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雨が上がりました。
空をずっと覆っていた灰色の雲が晴れていき、
やがて、
ロボットの体に、夕日の光が当たるようになりました。
そよ風。
どこか遠くの方で、カエルたちがゲコゲコと歌っています。
「・・・うーん」
全身、きれいな茜色に染まったロボットは、
小さく声を上げ、目を覚ましました。
「・・・あれ?。
オイラ、いつの間に起き上がったんだろう・・・」
ロボットは、
足代わりの4つの車輪で、しっかりと地面に立っていました。
それに、
立っている場所も、ガラクタ置き場の冷蔵庫の前ではありませんでした。
ちょっとだけ移動していて、
ロボットは、
今、ブナの木の下にいました。
「オイラ、
何で、ここに・・・」
そう言って、
ブナの木を見上げようとしたときでした。
キィ・・・。
か細い音がしました。
「?。
何だ、この音?。
何の音だ?。
どこから聞こえたんだ?」
ロボットは、
辺りを見回しました。
キィ・・・、キィ・・・。
「おかしいなぁ、見付からない・・・。
すぐ近くで鳴ってる気がするんだけど・・・。
何の音だろう?」
キィ・・・、キィ・・・。
「それに、何だか、
オイラの頭のすぐ上から聞こえてくるような・・・」
そう口にしたとき、
ロボットは、
ふと、
ガラクタ置き場に捨てられた、ヒビ入りの大鏡に気付きました。
すぐにそちらへ、
ゴロゴロと、移動していきました。
あの、ニワトリの風見鶏でした。
それが、
ロボットの頭の上に付いていました。
風に吹かれ、
ニワトリの尾羽の、赤いプロペラが回っています。
「・・・」
キィ・・・、キィ・・・。
「・・・」
キィ・・・、キィ・・・。
「・・・」
キィ・・・、キィ・・・。
日が暮れ、辺りが暗くなりました。
カエルの合唱は、もう終わったようです。
聞こえません。
代わりに、
そこら中の草むらで、
小さな虫たちが、リーン、リーン・・・と鳴いています。
夜の冷めたい風が吹き、
露で濡れた草たちを、さわさわさわ・・・と揺らします。
ヒビ入りの大鏡をじぃっと見ていたロボットは、
少しだけバックし、向きを変えました。
そうして、そのまま、
月明かりの照らす草原の道を、
何も言わずに、ゴロゴロと走り始めました。
ゴロゴロゴロ・・・。
キィ・・・、キィ・・・。
ゴロゴロゴロ・・・。
キィ・・・、キィ・・・。




