7話 初日
前半と後半で書いてる日にちに開きがあるので書き方違うかもです
世界事情についてメイドから説明を受けて1日が経った。
一昨日は無断でセレナやノアニア姉妹が書庫に入ったことに対してのちょっとした罰として俺も書庫には入れなかった。だけど夕食の前、王様に呼ばれたと思ったらなぜか王様の隣にイリヤさんがいて、王様は平謝りしてきた。
書庫に関しては、王様がイリヤさんに対してこうゆう人がいて書庫に入れてもいいですか?と尋ね、問題がないとイリヤさんが言った場合、王から許可が出ましたよーという形で許可を出すのだそうだ。
そして一昨日、書庫に来た幼女2人。その幼女をなかなか書庫に遊びに来ない孫がわりに可愛がろうとしたら、なぜか翌日は遊びに来ず、王様のところにどうゆうことだオラァ!!とカチコミに来て今に至ったということだそうだ。
王様はイリヤさんが許可を出したなら自分が許可を出したも同然なのに勘違いをして申し訳ないと震えながら謝っていた。
そして今日。書庫に行っても問題ないと許可が俺以外にも出たということで書庫に行こうとしたのだが、そうはいかなかった。
ノアとニアの師匠になる人が王城に到着したのだ。
といってもそのために呼んでいたというか、勇者一行が召喚されると聞いて前もってこの国目指して出発していた砂国の一団が到着し、午前中にその一段率いる砂国の王と会談をし、王が連れてきていた武人の中からノアニア姉妹と相性の良さそうな人物を師匠として付けてくれるようお願いしたそうだ。
これを砂国の王は連れてきた武人はもともと勇者一行の育成に一役噛みたいと連れてきた人たちだから問題ないと快く受けてくれたそうだ。
そういうわけで俺は今王城と町を区切る城壁の外にいる。といっても門から町に出たわけじゃなくて、城壁の内側にある兵の詰所から城壁の外に出て、すぐにある訓練所の地面にシートを引いてその上にセレナと2人で座っている。
視線の先にはノアとニアの2人と1人の褐色の女性がそれぞれ身長と同じくらいの長さの棒を持って向き合っている。
褐色の女性の名前はエルザ・グルア。一昨日説明したグルア族の女性だ。ぱっと見細長い男性にしか見えないほど女性的な凹凸は無いが、女性と分かる理由は長くつややかな黒髪を後ろで1本の三つ編みにしており、ボーイッシュでキリッとした顔のつくりをしているが、化粧をしており赤く塗られた唇が目を引く。
ノアとニアに初めて会ったときはその愛らしさにでれっと格好を崩しており、キリッとしたボーイッシュな雰囲気を漂わせていたのに一気にかわいらしくなった。
それと訓練前の準備運動でストレッチをしていたのだが、足は180度綺麗に開き、前屈をすればぴったりと曲がっている。俺もストレッチは毎日しているが、数年続けてもあそこまで柔らかくはなっていない。
そのよく曲がる体は胸当て?のような布を巻いており、下はホットパンツのような丈の短いものを、足にはサンダルを履いており、程よく日焼けした褐色肌を惜しげもなくさらしている。
そのスレンダーで引き締まった体に目を奪われていると、俺の視線に気づいたエルザは俺のほうを向きパチリとウインクをした。
その様子を見ていたニアが俺とエルザを交互に見た後同じようにウインクをしようとするが両目一緒に閉じてしまいうまくできていない。それを見たセレナもウインクをしようとするがこちらもうまくできないようだ。一方ノアは出来るようでパチパチとウインクをばらまいている。そんな訓練所にあるまじきのんびりした雰囲気に俺とエルザはおかしくなり少しの間笑っていた。
ひとしきり笑った後、エルザは立ち上がり、ノアとニアに渡しておいた棒を持つように言い、その様子を確認した後2人の棒の持ち方をそれぞれ修正していく。
槍術士のノアには片手を石突、刃の付いていない方の端を持たせ、もう片方の手は真ん中より少し刃に寄った場所を持たせる。
棒術士のニアは真ん中あたりから少しどちらかに寄ったほうにずらし、肩幅より少し広い位の幅で持たせる。
何度か持つ位置を修正してもなぜかぱっとしない。
可愛い少女たちが武器になる棒を構えているのだから当たり前なのだが、初々しいというのだろうか?なんだかこれから武術の訓練が始まるとは思えない。
それからしばらく訓練?をしているノアとニアを見ていたがどうも武器を振るではなく武器に振られてると言ったほうが伝わるような状態だ。重心がしっかりしておらず,突いても振っても払ってもグラグラだ。
ノアとニアが転びそうになるたびにハラハラしていると、一緒に訓練を見ていたセレナが口を開いた。
「あの子たちはどんな世界から来たのでしょう、無邪気な感じといい武器を振るうのが不慣れな感じといい、だいぶ平和で安全な世界から来たのですかね?」
そうセレナはどこか申し訳なさそうにつぶやいた。
「そうだね、あの二人は平和な世界から来たと思うよ。平和な世界の普通の家庭で愛情を注がれて幸せに暮らしてたと思う。じゃなきゃあんなに素直でいい子にはならないだろうし」
「ならこの世界の神とやらは何を考えてあの二人を魔王殺しのために召喚したのでしょう、幸せな家庭で育つはずだったあの子たちを母親や父親から無理やり引きはがして、才能があったのかどうかはわかりませんが、たったそれだけのために2人の幸せを奪ったのなら何様のつもりだ、と直接言いたいです。」
セレナの怒気を孕んだ言葉を聞きながら思う。本当にその通りだと。何の権利があって全く違う世界の無垢な子供たちを人・・・魔族殺しのために召喚したのか。
「何様って言っても神様だけど、確かにその通りだよね、無関係の子供たちを巻き込んで、俺は立派かどうかは置いといて大人で、勤め先は最高環境とはいかなかったけど可愛い後輩もいてなかなか充実してる生活を送ってたよ。
セレナは・・・この世界に呼ばれてよかったと思う?」
研究者に作られて売られる、そう言いそうになったけどどう考えても不謹慎だと思って少し言い方を変えた。
「そうですね、よかったかどうかは私を買う人と会ってみないとわからないですが、自由になれるなら召喚されてよかったと思います。ですが、ここ数日この世界で生活して自由になれるっていう気がしないんですよね。」
少し言い方を変えたんだけどセレナはがっつり自分を買うって言ってるしあんまり気にしてないのかな?
まあそれは置いといて、確かにその通りだ。
最初の30日くらいは安全のために町には出られない。それはまあわかるんだけど、その後出かけるときはずっと付き添いが付く。この世界の事情で無理やり呼び出したから安全くらいは確保しないとッていうならまあわかるけど、正直それだけなわけがないよね
「レンカさんはどんな世界?から来たんですか?」
「俺?俺は地球っていう星の日本っていう世界一安全って言われる国でサラリーマンをしてたよ」
そう言いいろいろ説明したけど、なんだかよく分かっていないようだった。セレナの世界では人間は基本働かずだらだらして、ホムンクルスやメイキングチャイルドという遺伝子を改造した?人たちが働く世界だったそうで、人間の俺たちがわざわざ働くと言うことにびっくりしていた。
それからいろいろセレナのいた世界の事情を聴いた。
クローンは結構危ないという話を前してくれたが、今日はメイキングチャイルド、わかりやすく言うと
ガン●ムSEEDのコーディ●イターのようなものらしい。
ただこれも問題があり、例えば容姿に優れた女性と頭脳に優れた男性が作られて、その二人が子供を作った場合母親の女性とうり二つの女の子が生まれその女の子は父親の男性と同レベルの頭脳を持って生まれたるのだそうだ。
これだけ聞いたらハイブリットやん!ええやん!って思うかもしれない、でも実際は違い、何人子供を産んでも母親とうり二つの女の子が、父親と同レベルの頭脳を持って生まれるのだそうだ、そう、何人産んでも。
じゃあちょっと変わって両親両方容姿に優れたMCだった場合どうなるか。この場合も女の子が生まれたのだそうだ。
だが違う夫婦では男の子しか生まれず、どちらか半々の確率で生まれると言うことは起こらなかったのだそうだ。
だけどあるMCの夫婦は男女半々で子供が生まれた。この夫婦は100人中100人が母親なら大人の女性、父親なら大人の男性と答える容姿をしていた。
そのことからいわゆる童顔だとか中性的といった顔は遺伝子的に優れているとは判断されずに、最初の夫婦は夫が中性的な見た目をしておりいわゆる美男子、母親は包容力のある美しい女性。
2組目の夫婦は母親の女性がいわゆる童顔、父親の男性は男前だったそうだ。
イケメンや美女といったものの基準は、実は平均的な物で、100人の顔写真を透かせて重ね合わせた物の顔は美女だったりイケメンと感じるのに、遺伝子的には不細工ともいえるほどがっしりとした男前な顔、老けて見えるほど大人っぽいしっかりとした顔の女性を優れていると取るようで、これのせいであまりMCは何世代にもわたり利用する人は現れなかったのだそうだ。
何せ自分たちが思っている容姿に優れているという枠からかなり外れているのだから。
男の子がほしいのに女の子しか生まれない!そう父親が愚痴ったら母親がそれはあんたがイケメンなせいでしょ!という意味の分からない罵り方をされ中互い、そして離婚、結局出生率の低下が発生したのだそうだ。それに自分とうり二つの子供が何人も生まれるのだから、少し気持ち悪く感じるのだろう。
それでも自分は不細工で苦労したからいい顔の子供を産んであげたいという親はそれなりにいたそうで、無くなることはなかったそうだ。ただその子供たちが顔や運動や勉強が出来たからといってあまりいい目で見られることはなかったそうだ。
結局普通の人間が競争者がいなくなったおかげで成功しやすくなり、良い目で見られないMCが労働者としてコツコツ働く。ホムンクルスなどはその手伝いをする。という形が出来上がったそうだ。
セレナの話を聞いてるうちに訓練?がひと段落したようで、その日は解散になった。