66.歴史の本と絵本
Short
《ティストーム王国 ~建国からの歴史~》
出来上がった歴史書は、豪華な革張りの装丁であった。
めくった最初は透かしの紙が入り、1頁目に国王と王妃のツーショットがバーンとくる。
(漫画の表紙みたい)
グラデーションが多用されたフルカラーのような仕上がりは、お母さまの美しさを表現するために、お父さまが職人に口を出しまくったに違いない。
次の頁からは5色、4色と減っていき、文字だけの頁が続く。
王家の家系図は建国からズラズラ~ッと並んでいるが途中で終わっていた。この歴史書は第一章、続きは二章からと言うことだ。あまり楽しみではない。
どうせ出版するなら、ワーナー先生が作ってくれた絵本のほうがいいのにな。
シプード兄妹が頑張ってお菓子になるお話。
転がってゆく妹を追いかける兄がコミカルで、とってもとっても楽しいのだ。ワーナー先生の奥さんが描いた絵がまた可愛くて……ぜひカラー出版してほしいなぁ。シプード兄妹のぬいぐるみも欲しいなぁ。
アルベール兄さまに相談してみようか。
……しかして、シプード兄妹の絵本は発行された。
ただし【シプードとイティゴの砂糖煮 2点セット】の予約特典として。これはルベール兄さまが噛んでいるわね。
ぬいぐるみは商会とは関係なく、お母さまが作ってくれた。
私は今、これに夢中である。
それをジッと見ていたアルベール兄さまが、私が寝ている隙にぬいぐるみをどこかに持って行ってしまった。
妹が目覚める前に戻すつもりが間に合わず、大泣きした私はお母さまに言いつけて、アルベール兄さまは叱られた。
シプード兄妹のぬいぐるみ……売れると思って職人に見せに行ったらしい。
次は、イティゴ姫が甘くなりたくて、砂糖王子とお友達になるお話だそうだ。
チギラ料理人が考案中の、新作イティゴ菓子の予約特典になる予定。
……乞うご期待!





