表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/12

生を受けた『異端の子』

──分娩室に響き渡る産声を聞き留め、出産に立ち会った母産医が、安堵したような笑みを浮かべた。

そして産まれたばかりの赤子を抱き抱え、分娩台の上へ寝かされている女性の傍らへとそっと寝かせる。


「お母さん、元気な男の子ですよ。初めてのご出産、誠におめでとうございます」


「ありがとうございます……! ホントに、ありがとうございます……!!」


女性はこれ以上ないともいえる笑顔を見せ、医師らにしきりに感謝の意を伝える。ただただ、ひたすらに。

そして彼女手を握り締めている一人の男性へと顔を向け、「やったね」と微笑んだ。彼もそれに微笑み返す。


「ママ。この子の名前は、どうするんだっけ?」


そう問われた彼女は分娩室から見える夜空──ブルームーンをその視界に収め、暫し考えてから、赤子を見つつ口を開いた。


「『蒼月(あおい)』。ブルームーンの日に生まれたから……蒼月に、しましょう?」


明らかにその場で考えついたであろう名ではあるが、母は更に深い意味を込めていたのだ。そこからしては、十分に納得し得る名であった。


ブルームーンが意味するのは、『極めて稀』。

……そう、この赤子の内部を知っているが故に、彼女はそのような名を付けたのだろう。









──蒼月と名付けられた赤子は、代々人々に伝えられてきた、忌み子だった。

右眼に宿る蒼い光が、その象徴である。

そして、この世界で最も、異端と呼ばれる存在である事も。



~to be continued.

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ