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7.蜂蜜ロハ

 

プリンアラモードの試食会は滞りなく終了し、商業ギルドの職員は特許申請書を受理して帰っていった。


もの言いたげに子供たちをチラチラ見ていたが、アルベール兄さまが『はい、解散!』の空気を(かも)し出したので、とっとと帰ってもらったというのが正しいかもしれない。


そしてチビッ子の我らは、ルベール兄さまから今後の指導を受けている。


「これからは、相談や欲しいものがあったら僕に言ってね。”アルベール兄さま”は忙しいから、僕からまとめて報告するからね。いいね?」


「「はいっ」」


いい返事をする私とベール兄さまは良い子です。


「じゃぁ、さっそく欲しいものな。蜂蜜はもう言ったから……(わら)の紙を作る道具と、動物の毛の……シュシュ、刷毛は城にもあるけど、どうする?」


「すごく、ほそく、かける?」


「画家が使ってるやつか。それは買ってもらおう。あとは(すす)の色液だろ……あ、針の長いやつもな。乳を早く分離させる道具と、生クリームをかき回す道具と、生クリームをきれいに絞る道具と、たくさんの量を早く混ぜる道具もだ……だから欲しいものを書く羊皮紙が一番最初だな」


なんで私のつぶやき全部覚えているのでしょう。


「蜂蜜の件で残っていましたが、他にも話し合う必要がありそうですな」


シブメンいたんだ。


「いましたよ」


顔に出てましたか。失礼しました。


「蜂蜜は(けい)の出身領で取れるのだったな。そこはまかせていいか?」


経費節減案件にアルベール兄さまの目がキラッと光る。


「ええ、商品化するまでは無償で提供いたしましょう」


なんと太っ腹な! 欲をかいていいでしょうか!


「シプードの、ほかにも、つかって、いいれすか?」

「かまいません。しかし試食には必ず呼んでください」

「よろこんでっ」


蜂蜜ゲーット!


「なぁ、シャーベットってなんだ? さっきちょこっと言ってたよな」


私のつぶやき。ベール兄さま……


「え~と、はんぶんこおっているおかしの~、え~とぉ~」

「じゃぁ、シプード・シャーベットでいいな」


はやっ!


「シュシュ~、今度は僕のために何か作ってよ」


ルベール兄さまのおねだり、頂きました。


「お前は『ル』が2個ついているから、いらんだろ」


次兄をからかう長兄、それを見て笑うちい兄。


「だったら兄上には『ア』までついているじゃないですか」


あははは、平和ですなぁ~。



「……長くなりそうですね。会長の執務室に移動しませんか?」


ひとり会話に加われなかったミネバ副会長は、会議室の扉を静かに開けた。


自分はそのまま扉の前に立ち、まず私たちを先に通してくれる。

アルベール王子を先頭にぞろぞろと、私はその最後尾に着き、通りすがりにミネバ副会長をチラリと見た。


今まで見た誰よりも白い肌。灰色の髪。メガネに隠れている瞳は、灰色に近いアイスブルー……むちゃくちゃ色素が薄い。北欧の人みたい。


──…なんか、細くて繊細っぽい?


目が合った。


愛想笑いを浮かべてみた。


同じく愛想笑いを返された。表情が硬い。


──…あれ? もしかしてヨチヨチしてくれないタイプの大人?


それはいけません。


ほらほら、可愛いお姫さまですよ……と、キュートさをアピールしようとその場でクルクル回ったら、メガネを直すふりして目をそらされた。



──…なぬっ? この愛らしさがわからないと? あっ! 鼻で笑いましたね? ちゃんと聞こえましたよ!



後には引けません。よござんす。戦いますか? この可愛いのと戦えますか?


「シュシュ、ほら、行くよ」


ルベール兄さまに抱き上げられてさっさと運ばれてしまった。


戦いの火蓋は切れる前に鎮火した。


消えてしまったので戦いもどうでもよくなった……というか、すぐに忘れた。


だって、ルベール兄さまの抱っこが、気持ちいいんだも~ん♪



……続く

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