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「あら、おかえりなさい。
遅かったわね」
帰ってきたロボットを、魔法使いは玄関の前で出迎えました。
ロボットは、
下を向いたまま、小さな声で「ただいま・・・」と呟くと、
魔法使いの横を抜け、家に入ろうとしました。
「あ、ちょっと待って。
さっき、ウサギさんが来たの」
ロボットは止まりました。
向こう向きのまま、黙っています。
魔法使いは、
そのロボットの背中に、話しかけます。
「あのね、
ロボットさんの体を、元に戻してあげて・・・って。
あなた、
さっき、ウサギさんの家に謝りに行ったんでしょ?。
『ウソついて迷惑かけて、ごめんなさい。
これ、お詫びの品です。
ごめんなさい』って言って、
ウサギさんに、ドングリの実を渡したんでしょ?」
「・・・」
「他にも、
クマさんとか、トカゲさんとか、タヌキさんとか、
とにかく、みんなの家に、
『ごめんなさい』って謝りに行ったんでしょ?」
「・・・」
「ちゃんと反省したみたいだから、
元に戻してあげるわ」
魔法使いが、そう言うと、
ロボットは振り向きました。
頭をペコリと下げます。
「ウソ言って迷惑かけたオイラの代わりに、みんなに謝らせてしまって、
ごめんなさい。
もう、ウソはつきません」
それを聞いた魔法使いは、
ニッコリと微笑み、言いました。
「ほら、もっと近くに来なさい。
風が無くても自由に動けるように、
また、元の体に戻してあげるわ。
ウッスラ、ハゲテル、ネコノメノ――」
魔法使いが、マジナイの言葉を唱えようとしたとき、
ロボットは、
ハッと、急に顔を上げました。
「いや、元に戻さなくて良いんだ!。
このままで良いんだ!。
えーっと、えーっと・・・、
あ、そうだ!。
オイラ、
ウソついたこと、全然反省してないから!。
みんなのところに謝りに行ったとか、全部ウソだから!。
そんなこと、してないから!。
これからも、いっぱいいっぱいウソつくし、
みんなを困らせるから、
だから、体はこのままにしておいてくれ!。
元に戻さないでくれ!」
ロボットは、
両手を頭の上でブンブン振って、必死になって騒ぎ始めました。
魔法使いは、
一瞬、驚いた顔をしましたが、
やがて、
何も言わずに、優しくゆっくりと微笑みました。




