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竜騎士ですが商人やります  作者: 中二の羽ペンと黒歴史のインク
1章 王城編
2/9

1話 言葉の重み

 まだ1話なのに前回から1週間近くたってしまいました。書きたいことが多くてでも読みやすいようにしないとなどいろいろ四苦八苦しています。

 後これは趣味程度なので途中で投げ出す可能性が高いです。

 ごめんなさい

「商人・・・ 竜騎士じゃない・・・」


 そう、()の俺は竜騎士じゃない。

 召喚されたのは俺を含めて14人、勇者、格闘家、舞闘家、盾守り、弓士、賢者、星読み、呪術師、剣士、魔術士,槍術士、棒術士、精霊魔法士、そして最後に竜騎士の男6に女8になるはずだった、だけど実際は竜騎士はおらず商人だった。


 なぜ竜騎士ではなく商人なのか、それは少し前の俺の行動のせい



ーーほんとに少し前ーー


 俺の隣に座っていた黒人の青年がお姫様のところから戻ってきた。


「俺格闘家だってよ!ボクシングやってた俺にはぴったりだな!!お前はどうだった?つってもあと残ってるのはお前とあの白い奴だけだからあいつが竜騎士じゃなかったらお前が竜騎士だなっ!」

 

 そう言いながら俺の背中をぶっこわしそうな勢いでバンバン叩く黒人青年はジョン・ジャクソン、格闘家だ。

 元の世界少女を椅子に移動させて気分を明るくさせるために黒歴史の話をしたときに椅子に来て誰よりも馬鹿笑いしてたやつだ

 俺はジョンに苦笑いを返しておく

 だって



 レンカ・アリスガワ 18歳 Lv5

 職業:竜騎士

ステータス

 筋力:F+3

 体力:F+10

 魔力:F+6

 魔耐:F+9

 耐性:F+2

 知力:E+5

 俊敏:-4F

 耐性:F

 幸運:-8E

スキル

 技能(パッシブ):竜騎士の証、技能の明、偽証の才 異言語理解

 特技(アクティブ):竜騎士の力、特技の明、虚偽の力



 なんだかしょぼいからだ。しかも偽証ってなんだよ、偽証って法廷とかで嘘の証言をするってことだよ?犯罪じゃん日本では犯罪何てしたこともない健全な国民だったよ、なにこれ


 偽証の才:嘘の情報を表示する才能。

 ロール、ステータス、技能、特技を偽って表示することが出来る。ただし自由に変更できるのはロールのみで、変更できるロールも限られており、変更したロールで取得できる技能、特技のみが表示される。実際に反映されるステータス、スキルは本当のロールでのものに限る


 うおっ!?なんかこの技能なんだ?って思ってつついてたらなんか表示された。内容はメッキを張るようなものらしい、下の虚偽の力ってのはどうゆうスキルなんだ?


 虚偽の力:嘘を誠にすることが出来る力

 偽証の才と合わせて初めて力を発揮するスキル。偽証の才によって表示された技能、特技を実際に元のスキルと合わせて使用することが出来る。ただし劣化版なため十全に使用するには鍛錬が必要。

 合わせてステータスもさら(・・)に上書きされる。元のステータスと上書きしたロールのステータス合計の半分が反映され実際のステータスになる。


 ? 自前で職変更ができるようなものか?でもステータスもスキルも劣化版になると・・・


「どうしたんだ?急に考え込んで」


「ん? ああ悪いちょっとね」


「そうか?じゃあまず姫さんに見せてこいよ、お前が最後だぜ?」


 そうジョンに促されて席を立った。うーんどうしよう。正直魔王を倒せとか困るんだよな。いや困ってるのはこっちの世界の人なのはわかるんだけど、いきなり呼び出されて青春真っ盛りのやつらの中おっさん1人ってのは正直きつい。

 それにせっかく異世界に来たなら好きなように見て回りたいってのもある。きっと似たようなことは竜騎士でも出来るけど、どの国に行っても国賓のように扱われて自由行動しようにも監視も付くだろうし・・・

 せっかくおあつらえ向きのスキルもあるんだし使っちゃうか。


  変更可能な職業、1:商人

 商人は国々や街々を回って商品を仕入れたり別の街で販売したりして賃金を稼ぐ職業である。

 ステータスは体力、知力、幸運、特に幸運に高い値が出る職業である。

 スキルは・・・


 ながい! 今移動しながらなんだからそんなに読めない!もういい!商人!決定!


「あなた様が竜騎士ですか・・・」


 ん?今小さい声で何か聞こえた気が、お姫様っぽかったんだけど笑顔のままだ。


「どうかいたしましたか?」


「い、いえなにも」


 お姫様っぽかった気がしたんだけど、ちがうっぽいな


「あなたが最後ですね、あとは竜騎士だけですが、一応見せてくださいね」


 そういうお姫様は少し熱っぽく潤んだ眼をしてるような気がした。


「レンカ様・・・かわいらしいお名前をしてらっしゃるのですね」


「グッ!」


 そうだよ!可愛い名前だよ!まだ俺が母さんのおなかの中にいるときに医者が女の子と勘違いして両親に教えたせいで蓮花って名前を考えて、いざ生まれたら男で名前考え直さなきゃいけないのにそこでめんどくさがって「花だと女の子っぽいから中華の華にしたらいい感じ」なんて言って適当に蓮華って名前に決定してそのまま付けたせいだよ!

 男なのに女みたいな名前って小学生のころいじめられたよ!中学の頃は女の先輩に蓮華ちゃんって呼ばれてたよ高校の文化祭の喫茶店でなんでか俺だけが女装させられたよ!コンプレックスだよ!柔らかめの口調なのに俺ってなんか似合わないねって言われたよ!せめて一人称くらい男っぽくしてもいいだろ!


「・・・え?商人?」


 遠い目をしている俺に視線を戻してそれから再度ステータスプレートに視線を向けたお姫様は、穴が開くのではないかと思えるほどステータスプレートを見た後


「商人・・・ 竜騎士じゃない・・・」


 そう、確認をするようにつぶやいた。


「レイナ姫!見せていただいても?レンカ殿も構いませんな?」


 殿!? 殿って男に対して使われる敬称だよね?そうだよね?白銀の無駄に派手な鎧着たおっさんいいやつだな!!いいよ?好きなだけ見てよ!


「どうぞ!」


「よろしいのですか?」


 そうお姫様が確認してくるけど俺をちゃんと漢扱いしてくれる人に悪いやつはいないよ、全然いいよ!


「では拝見させていただきます。’解析(アナルシス)’・・・ステータスプレートの異常というわけでもありませんな。 商人で・・・間違いないでしょう」


「そんなはずありません!召喚した方で戦闘技能を持たない(ロール)なんて!」


「すみません、レイナ姫、私では詳しい解析は出来ないのです。ただこのプレートが壊れているわけではないということを証明するくらいしか・・・」


「そんな・・・」


 え?そんなに重いの?竜騎士じゃなかったってだけだよね?え?商人、わ悪くないと思いますが?え?


「すみません、皆様、今日はここでお開きにしましょう。1人1部屋ご用意してありますのでメイドの物に案内をさせます」


 そう告げたのはお姫様の後ろにいた2人の女性の恰幅のいいほうだ。崩れ落ちてしまったお姫様をもう一人が支えている。

 まじか・・・お姫様が満身創痍になるほど重い事態なのか・・・



「お前竜騎士じゃなかったんだな、戦闘職じゃないのに召喚に巻き込まれちまって・・・なんていうかその、運が悪かったな」


「そうでもないよ、誰も行ったことのないような世界に旅行に来れたんだから。 才能があるからって戦争に無理やり引っ張ってこられた君らのほうが運がなかったと思うけどな」


「それは・・・そうだけど、まあまず死なないそうだしそこまで重くもねえよ」


 そう明るい口調でジョンは言うけど、戦争ってことは死ななくても殺さないといけないってこと、ジョンがどこの生まれなのかはわからないからはっきり言えないけど人、今回は魔族だけど大体のファンタジー小説では魔族っていう敵であっても姿かたちが違うだけで、他は人間と変わらないっていうのが多い。だから実際その時になったら・・・


 死なない、というか死ににくい、生活は保障される、そんな俺からしたら普通の事に焦点をずらされて隠されてるけど少なくとも何かを殺すんだ。種族が違うだけの人か、ただの獣のような敵なのか、わからないけど平和な時代で生きてきた俺達にはかなり重いと思うんだ。


「そんなむつかしい顔しないでも大丈夫だよ~ ノア強いって言ってたもん!」


「そだよ!ニア、お姫様が召喚された人はすっごく強いって言ってたの聞いたよ~?」


 そう励ましてくれるのはノア・ガルシアとニア・ガルシア10歳くらいの双子だ。白金髪の緑と茶色のオッドアイというちょっと変わった容姿をしている。


「そんなに心配ならニアが守ってあげる!お姉ちゃんだもん!」


「あ~!ノアがお姉ちゃんなの!ノアが先に生まれたの!!!」


「そんなの知らないよ!ニアが守ってあげるの!!」


「お姉ちゃんはノアなの!!」


 そう言いあいながら2人は立ち止まりポカポカ叩き合って喧嘩を始めてしまった。


「わかったわかった、じゃあ二人に守ってほしいな、そしたらおれ、僕は2倍安心だからね」


「「!!! うん!!」」


 ま、まぶしっ!まぶしい笑顔が2人分・・・

 どんな理由があってもこんな小さくて純粋な子たちを戦争に狩りだそうとするなんてろくな世界じゃないと思う。本当に元の世界に返してくれるのかどうかもわからないし、戻れたとしてその後の生活は?ついこの前まで戦争で何かを殺してたのに問題なく地球で生活はできるのか?

 第2次世界大戦後の日本兵は殺人っていう行為を問題なく行えるように麻薬を使ってたらしい、それで終戦後はその麻薬に対する依存でひどい状態だった、もしその麻薬を使わなかったとしても別の精神異常をきたしていたといわれている。ほんとにこの国は・・・


「ノアがね悪い人ブスー!ってするの!」


「ニアがね変な人バシー!ってするの!」


 2人は無邪気にこう言ってるけど実際にその時になったらどうするのか、問題なく敵を倒せるのか、倒せたとして異常をきたさないか、そう思うと少し不安になる。


「うるさいな! 静かに移動もできないのか!!」


 そう蔑むような口調で声を荒げるのは色白少年、呪術師のガン・ランドンだ


「サッキカラビービーギャーギャー、うるさいんだよ! 大体な! 召喚されたのに戦闘職でもないグズいつどこで死んだって誰も気にしないんだよ! お前ら前衛職だろ!守るなら呪術師たる僕だろ!」


「そんな言い方ないでしょ? 一緒に召喚された仲間じゃない」


「仲間ぁ? ふっざけんなよ、こんな役に立たないやつとうるさいやつが仲間なんて最悪だね! 絶対僕は認めない!」


 そうヒステリックに叫びだすガンは先ほどのきょどった口調が嘘のように口が回る

 そんな彼にノアニア姉妹は怯えて俺の後ろに隠れてしまった。

 僕をかばってくれたのはエリナ・ハートマン、黒髪赤目の黒人女性で、ロールは剣士だ。

 そして意外なところからも援軍が来る。


「私も同意見ね」


「お前は・・・精霊魔法士の・・・」


 そう、彼女は精霊魔法士のセレナ白い肌に青みがかった銀髪、そして薄桃色の目をした美女だ、ただ彼女は何というか美術品めいたというか、作り物めいたというか、なんといえばいいのだろう・・・


「彼女もこう言ってるんだ、そいつは何の役にも立たないよ」


 そう言いながらセレナの肩を組む、というよりいやらしい目を向けながら肩を抱こうとしたガンの手を無造作に払いのけ、セレナは発言を訂正した。


「あなたにではありません、エリナさんにです。 レイナ姫が言っていたでしょう 召喚で呼ばれた方々はその職に対してかなりの才があると、レンカさんもその職(・・・)に対してかなりの才があるから呼ばれたのでしょう。 本来であれば戦闘職の方が呼ばれるはず、というより竜騎士の方が呼ばれるはずの枠にレンカさんが入るほどの才能を持っていたということです。 戦闘職ではないからといって無碍にして良い方ではないと思いますが」


 そう淡々と告げるセレナは機械的で少しロボット、というか携帯電話に内蔵されているAIと会話をしているような感覚に襲われる。


「お前は精霊魔法士だろ! 精霊から力を借りないと何もできないような奴がこの僕に意見するのか!!」


 ガンは自分だけが選ばれたものだと思ってるらしい、ここにいる全員が選ばれた特別(・・)なのに


「すみません、皆様。勇者ご一行の口論に口を挟むようで失礼かと存じますが、人間の精霊魔法士は場合によっては勇者や竜騎士よりも貴重な方です」


「なんだと!?」


「勇者や竜騎士の方は召喚が行われるたびに1人ずつこの世界に生まれますが、人間の精霊魔法士は記録上、(ロール)というのが発見されてから1人も生まれておりません。 そして召喚によって呼ばれた方々の中に非戦闘職の方は今までおりませんでした。なので今回召喚されたレンカ様は何か特別(・・)なものを持っているはずです。呪術師のあなたが特別、というわけではない以上意味なく見下すのはどうかと思います。」


「お、お前! メイドのくせに選ばれし者の僕に意見するのか!!」


「・・・申し訳ありません。ですが事実です。 それに勇者と竜騎士のお二方以外は替えが効きます。実際にあったことの話なのですが、むかしの召喚された勇者一行には魔法職の方がおられなかったことがあります。その時この世界の優秀な魔法士の方を勇者一行に入れたとき、勇者と竜騎士を除いた勇者一行の中でもっとも行軍や魔王討伐に貢献したのは我が世界の(・・・・・)魔法士です。 そして精霊魔法士はエルフに多大な借りを作ってでも勇者一行に迎え入れたかった職業です。それを呪術師如きがけなしていい訳がありません」


 弾丸のように放たれた言葉はメイド仲間の「エマ!!」という必死の制止を無視して最後まで放たれた。

 そして明らかに自分をけなす言葉にガン少年は顔が破裂するんじゃないか、というほどに真っ赤にして怒りをあらわにした。


「おま「申し訳ありません」・・・は?」


「申し訳ありません。つい精霊魔法士という伝説(・・)の職業の方を軽んじた発言にカッとなり、失言をしました。お許しください。」


 ガン少年の反論を遮り、あっけなく謝ったメイドは数秒頭を下げると我関せずといったふうに無表情になってしまった。

 シンと静まり返った勇者一行はノアとニアとセレナを除いて何か考え込んでしまった。ガン少年はただどうメイドを攻めればいいか悩んでいるような感じだったが。


 メイドの発した言葉は正直爆弾だ。途中で他のメイドたちはエマさんを殴ってでも止めるべき内容だった。といってもかなり重要なのは「勇者と竜騎士のお二方以外は替えが効きます」この部分だ。

 少し潜り込んだ物騒な言い方をすれば、魔王討伐に必要ない、邪魔だと感じたら排除して新しいやつに挿げ替えるぞ?どんな方法をとってでも。そう言ってるようなものだ。

 異世界召喚で舞い上がってたガン少年を含めたみんなが少し危険意志を持って欲しい。変な行動をとらない程度の危険意識を。


「エマさん、でしたよね? 私は人間ではありませんよ?」


「え!? それはどういう・・・」


 人間ではない、その発言に案内をしていたメイドたちに緊張が走る。もしかしたら異種族ではないか?と、だがその考えは違う方向に裏切られる。


「私は人間が作った人造人間(ホムンクルス)です。私を作ったブラウン社の人間たちは最高傑作だと言っていました。」


 そうセレナの発言を聞いた人たちはそれぞれな反応をしていた。メイドたちは神の領分を犯す最低な行為だと口々に罵り、ガンは輝くような眼をして、ノアニア姉妹は首をかしげている。


「ホムンクルス?クローン人間みたいなものか?」


 そんな俺の疑問に答えたのはセレナだった


「違います。クローンは既存の人物の複製。ホムンクルスは新しい別個体の創造です。それに私達ホムンクルスは厳密には人間と違う体構造をしています。」


「ホムンクルスなんてすぐに処刑すべきです。こんな「煩い。黙れ」なっ!!」


「こちらの世界の事情で作られたものにいちいち口出しするな」


 勝手にこっちの世界に召喚しておいて、都合が悪くなった途端切り捨てろと言い出すメイドに腹が立って少し口調が荒くなったけどまあいい。

 俺はそのまま説明を続けるようにセレナに促した。


「もともと製作が簡単だったためクローンのほうが主流だったのですが、ある時ドッペルゲンガー事件というものが起こったためクローンは一部有力者の影武者以外で製作、使用が禁じられたのです。」


 説明すると、ある国の有力政治家がある時を境に政策方針がガラッと変わり、汚職などを繰り返すようになったそうだ。だけどしばらくするまで汚職などがばれず、ある時内部告発によってすべて公になったそうだ。

 それからその政治家の身辺調査を行ったところ、成人男性の遺体が発見され、まさかと思い政治家のDNA調査を個なったところ、クローン量産のために細胞分裂を促進させる薬の副作用、テロメアが普通の人間と比べ極端に短い、という状態が起きていたことが分かったそうだ。

 そしてその成人男性の遺体の腐敗具合からちょうど、政策方針が変わった時に死亡した遺体だとわかったそうだ。そしてDNA調査をしたらその遺体が政治家本人だとわかり、それからクローン人間は厳密に管理され、所持する場合は非常に面倒な手続きが必要になったそうだ。


 そして代案として持ち上がったのがホムンクルス。もともと容姿などを理論上好きにいじれるとされていたホムンクルスは細々と研究がなされていたそうだが、ホムンクルス製作は非常に手間がかかるためにあまり進んでおらず、その事件が発覚してから急速に発展していったそうだ。

 ちなみにホムンクルスはDNA検査をするとホムンクルスだと簡単に証明する配列がなされているそうだ。


「なんでクローンだとかホムンクルスとかが作られるようになったんだ?」


「労働力としてです。そして繁殖用にも。」


「繁殖って、」


「はい、子孫を残すためです。私の時代では人間の寿命が300年、長くて400年なのです。そしてどの生物よりも寿命が長い、と子孫を残すことに対する意識が弱くなって行ってるのです。それと同時に性交渉は好きだけど出産は痛いからと嫌う女性が増えたために出生率が著しく下がり、近年では100歳以下の人間の数が全体の5%を切ったそうです。」


 そう淡々と口にするセレナは少し感情の起伏が薄いように感じる

 そしてセレナの話を聞いていたガン少年が生唾を飲みながら口を開く


「は、繁殖用ってことは・・・そそそそうゆう」


「はい、ランドンさんの考えていることは間違っておりません。」


「じゃ、じゃあ「ですが、あなたとそういう行為をすることは無いでしょう」え? な、なんでだよ」


「私は、培養液の中から出て半年間この体で生活を行っていますが、少しでも優秀になるように、知識や技術を大量に吸収してきました。 そしてその半年間ずっと私の所有権をかけたテストが行われ続けています。頭脳、身体能力、技術、財力、そういった個人の優劣を図れる全てのことで最も優秀な、特異点ともよべるような人物が私の相手になります。この世界の特異点にあなたは入っていませんよね?」


「か、神に選ばれてこの世界に召喚されたんだぞ! 僕は特異点だろ!」


「そうですね、そういう意味ではあなたは特異点でしょう、ですがあなたは替えが利く。替えが利くものを特異点とは呼べません。 この世界で特異点と呼べ、私の相手になるのは、勇者、それか竜騎士でしょう」


 淡々と話していたセレナがなぜか最後、竜騎士でしょう、というときだけ俺をまっすぐ見つめながら言った。


「ゆ、勇者ってこいつか!」


 ウィリアムを指さしながら叫ぶガン少年にセレナは爆弾を返した。


「はい、そうです。ですが特異点といえば真っ先に思いつくので魔王も魅力的ですね。」


 魔王も魅力的、その言葉に再度その場が凍り付いた、そしてホムンクルスは処刑すべきと叫んだメイドが口を開こうとしたときにセレナがさっきの発言を訂正するように口開いた。


「まあ私の相手は人間(・・)なので魔人族の魔王の相手になることは無いでしょうが。」


 その発言に処刑メイドが魔王の下に行かない保証がどこにあるのかと指摘したが、ホムンクルスが人間を裏切るような行為はしないというプログラムがなされていると説明しだしてところで、ノアニア姉妹が疲れたと言い出したためそのままお開きになった。


 ちなみにノアニア姉妹は俺の小脇に抱えられての移動になった。



ーーその日の晩ーー


 この国の王、レイブン王が顔合わせを兼ねて食事会をしたいと言い出したため、ディナーは王族が使う食堂での食事になった。


「勇者諸君、今回は我々の召喚に応じてくれて誠に感謝する。我はレイブン国37代目国王エドガー・D・レイブンである。まずは我が城に仕えておるメイドが不敬な発言をしたことを詫びよう。エマ・ビネガーとアデル・アッカーに変わって謝罪する。そしてエマ・ビネガーとセレナ殿を処刑すべしと発言したアデル・アッカーには、この王城から追放の罰を下す。」


「待っほしい。エマ女史に関してはその罰は重くはないか?」


 謝罪をする国王の行動に異を唱えた僕に食堂に詰めている騎士やメイド、執事が驚いた顔をする。


「・・・なぜそう思うのだね?」


「じゃあ逆に聞きますが、道端で今代の領主はあまり優秀じゃないが代わりに優秀な弟がいる、なんて噂をしているのが国王の耳に入ったとして、その噂をしていたた者を国外追放にしたりするのですか? さすがにそれは重すぎる刑だと思うのですが。」


「主は・・・商人として召喚された青年だな、主の言い分はもっともだが、勇者一行ではない主にそれを指摘する理由はあるのかね?」


 いぶかしむような視線を向けてくる国王に僕ははっきりという


「特別な対応はその人物を傲慢にさせる。そして傲慢になったら立場が下になった人たちを蔑むようになる。この世界を救うために召喚された子たちにそうなってほしくはない。そういう間違った方向に行かないようにするのが大人の役目だと思っている。」


「大人?主は彼らとおんなじ世代だったはずだが?」


「俺は今年で28になる。十分な大人だと思うのですが?」


 今年で28になる、そう発言した俺を国王は目を細め品定めをするような視線を向けてくる。そして少しして満足したのか視線を元に戻した。


「そうであったか、確かに28であるなら十分な大人と言えよう。して主が指摘したいのはエマの1件だけかな?アデルも似たようなものだと思うのだが」


「そっちはもう少し思い刑でもいいと思ってる。1個人に死ね、殺せまで言ったんだ。俺がいた世界では多額の罰金をその人に渡していても不思議ではない。セレナにも多少なりの謝礼が行ってもいいとは思う。」


「そうかそうか、確かにその通りだ、だがエマもアデルも両人とも貴族生まれの特級階級なのだ、あまり重い罪にすると城内の貴族から不況を買ってしまのでな、軽すぎるのは貴族を増長させ、刑の重さをそれぞれ変えると不公平だと不満が上がる。身内に対する罰則はなかなかに難しいのだ。今回はこれで許せ。セレナ殿には何か形になるものを与えるとしよう。」


 そう言ってから国王は食事がさめてしまうといい、食事を始めるように促した。


 目の前に置かれる食事はかなり豪華なものだ。正直商人と身分を偽った身では少し引けるが、国王がアリスガワ殿も存分に味わってほしいと言ったため憂いは無い。食いつくしてやる!!!



 少し時間がたってデザートの果物が出てきたあたりで、ウィリアムやジョンと雑談していた国王がセレナのほうを向いて口を開いた。


「セレナ殿の口には我が料理は合いませんでしたかな?」


「いえ、私は生まれて間もないホムンクルスなので、固形物を食べれないのです」


「そうであったか、それは配慮が足りずすまなかった。してセレナ殿、セレナ殿には苗字がないようだが、我が国の貴族の名を授けようと思うのだがどうかな?」


 そういう国王の目は打算ありきの少し胡散臭い目をしていた。人間の精霊魔法士は歴史上存在しないと言っていたことから、この国の貴族の苗字を与えることで、他国からの介入を防いで囲ってしまおうと考えたのだろう。


「いえ、結構です。私のことはブラウンと呼んでください。私を作った組織はブラウン社所属だったのでそれが、親名のようなものです」


「そ、そうか。ではブラウン殿と呼ぶとしよう。」


 間髪入れず断られた国王は少し苦笑いになってしまった。

 そんなことは我関せずといったふうに、セレナはメイドに果実水のおかわりを頼んでいた。


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