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第一話 無職になりました

「疲れた!」


 俺は着替えることもなくベッドに倒れこんだ。

 現在の時刻は二三時五一分。今日が勤務の最終日であるにも関わらず、帰宅がこの時間だ。


「最後まで扱き使いやがって!」


 俺は込み上げてくる怒りのまま悪態をついた。

 俺は2ヶ月前に契約更新をしないことを勤務先から言い渡された。理由は不景気による人員削減と言っていたが、そんなことは建前だ。本音は次の更新で勤続五年を超えるからだ。


「何が私の力が及ばなくて申し訳ないだ! お前がトイレで上司に雇止めの進言をしていたことを知らないとでも思っているのか! それに俺の前では始終ビクビクしていたくせに、俺がいない所で不知火は見た目だけで全然怖くないと言っていることも知っているぞ! 嘘つき野郎が!」


 会社や上司と縁が切れたこともあって俺の悪態は治まらない。それに不安も少なからずあることも影響している。

 俺の次の仕事は決まっていない。その上、貯金も少なく、歳も四十歳の中年。

 それに加えて俺は目つきが悪く、顔が怖い。更に身長195センチのマッチョだからいつも人から怖がられる。

 俺を見ただけで泣き出す子供もいるくらいだ。

 そんなこともあって、俺は人と接したり、人前に出たりする仕事に向いていない。

 容姿で仕事の選択肢が少なくなるのは、正直言って辛いものがある。


「ふーっ! あんな会社や上司のことはもう忘れよう。何時まで引き摺っていても時間の無駄だ。取り敢えず、明日はハローワークだ。おっとその前に、スマホの電源を入れ忘れていた。エントリーした求人の返答が何か来ていないかチェックだ」


 一人暮らしが長いこともあり、最近は独り言も多くなってきた。考えたくないが歳も少なからず影響していることだろう。

 スマホの電源を入れた途端にメールの着信を知らせてきた。


「You‘ve Got Mail!」


 俺は期待してメールを開いたが、お祈りメールだった。

 こういうメールや郵送で届く通知を見るたびに俺はいつも思う。

 俺の活躍を祈るのなら、採用してくれと……。


「駄目だったか。明日に備えて……もう今日か。とにかく寝よう。朝から就活だ」


 俺はスウェットの上下に着替えてベッドに潜り込んだ。


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