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ロボットは、

草原の中に続く道を、ゴロゴロと走っていました。

ブツブツ文句を言ってます。


「まったく・・・、

 何だよ、こんな面倒な体にしやがって・・・。

 これじゃ好き勝手に遊べないじゃないか」


そうして、しばらく進むと、

それまで心地よく吹いていた風が、段々と弱まってきました。


「マズイ、

 このままだと、また動けなくなってしまうぞ。

 誰か近くにいるヤツは・・・と、

 あ、ラッキー。

 ちょうどあそこにウサギがいるじゃないか。

 おーい、ウサギさーん、

 ちょっとこっちに来てくれよー。

 良いモノあげるからさー」


ロボットがそう言うと、

草の中をピョンピョン跳ね、森に向かっていたウサギは止まりました。

頭を高くし、ロボットの方を振り返ります。


「あ、ロボットさん。

 こんにちは。

 良いモノって、なーに?」


「こっちに来たら教えてあげるー」


「分かったー。

 じゃあ、そっちに行くー」


ウサギは、

ロボットの方へと、ピョンピョン跳ねていきました。



「ロボットさん、

 さっき良いモノくれるって言ってたけど、

 良いモノってなーに?」


ロボットの近くに来たウサギは、

期待に満ちた目で、そう尋ねます。


「あぁ・・・、えーっと、

 あ、ホッペタが落ちそうなほど美味しい真っ赤なニンジンだよ。

 朝、魔法使いから貰ったんだ。

 秘密の場所に隠してあるから、それをあげるよ」


ロボットがそう答えると、

ウサギは、

そこら中をピョンピョン跳ね回って喜びました。


「わーい、わーい。

 ロボットさん、ありがとう。

 それで、秘密の場所ってどこー?」


「その前に、

 ウサギさんにやってもらいたい事があるんだ。

 それをやってくれたら、

 ニンジンを隠した秘密の場所を教えてあげるよ」


「分かったー。

 それで、何をしたら良いの?」


跳ねるのをやめたウサギが、

ウキウキした様子で、そう尋ねると、

ロボットは言いました。


「えーっと、

 ほら、オイラの頭に風ぐるまが付いてるでしょ?」


「あ、ホントだー。

 クルクル回ってるー。

 それ、どうしたのー?」


「まぁ、それはどうでもいいじゃないか。

 とにかく、

 少しの間、この風ぐるまをふーふー吹いて、

 回してほしいんだ。

 それだけだよ」


「分かったー。やるやるー」


ウサギは、

そう返事をして、後ろ足で立ち上がると、

ロボットの頭に付いた風ぐるまを、

一生懸命ふーふーと吹き始めました。

ねずみ色をした風ぐるまが、

クルクル、クルクルと勢いよく回ります。


「おお、良い感じ。

 その調子、その調子」


「ねぇ、まだー?」


「まだー。

 もうちょっとお願い」


「分かったー」



「あ、もういいよ」


しばらくして、ロボットはそう言いました。

「まだー?」と「もうちょっとお願い」を3回も繰り返したあとでした。


「はぁはぁ、疲れたー。

 で、

 秘密の、場所って、どこー?」


息も絶え絶えに、ウサギが尋ねると、

ロボットは言いました。


「えーっと、

 どこに・・・あ、

 ほら、向こうの川の近くに、

 立派なケヤキが生えてるでしょ?。

 ほら、あの大きな木。

 あそこの根元」


「わーい、ありがとう。

 でも、

 ここで、ちょっと、ひと休みしてから、

 食べに、行こう、かな。

 はぁはぁ・・・。

 風も、吹いてきた、ことだし・・・」


「分かった。

 じゃあ、

 オイラ、もう行くから」


「じゃあねー」


ウサギが、

走り出したロボットの背中にそう言うと、

ロボットは、

何も言わずに右手を上げ、それをゆっくり振って、

そのまま去っていきました。



分かれ道のところに来ました。

ロボットは止まって、

それぞれの道の行き先を確かめます。


「えーっと、

 こっちは森で、こっちは丘・・・。

 森の中は、木に遮られて風があんまり強く吹かないだろうし、

 こっちの、丘の上に続く道にしようかな。

 テッペンは、風が気持ち良いそうだし。

 それにしても、

 まったく、面倒くさいなぁ・・・」


そう言って、

丘の方へ延びる道を、ゴロゴロと走り始めました。



丘の(ふもと)の、大岩の近くを通ったときです。

体の動きが、ちょっと鈍ってきました。

風も、吹いたり吹かなかったりしていて、

何だか頼りない感じです。


「はぁ・・・。またか・・・。

 念のため、

 誰かに風ぐるまを吹いてもらわないと。

 えーっと・・・、

 あ、

 あっちの方からキツネがこっちに向かってきてるぞ。

 ラッキー。

 おーい、キツネさーん」


ロボットが呼びかけると、

キツネは、

ロボットをチラリと見て、下を向き、

ため息をつきました。

そして、

黙って、ロボットの方へ歩いていきました。


「・・・なに?。

 オレに何の用?」


キツネは、無愛想に尋ねました。

ロボットは言いました。


「あぁ・・・、

 えっと、さっきそこで、

 とっても良い匂いのする、きれいな花を見付けてさ。

 その花が咲いてた場所を教えてあげようかなぁ、って」


それを聞いたキツネは、

下を向き、ため息をつきました。

そして、顔を上げると、


「だから、

 その花の場所を教えてあげる代わりに、

 頭の風ぐるまを吹いてくれ・・・って言うんだろ?」


ロボットは、

目を丸くして(まぁ、元から丸いんですが)驚きました。

少し間を置いてから、訊き返します。


「・・・どうして分かったの?」


キツネは答えました。


「お前、

 今日、色んなヤツを騙して、

 頭の風ぐるまを吹いてもらっただろ?。

 みんな、カンカンになって怒ってさ・・・、

 今日という今日は許せない・・・って、

 魔法使いさんのところへ、文句を言いに行ったんだ。

 そしたら、

 お前の代わりに魔法使いさんが頭を下げて、

 それで、ついでに教えてくれたんだよ、

 ・・・お前の頭にある、その風ぐるまのことを」


「・・・」


「悪いけどさ、

 オレは、お前の風ぐるまを吹いてやらないから。

 ウソばっかりついて、

 みんなを困らせているお前のために吹きたくない。

 動けなくなっても、

 風が吹けば、また動けるようになるんだろ?。

 それでいいじゃないか。

 気長に行けよ。

 じゃあな」


キツネは、

そう言って、去っていきました。

ロボットは、

そのキツネの背中を、黙って見送っていましたが、

少しすると、


「ふん!、

 誰がお前の力なんか借りるもんか!」


と言って、

丘の方へ、プイッと向き直し、

ゴロゴロと車輪を転がしながら、丘のテッペンに続く道を登り始めました。

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