えながら食事を摂り、ハーシェルはもう少し「ダリ」の構想を固めよう、と部屋に戻ってからは履歴書の作成に励んだのだった。


*◇*◇*◇*


 ダリが来て五日ほどが経ち、彼は使用人たちにもすっかり人気者になっていた。ロムニア男爵は彼とどこかで会ったことがあるような気がしているが、それがいつどこでのことだったか、まるで思い出せない。


「私も……会うというより、『見た』ことが、あるような気がいたしますの」

 ユリゼラも静かにそう言い、微笑んだ。


 昨夜、盗賊二人がもともと使用していたバルコニー付きの部屋へと侵入した。使用はしていないが、部屋の手入れをしていたメイドが悲鳴を上げ、切られそうになったところをダリが助けた。


 一人はすぐに外へと逃げたが、一人はさらに館内に入り込み、中庭で夫人と話をしていたユリゼラを(さら)った。しかし、追いついたダリはあっさりとそれを片付け、ユリゼラを救い出すという顛末(てんまつ)があったのだ。


 ユリゼラは傷一つ負ってはいないものの、その直後から発熱し、今朝から臥せっている。


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